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私と彼

私は恋人との共通点が多い。あの音楽がいい、あのフェスに行きたい、あの服がかわいい、このご飯屋さんに行こう。
私たちはいつもそればかりだ。
嫌いなものも似ている。土間がないタイプの宿泊施設、サウナの中に敷いてあるタオル、外着でベッドに上がること。

だけど違うこともある。彼は私よりもきちんとしている。自分の健康にとても気をつけているし、自分を磨く努力をする人だ。尊敬している。一方で私は自分のことは蔑ろにしてしまいがちだし、飽き性だから彼のようにジムを契約してもきっといかなくなるのがオチである。

そんな彼と先日少し遠出をした。買い物をして、その土地で有名な中華のお店に行った。一緒に買い物をするのも初めてだったけど2人で洋服の話をすることが多いから楽しかった。

お互いに長い時間ご飯屋さんに並ぶことのできない私たちだが、ご飯屋さんのおよそ30分待ちは、なんてことない普通の話していたらあっという間だった。そしてそれを彼も思っていたことが何より嬉しかった。ニンニクのきいた青菜炒めも2人で食べたら臭くなってもまあいいかと思えた。

少しずつ関係性は変化していくし、恋をしていた人はだんだん落ち着いて存在が当たり前になると聞く。私たちは互いに向けて好きだと言わない。好きと言われないと不安になっていた頃もあったけれど、言わなくても好き同士でいることも素敵な関係だと思う。
もちろん、相手の顔を見て好意を伝えられる人は素晴らしい。

彼とはいつか別れるかもしれない。そんな日は来ないかもしれないし明日かもしれない。だからと言って、そのために伝えられるうちに好意を伝えておくことはしない。
秋は紅葉を見ようと、冬はおでんを屋台で食べたいねと言い合う時間のなんと甘美なことか。実現できなかったとしても、私たちはその時間だけで、1人が寂しい夜に少し元気が出たり、余計に寂しくなったりする。
あなたの言葉が私たちの会話がこんなにも気持ちを浮き沈みさせることが愛おしい。

春はパンを買ってピクニックをしよう
夏は一緒にフェスに行こう
秋はスーパーの焼き芋を食べながら散歩をしよう
冬は暖かくしてホームシアターをしよう

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