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衝撃のSFC

小学校に上がってから最初の誕生日プレゼントで父に買って貰ったものが、SFCことスーパーファミコンでした。


「今日はゲームを買いに行くぞ」
良く晴れた初秋の朝。突如父の放ったそんな言葉で、私達5人家族は車に揺られておもちゃ屋さんに出発することになりました。
比較的真面目で、お堅い性格をしていた父に対して尊敬と畏怖の感情を抱いていた私は、時折見せる甘やかしモードの父が大好きでした。
そしてこの日は私の誕生日。まさに疑うべくもなく、その甘やかしモードなわけでした。

最近ではめっきり見ない、ライオンが車を運転している看板が目印のそのおもちゃ屋さんは私にとって楽園でした。店内に入るなり私は思い思いに楽園の果実に目を輝かせ、アレも!コレも!と大はしゃぎします。
そんな私を後ろ数歩のところで見守る母。父は私よりも先を歩き、「こっちだぞ~」と導きます。
着いた場所はTVゲーム売場でした。

展示されているデモ機から、今にして思えば何ともレトロな電子音が鳴っています。その音楽は幼い私の胸を未知の興奮へと駆り立ててくれました。
父はそんな私の心の機微に気付いていたのかどうなのか、お目当ての商品を早速と見つけて手に取ります。

「これだこれだ」と軽々しく持ち上げ、私に見せてくれました。

「これを買うんだ」という事実が更に私を興奮させました。父は続けざまにカセット売場の方に目をやります。
さらっと全体を一瞥したのちに店員さんに「子供へのオススメはどれか」と聞いたようで、一本のゲームソフトを手に取りました。


スーパーマリオワールド。1990年発売の名作ですね。今作から人気キャラクターとなるヨッシーが登場したことで有名です。


目的を果たした私達家族は家路に着きます。
ファミレスで昼食をいただきながらも、私の頭は買ってもらったプレゼントのことで一杯でした。

そして帰宅。
早速とせがむ私を制して父がテレビにSFCを繋ぎます。
今では見ることもないブルーの画面が暗転。「ぴこんっ!」と電子音が鳴りました。
ついに起動されたのです。

映像も音楽も、そして手に取ったコントローラーの質感も、全てが私を一気に引き込みました。これがSFC!すげー!

その日から私の小学校帰宅後のお楽しみはSFCとなりました。両親との約束でゲームは1日1時間と決められましたが、スキを伺ってはそれ以上にプレイし、母に叱られる日もありました。
聡いことに、近所の友達を家に呼んで遊べば、母も他所の子供達の手前、何とも言えないという法則にも気付きました。

みんなで遊べるマリオカートや、ちょっと成長してストーリーを楽しむようになったドラクエ6。
実際のおもちゃとしてもハマったミニ四駆を題材としたシャイニングスコーピオンに、漫画も大好きだったキャプテン翼。
色々なゲームソフトで遊びました。
そして成長していきました。

思い出は美化されるというのは当たり前かも知れませんが、昔のゲームと言うのは本当に素晴らしいものがそろっていたなぁと思います。
この年代に生まれてこれたことが本当に良かったなぁとも思います。

比較的熱量の残っている時代に青春時代を過ごすことが出来ました。

それに比べて昨今のオワコン感よ。日本は、世界はこれからどうなっていくんだろうか。

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