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スピ系の人に出会った話①

これは美容部員として店頭で働いていた時の話。
1人の女性がオススメを教えてほしいとカウンターにやってきた。

スタッフに声掛けをする人はたいてい化粧水を探しているとか、メイクを教えてほしいなど目的がハッキリしている。
「オススメを教えて」とだけ言われると、何がしてほしいのか意図が汲み取れず、来店目的がよくわからなかったがとりあえず新商品の美容液を紹介した。
なんだかそれには興味がなさそうだったので新作メイクの話に切り替えてなんやかんや話をしていると、その人はじっと私の目を見つめてきた。
色素の薄いグリーンがかったキレイな目だった。

めっちゃ見てくるやん、この人なんやろうと思っていたら
「人生ってさぁ、いろいろあるやんか。」と話し始めた。
え、急に世間話?と思いつつはぁ、となまぬるい返事をしてとりあえず続きを聞いた。

「イライラが止まらんことも理不尽なこともあるよね。気に入らん人もおるよね。でもさ、気に入らない人のことでイライラしてるのってすごいもったいないで。仕事サボったり、ちゃんとしてない人ってみんな見てないようで見てるからちゃーんとみんなわかってる。逆に、相手がサボってる間にあなたがちゃんとやってたら売上も上がるし、それもちゃんとまわりは見てくれるから。」

このお客さんは今日会ったばかりの初対面。
なんで私の悩みを・・・?


当時、私は一人の先輩にいつもイライラしていた。
休憩が1時間のところ1時間半〜2時間帰ってこず、順番で休憩を回さないといけないのに帰ってこないがゆえにお腹を空かせて待つ日々が続いており、
遅くなってごめんなどの声掛けもなく、その人の嫌い度が日に日に増していっていた時期だった。
話を聞きながら状況が理解できずに???な私にこう言い放った。

「あ、ごめんね。さっき、あなたの目をじっと見たでしょ?
その時にちょっと入らせてもらってん。そしたらすごい怒ってたから…。思わずアドバイスしたくなって。気になるのはわかるけど、その人に囚われてたらもったいないで。そんなやつは無視無視!」

「!?(驚きで声が出ない)」

「あ、たぶんイラついてる相手ってあの人やんな?なかなか癖ある人やなぁ(笑)」

「!!!!!(当たってて声が出ない)」

「なんだろう、今日別に化粧品を見るつもりなかったんだけどなんだか化粧品コーナーに足が向いちゃって。そしたらあなたが目に入ってなんとなく声かけたんだけど、こういうことだったのかな。あんまり怒り溜め込まないでね。」

「…!? え、泣いていいですか?w」

人目もはばからず思わず店頭で泣きそうになってしまった。
理解してくれる人がいた嬉しさと興奮が相まって初めて会った霊能者に私は興味津々になりマッサージやメイクをしながら色々話を聞いた。

その人は幼少期から何か視えない世界が視えていたらしく、
小さい頃に母親が出かけようとしたら大泣きしてしまい、出かけるのを諦めて家にいたら近所で事故が起き、そのまま出かけていたら母親も巻き込まれていただろう…ということやそれに近しいことが何回かあったらしい。
小さいときのことは本人は覚えてないけど物心ついた時には何か感じたり視えたりするのが当たり前だった。
人と違うことに悩んだ時もあったけどこの能力とうまく付き合うようにコントロールする術を身に着けたそうだ。
人の心を見る時、見ないときをテレビのチャンネルを変えるようにしてアクセス先を変えるらしく、普段はチャンネルを意図的に切っていて見えないようにしているとのことだった。

それで最近はなんだか態度が変わった旦那さんの心に、良くないと思いながらもチャンネルを合わせたら浮気していることが発覚して今後どうしようか考えていると、視えることのメリットとデメリットを教えてもらったりした。

視える人だということが周りにバレると私も視てほしいと頼まれて依存されたり、言いにくいことまで視えてしまった時に苦しいから極力内緒にしてきたけど、この力を役立てたいと腹をくくって鑑定士として仕事を始めることにしたから何か困ったことがあったらいつでも来てね、と言って商品を何点か購入してお店を後にした。


人生で初めて霊視?透視?をされたのだが、未知との遭遇すぎて話をしていてとてもワクワクした。
私は昔から占いやスピ系、宇宙や不思議な話が好きだったので驚いたが割とすんなり受け入れられた。
同僚にこの話をすると怪訝そうな表情でまるで信じていない感じだった。
「よっぽど態度悪かったんじゃない?不機嫌な態度しちゃだめよ」と言われたり、
「もしそれが本当だったら勝手に人の心の中覗くんじゃねーよって思うわ〜」といった様々な意見が飛び出した。

ちょっと占いやスピ系から距離を取っている今でこそ確かに勝手に覗かれるのはちょっと…と思うが、当時の私は目に見えないその力によって心が楽になったしワクワクした。

後日、友人と一緒にその人の鑑定を受けに行くことにした。


つづく。


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