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colaboできない役所の事情

colaboの問題を役所からの目線で

昨年末から話題になっているcolaboの話を書こうと思います
はじめてのNoteなのでご容赦ください
いわゆる役所の「中の人」として、
パンドラの箱が開かれたと感じてます
そんな瞬間にいきているなら、せめて意見を残したいなと

監査請求の話ですが、
あれは役人からのメッセージです
「確かに問題ある」
それを伝えるための唯一のかたち
そして
1人の役人としての矜持と苦心の現れです
(もしかしたらブラックユーモアもあるかも)

年末の忙しい時期に
1.自分の担当ではなく(自分が就任する前が担当していた)
2.よくわからない個人(大学や記者、オンブズマンなど常連さんではなくて)
から
3.細かくみなくてならない内容(思想やクレームであれば対処も楽にすんだ)
を送ってこられたわけです
そして、
政治家がらみの案件というのも理解しています
本当に面倒くさかったことでしょう
それでも回答したのは、以下の2つの理由です

チェックしてみたら、けっこう雑であった
行政職員は、
会計のプロではなくても、チェックするポイントは理解しています
それは
1.仕様に適合しているか、
2.説明責任があるものに対して説明がついているか、
さらにそれらは理解されるか
の2つです
雑というのは、colaboの当初の報告書などのことです
役人、議員、会計担当、そして市民がみても
納得できるかたちが必要なのですが、
とても大雑把
同じ業界の人がみれば、「だよね」でわかっても、
違う業界の人も見て、わからなければ
行政向けの報告書とは言えません
ジャンルにもよりますが、
大学、研究所などが作った報告は
基本的に同業者向けで、市民向けではないです
それでも、
市民に向けて伝えるために
概要やWebサイト、シンポジウムの講演録などで、
わかりやすくしています
つまり、
学者が作った報告を行政が翻訳しているわけです
とても無駄な作業かもしれませんが、
それでも行政が行うのは
公金を使っているから=説明責任があるからです
先生方の作った報告が分かりにくいのは仕方ないと
半ば以上あきらめています

一方、
colaboの件はどうでしょう
同じ支援をしている、思想を共有している人にはわかるように
書いていますが、
一般の人には伝わりません
一般の人=同業者以外にも伝わるように、
仕様には書き方の例もかいてあります
それに則って書いていれば及第点なのですが、
それすらもやっていなかったわけです
ここは突っ込まれても仕方ないです

2.
もう1つ
報告が雑であったとしても、監査請求にこたえる理由はないです
いつも通り、却下をして
後で個別に事業者を呼び出して、修正をさせることもできます
こちらのほうが穏便にすんだのに、
なんでわざわざ請求に答えたのでしょう
それは、
問題を公表するチャンス
政治家が横やりしてくる案件なので彼らにも口出しできない機会
若年女性を取り巻く環境をなんとか健全にしたい
そんな気持ちとタイミングが入り混じったのだと思います

若年女性支援に限ったことではないですが、
1.当事者
2.研究者
3.活動家
の3つが出てきます
最近では4.広告活動者がいます
当事者は数が多ければ生の声をあげることで、票田にもなり、
政治を動かす力にもなります
研究者は当事者がいないと研究=金になりません
また、当事者の訴えにエビデンスやお墨付きを与えるのが研究者の役割
研究者も大学、学会などで票田になりえます
当事者と研究者はいわば共生関係になってます


頭数が少なく、エビデンスもないのが活動家
ところが、この活動家は当事者にも研究者にも擦り寄ってきます
不思議と、当事者も研究者も活動家を受け入れます
なぜかというと、
活動家は生の声をもっと大きく、
エビデンスをもっと大きく言えるからです
針小棒大、小さなことでも大きく訴え、
そこにニーズがあるかのように伝えます
この手法は、ずっと昔から行われてきたので、
すごく上手です
また、目新しいことを行いたい政治家にとっても
「新しい社会課題の発見」は、ありがたい話なのです
実際は、新しい社会課題はありません
社会課題はたくさんあり、常に生まれています
活動家は、
社会課題を自分たちの思想にあうように細分化し、
そこから金や利益を得るシステムを作ります
若年女性というのは、誰のことでしょう?
わかったようで、わからないですよね
たくさん苦しんでいる女性がいるのに、なんで若年なのでしょう
女性支援という大きな社会課題の中に
若年女性
という切り口を作って、そこにお金が落ちるように政策をつくってきました

若年女性の支援に光が当てられたのは良いことです
でも、
そこに至る経緯と本当の理由、
さらに
支援をしている現状は
若年女性の役に立っているとは言えません
役人は、こんな矛盾に接しながら、
なんとか当事者の力にはなりたいと苦心しています
「問題があるのはわかっている」でも言えない
「苦心している」でも言えない
「役人として、なんとかしたい」でもやれる立場ではない
だけど、
世の中をよくするのが役人の仕事です
そんな状況を開くために
監査請求への返答であらわしたのです

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