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OECDポルトガル交流2日目・原子力災害伝承館を訪れ議論しました

 令和5年12月1日(金)に、モイメンタ・ダ・ベイラ(ポルトガル)と福島県立安積高校の生徒が、郡山高校生徒と合流しバスで福島県双葉郡双葉町にある原子力災害・伝承館を訪れました。
 まず、一行は、震災遺構である浪江町立請戸小学校を見学しました。

請戸小学校跡でモイメンタの生徒に津波の被害を解説をする安積高校生

 請戸小学校は海岸から300mのところに位置しています。東日本大震災当時、2年生から6年生までの児童82人と教職員が学校にいましたが1.6Km先の大平山に避難したため、その後の津波による死者が127名、行方不明者27人であった請戸地区にあって、教員児童1人も犠牲者を出さなかったそうです。

大平山霊園で学芸員さんから説明をうける生徒たち

 その後、東日本大震災・原子力災害伝承館を訪れ、館内で原子力災害に関する動画を見たのちに展示品を見学し、伝承館のガイドさんとともにバスに乗って、震災の爪痕や、復興拠点として昨年の8月に避難指示が解除され、いままさに復興が始まったばかりの双葉町の街並み、そして除染で出た除去土壌の仮置き場などを見学しました。

安積高校生による除去土壌の安全性と再生利用に関する発表

 最後に伝承館に戻り、研修室で3校の生徒が入りまじった4つのグループにより、ここまでの感想を述べあったほか、安積高校の生徒が除去土壌の再生利用についての課題をプレゼンテーションし、シチズンシップの観点から「よりよい未来を選び取るためにどのような行動をしていく必要があるのか」について、英語でディスカッションしました。

活発に議論する生徒たち

 ポルトガルの生徒の発言がとても積極的であったため、安積の生徒も郡山の生徒も、とても活発な議論となり有意義な時間となりました。

ポルトガルの皆さんにいただいたリボン

 モイメンタの皆さんが持ってきたリボンを、参加者全員でお互いの手首に結び合い、友情の証としました。

リボンを結んでもらう安積高生

【参加生徒の感想より】
R;今回の交流を通して、国や文化が違うことは壁にはならないと感じました。外国人だからといって日本人と考え方が大きく変わっているわけではなく、似ている部分もあったからです。もしかしたら、外国人は日本人と大きく考え方が違うという先入観があったかもしれないと気付きました。たしかに言語の壁はあります。しかし、それは勉強したり翻訳機を使えば解決できるので、全てにおいて大きな壁はないと思いました。
 だからこそ、今後の未来が持つ可能性に気付くことができました。これからも勉強して、もっと福島のことを伝えられるようにしていきたいです。   Obrigado!

A;今回のOECDの活動を通して、また新たな側面から福島を考えました。私がファシリテーターとしてディスカッションしたグループでは、除染土の風評被害はなぜおこったのか、その風評被害について私たちは今後どのようなアクションを起こすべきかを話し合いました。その中で、この風評被害は除染土を「汚染土」という側面のみ切り取り、安全性が伝わっていないことが原因で起こっているのではないかという推測がされ、除染土の安全性を知っている私たちが、ポルトガル、日本両国から福島の安全性、魅力を発信していくこと、また、「正しい」放射線教育を小さいうちからしていくことなどがあげられました。
 今回の活動を通して“infinity”の壁をつくらない取り組みを体感することができました。今回の体験をより実用化するために、今回のディスカッションをより有益にするために、自分から行動を起こし、創造した“New FUKISHIMA”を実現させていきたいです。

風評被害に対するアクションを提案し合う生徒たち

 モイメンタの皆さんが帰国後に、今回のディスカッションをうけて、日本、ポルトガル双方が、実際どのようなアクションを起こしてシチズンシップを発揮したのかについて、Zoom等で再会しながら振り返りをする予定です。

議論の後の様子

過去の記事
 ・交流1日目 OECDポルトガル×安積高 郡山の歴史探訪の記事へ
 ・OECD ポルトガルx日本∞合同授業 の実施の記事へ
 ・OECDポルトガル来日前 事前交流の記事へ

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