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一緒にいたいよ(ショートショート小説)

一部性的な内容を含みます。
苦手な方は読むのを控えるなど、無理をしないでください。


レイラからのDMの通知に気づいたのは、朝9時に目覚めてスマホを確認した時だった。
「一緒に〇〇(ショッピングモール)のドラストついてきてくれない?」
うん。行きたい。今日は暇すぎるし。レイラは私にとってなんでも話せる親友。
「いーよ。今起きたばっかだから、10時くらいにモールに集合でいい?」
「おけ」
珍しく早いレイラの返信。
わたしは爆速で身支度をし、お腹は空いていなかったので朝ごはんは食べずに、チャリでモールまで向かった。

私たちはモールの女子トイレの個室のひとつに一緒にいた。
「レイラ、もう何回目?また避妊しなかったの?」
「わかってるけど、彼氏がなしでやりたいって言うから。まあいっかと思ったけど、後で確認したら危険日だった笑」
「はあ〜、それって危険な性行為って言うんだよ。」
自分を大切にできてないってことだよ、そう付け加えようとしたが、なぜか言いたくなくてやめた。
わたしも人のこと言えないしな。流石に避妊はちゃんとするけどさ。
レイラの顔を見ると、とても真剣で、緊張や不安を感じているのがひしひしと伝わってくる。
祈るような気持ちで、毎回線が出ないことを待ってるんだろうな。

「ああぁ…よかった、よかった…」
「線が出てないってことは陰性ってこと?」
「そう。まじでよかった…、安心して泣きそう」
「なんで毎回めっちゃ不安になるってわかるのに辞めないの?」
「……」
私たちは個室を出て、隣同士の洗面台で手を洗った。手はきちんと洗うのに、避妊はしないのが不思議だった。でも人間が生きるっていうのは、そういうことなのかもしれない。情動の動的平衡を保つということ。

1週間も経たないうちに、レイラはレイラのママから、3本セットの妊娠検査薬を買ってきてもらっていた。生理が重くて、どうしても自分で薬局まで行けなかったらしい。

相変わらずの彼女だけど、わたしはずっと一緒にいたいよ、レイラ。自分を愛してね。

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