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〈山陽・北陸乗車記2022年冬with青春18きっぷ+α(その55)〉

「新山口駅→下関駅:
  普通列車 下関行き(115系)」

みなさん、どうもこんにちはでございます。
前回までに、岩国駅から227系に乗ってきて新山口駅に到着したのですが、今回はここ新山口駅から真っ平らな顔の国鉄電車に乗って下関駅へ向かいます。
どうぞ、今回も気長にご覧くださいませ。

今回の乗車は新山口駅からスタート、
新山口駅に停車中の列車は…?
なんと真っ平らな顔をした
国鉄115系ではないか
元々は中間車だったものの、
幡生工場の匠たちにより
真っ平らな運転台が取り付けられた

さてさて前回は227系に乗車して新山口駅までやってきたわけですが、ここ新山口駅にて、次の列車に乗り換えます。
駅のホームに停車中の、次に乗る列車は…
なんと顔(前面部)が真っ平らな列車ではないですか。
平たくてなんだか食パンの断面みたい…

この列車、お気付きの方もいらっしゃると思いますが、かつて新製された頃はこんな顔つきではありませんでした。というのもこの顔つきは元々中間車だった頃の名残です。新製時から長い編成だった国鉄115系電車を、福知山線での高頻度運転を可能にするためにまるまる一編成分割し、分割時に中間車だった部分に無理やり運転台をつけたため、このような顔つきになっています。
福知山線といえば、この車両のように同じく中間車改造を施された別名「サンパチくん(115系3800番台)」なる旧型国電に顔つきがそっくりな魔改造車両がネット界隈では有名ですが、この食パン電車こと115系1500番台もサンパチくんと似た兄弟車のようなものです。
令和の時代でもこんな魔改造車両を何事もなく走らせるJR西日本は、やはり恐るべき企業だと思います。

近くで見ても
その魔改造具合を伺うことができる
下関行きの国鉄電車
昔懐かしな
ボックスシートの車内
ほぼほぼボックスシートが埋まっている

それにしても本当に平たい。
平たい顔が特徴のこの車両、かなりインパクトがあります。
さてさて当駅始発の下関行きのこの列車にいざ乗車していきます。この列車、中の作りはセミボックスシートと言ったところでしょうか。昭和の電車にはよくあるボックスシートがずらっと並んでいます。それにしても、夜遅い時間の列車にも関わらず車内のボックスシートは乗客でほぼ埋まっていますね。さすがは天下の山陽本線、ここらへんの地方交通線とは異なり、夜遅くの時間帯でもそれなりに利用者がいます。

宇部駅にて
やっとボックスシートに
腰掛けることができた

座席に座ることはできず、列車のドアは閉まり、下関駅まで約1時間の列車旅が始まります。
20時27分、静かに食パン電車は新山口駅を発車します。新山口駅から下関駅までの間には本由良、宇部、小野田、厚狭、長府…と11駅もの山口県南西部の主要駅に停まっていきます。下関を含めたこの辺りは、山口県内でも人口が多い地区であり、多くの山口県民が小郡と下関を結ぶ山陽本線を日々使っていることでしょう。この日もそうでした。

列車は国鉄電車特有の頑丈で力強いモーター音をぐおーーーんと車内に響かせながら下関駅へ向かっていきます。そしてモーター音が鳴り止むと同時に「まもなく宇部駅に止まります。宇部線はお乗り換えです。」と微かに車掌の肉声音声が聞こえてきます。
国鉄謹製のモーター音が鳴り止み、肉声の降車案内が車内に鳴り響く。
いいですね、この昭和時代は当たり前だったサウンドがいまだに山口県内では現役なのが、心惹かれます。

宇部駅に列車は到着しました。ボックスシートに座っていた山口県民の乗客たちは半数がゾロゾロと降りていきます。おそらく、宇部市中心部の宇部新川駅へ行くために宇部線に乗り換えるお客さんたちでしょう。
そんなお客さんたちを横目に、私はどこだどこだと、空いたボックスシートを探します。
…あった。
ひと区画だけ空いていました。そしてゆっくりと腰掛けます。
ここ宇部駅から下関駅まで快適な空間を手に入れることができました。やったね。

哀愁漂わせる
国鉄時代からの
ボックスシート車
夜の小野田駅にて
闇夜の中の新下関駅にて
令和製の電車にはない、
郷愁たるものがこの列車には
詰まっている

田園風景豊かな沿線は冬の夜にもなると、虫の音も聞こえて来ずに静寂に包まれます。
そんな静寂の中をこの列車はぐおーーーんと重厚感のあるモーター音を響かせながら走り去っていきます。それにしても、令和の現在においてこのボックスシートの電車なんて、なんだか時代錯誤な気もしますが、それがいいんです。技術の発展とともに忘れ去られた旅情たるものがこのボックスシートに詰まっているようなものです。列車は小野田駅に到着、小野田線への乗り換え客を降車させ、何事もなかったかのように新下関方面へ発車します。
私はこの旅情の二文字を模ったような列車に乗りながら、ここに至るまでに乗ってきてさまざまな普通列車たちをこのボックスシートの中で思い浮かべていきました。
あれも乗ったな、これも乗ったな、そういえばあんなやつやこんなやつにも乗ってたな。
思い出、ポロポロ出てきます。

そう思いつつちょうど腹が空いてきた頃なので、このボックスシートという名の哀愁の中で西明石駅にて購入した駅弁を広げます。
この駅弁については次回、紹介しますのでここでは割愛させていただきます。
駅弁を片手に一人、頭の中で今回の旅の思い出話に花を咲かせます。
そんなことをしているうちに、列車は新下関駅に到着、下関まであと少しです。

哀愁漂う国鉄電車とも
下関駅にてお別れ
この旅さいごの
本州の駅、下関駅にて

新下関駅から下関駅まではほんの数分で着きます。
これで三日間お世話になった本州ともお別れか…。
ただ、旅はまだまだ続きます。

列車は幡生駅に到着、そして幡生駅横の車両工場を横目に列車は幡生駅を発車。
次がこの旅最後の本州の駅、下関駅です。
幡生駅を出ると、まもなく乗り換え案内が肉声でなされます。
そうか、次の列車は数分で乗り換えか…。
下関駅に滞在する時間はそう長くないようです。
まあ、いいことでしょう、世間的には飛ぶ鳥跡を残さずと言ったところでしょうか。

列車は終点、下関駅にゆっくりと入線していきます。
下関駅に到着です。
ありがとう本州、本州の西側を右へ左へいろいろと訪れました。
いろいろと込み上げてくるものがありますが、次の列車の乗り換え時間は僅かです。
私も飛ぶ鳥跡を残さず、下関駅を去ることとしました。
ありがとう本州、ありがとう食パン電車。

今回の投稿はここまでです。
次回はこの食パン電車の中で食べた、ちょいと珍しい駅弁を紹介します。
どうぞお楽しみに。
ここまで見ていただき、誠にありがとうございます。

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