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マリファナの話 

目次
(0) 初めに
(1) 1996年 ニューヘイブン
(2)アメリカの世論の変遷
(4) コロラドが全面解禁に踏み切った理由
(5) 壮大な実験の結果
(6) マリファナ栽培学校
(7) ストップ&フリスクがもたらしたもの
(8)アメリカのオピオイド中毒問題
(9) アンチマリファナキャンペーン
(10) ニクソンの対ドラッグ戦争
(11) THCやCBDはどんな病気に効くのか?
(12) 国際的コンセンサス
(13) 日本ではどうか?
(14) まとめ

(0) 初めに
皆さんはマリファナと聞いてどのようなイメージを持っていますか?多くの方が危険なモノ、反社会的な存在などのイメージを持っていると思います。しかし、意外なことに最近ではマリファナは体に良いものと認識され始めています。今回は佐久間裕美子さん自身の留学経験、現地での取材を通してまとめた著書である「真面目にマリファナの話をしよう」、各メディアの情報をもとに制作した記事を紹介します。この記事を読めば確実に皆さんのマリファナ=「悪」のイメージが変わると思います。


(1)1996年 ニューヘイブン
アメリカコネチカット州のイェール大学街にあるニューヘイブンは高い法人税によって産業が衰退していた。街から富裕層が流出して社会的貧困層が生活する街になったことで危険度の高いヘロインやコカインなどが町中に蔓延した。佐久間さんは2年間イェール大学に留学経験があって、当時は大学内でもマリファナが広まっていて日本の大学とは全く異なる光景で新鮮だったと語っている。また、アメリカではマリファナの合法化運動が活発に行われていて、組織であるNOML(マリファナ合法化運動組織)の存在を知ったと言う。

(2) アメリカの世論の変遷
1970年以降ニクソン大統領による麻薬の取り締まりが強化された。その過程で麻薬をスケジュールごとにカテゴリー分けを行なった。それ以降一貫してマリファナは一番危険度の高いスケジュール1に分類されている。しかし、今日のコンセンサスとしては、マリファナはスケジュール1ほどの危険性はないから見直すべきとの声が多数ある。
後にも述べることだが、マリファナにはTHCやCBDなどの人間の体にとって有効な成分を含んでいる。この成分は(主にCBD)医療用に利用されている。またこの成分が研究によって有効性が認められているため世論的にも解禁を期待する方向性へと変化している。
そして、1996年にカリフォルニア州で医療目的での大麻使用が合法化された。また、2012年にはコロラド州、ワシントン州がマリファナを嗜好品として認める法案を通過させた。2013年にはオバマ大統領がマリファナの取り締まりを各州に委ねると発表したことから様々な州がマリファナ解禁に踏み切った。しかし、マリファナは医療用での利用は理にかなっていると思われるが嗜好用での使用は有効性のメリットよりも中毒者や治安悪化のデメリットの方が大きいと感じるが、なぜ立て続けに解禁に踏み切るのだろうか?それには主に3つの要因があると考えられる。①税収増→マリファナに対する課税)②政治家の選挙利用→マリファナ賛成派からの票を得るため③治安の改善→マリファナを認めると治安が悪化すると思われるが、アメリカのような既にマリファナが出回っている社会では裏組織が存在していて合法化によってそれらの組織を締め出すことができるという意見もある。

https://www.the-miyanichi.co.jp/special/dreamNews/detailep.php?id=0000181890(引用元)


(3) コロラドが全面解禁に踏み切った理由
2008年に起こったリーマンショックによってアメリカのみならず世界中に影響を与えた。もちろんコロラド州も大きな影響を受けた地域であり、財政危機に陥っていた。つまり、コロラド州はいち早くお金が必要であって、最も手っ取り早く税収を得ることができるのはマリファナであった。政治家からするとマリファナを解禁することは州民からの指示も得ることができ税収もバンバン入ってくるから解禁したくなるのも理解ができる。また、その税収の一部を公立学校の設立資金に当てるとの条件で市民からの指示も得ている。問題点があるとすると、治安悪化による人の流出くらいであろう。コロラドは壮大な実験を行ったとも言える。

https://communica.co.jp/maaya-blog/archives/10289(引用元)

(4) 壮大な実験の結果
コロラド州がマリファナを合法化したことによる経済的・社会的影響はどうなったのかはアメリカ中で注目された。
まず、経済的影響から見ていく。
マリファナが正式に産業化することによって第一次産業から三次産業まで幅広いビジネスが生まれてこれらを全て考慮した上での経済効果は約24億ドルと算出されている。また、コロラド州のマリファナの売り上げは10億ドルであった。これを見ると経済的効果は確実に表れている。一方、社会的影響はどのように変化したのか?
マリファナを合法化してから、犯罪率はデータでは増加している。しかし、犯罪に関する分析は経済分析と異なり、要因が複雑なため相関関係があるとは断言できないと結論づけている。また、合法化前の公約であった公立学校の資金充当はどうかというと、2017年には約9000万ドルであって大いにポジティブに働いていると言える。

(5)マリファナ栽培学校
マリファナが合法化されたことでビジネスが拡大してついに麻の栽培学校まで設立されている。そんな学校はオークランドにある。その学校の名はオークステルダムユニバーシティといって、履修内容は園芸コースカンナビスビジネスコースがある。

https://www.newsweekjapan.jp/column/machiyama/2009/07/post-40.php(引用元)


(6) ストップ&フリスクがもたらしたもの
アメリカの金融都市であるニューヨーク州はマリファナの扱いに対して時代とともに変化してきた。
1997年当時の市長であったジュリアーニ市長は地下鉄の無賃乗車やマリファナ所持などの軽犯罪を厳しく取り締まることによってニューヨークの治安を良くしようとした。また、州内の警察によるストップ&フリスク(日本でいう職務質問)を積極的に行った。しかし、その対象者を黒人やヒスパニックのマイノリティ層にターゲットを絞ったことで人種差別問題へと発展した。この現象に対するデモ活動も起こった。

https://www.msnbc.com/the-cycle/stop-and-frisk-racist-and-ineffective-msna16926(引用元)


(7) アメリカのオピオイド中毒問題
アメリカでは痛み止め、ヘロイン、ヒルモネ、コカインの依存者が多発して死亡者も出ていた。このオピオイド中毒はCBDやTHCの成分で解消されるという研究結果も発表されている。つまり、マリファナを合法化することによってオピオイド中毒者を減少させることができ、社会問題を解決させるポテンシャルをマリファナは持っているとも考えることができる。

https://www.reuters.com/article/usa-opioids-budgets-idJPKCN1BY0ZD(引用元)

(8) マリファナとは?
マリファナとは麻を乾燥させてその中に含まれるカンナビノイド(THC)やカンナビジオール(CBD)が薬理作用を発揮して嗜好用や医療用として用いられてきた。
マリファナは元々アフリカの奴隷たちから中南米に持ち込まれて、イギリスなどの欧米に伝わったとされている。当時イギリスの植民地であったアメリカは麻の栽培地として産業が発展した。しかし、マリファナにはメリットだけではなく当然デメリットもあることから政府は徐々に規制を強めていった。

https://cbd.co.jp/column/cbd-with-thc/(引用元)

(9) アンチマリファナキャンペーン
アメリカは1920年に禁酒法を施行した。その背景にあるのがアルコール中毒の問題や戦争中での反ドイツ政策(ドイツはビールのイメージが強いため)があったとされている。
また、1929年には世界大恐慌が起きて世界中の経済が混乱し始めて、その原因を職を求めて移住してきたメキシコ人に向けた。メキシコは当時から大麻大国であってアメリカに大麻を大量に持ち込んでいたためアメリカの治安を悪化させているとしてマリファナの存在を否定するようになった。
マリファナはハーストとアンスリンガーという人物によってアンチマリファナキャンペーンが繰り広げられた。二方は、マリファナの危険性を訴える映画を制作したり出資している新聞社に圧力をかけてあんンチマリファナの記事を出版したりしてアメリカ国民にマリファナ=「悪」というイメージを植え付けさせた。しかし、戦後は有名アーティストなどがマリファナを嗜好していて不良少年の間でも利用されるようになり、アンダーグランドな存在になっていった。それに伴って、マリファナは人種差別、資本主義、言論の自由などのカウンターカルチャーとしてアメリカ社会に根付いていった。

http://www.hemp-revo.net/report/1109.html(引用元)

(10) ニクソンの対ドラッグ戦争
1969年にニクソン大統領が就任して、様々な対麻薬政策を実施した。
当時は有名人のヘロイン中毒死亡や軍人の10%がヘロイン中毒であったためニクソン大統領はいち早く麻薬を国内から排除しようとした。また、昔から麻薬関係の取引はマネーロンダリングや社会主義の資金調達源となっていたことから世界的に反麻薬政策を行い世界秩序を保とうと考えていた。有名なニクソンの公言が「アメリカの公敵ナンバー1は薬物乱用である」。その後もニクソンはマリファナを危険度の高い薬物であるとスケジュール分けを行ったり麻薬取り締まり強化のためにDEA(麻薬取り締まり局)の設立を行ってきた。

https://www.yoair.com/ja/blog/the-lasting-sociocultural-impact-from-americas-war-on-drugs/(引用元)

(11) THCやCBDはどんな病気に効くのか?
マリファナは長らく規制下にあったので研究もなかなか進まなかったが、イスラエルのヘブライ大学教授であったラファエル・メコーラム博士はCBDとTHCの成分分解に成功させた。それ以降医療用大麻の研究が盛んに行われるようになった。メコーラムは医療用マリファナの父と呼ばれるようになった。
医療用大麻の研究が進むにつれて、どのような病気に効果を発揮するのかがはっきりしてきた。それが①緑内障エイズ(免疫力を高める効果)③ガン(人間での実験では抗生物質による痛みや嘔吐などの副作用を緩和する効果が確認された。ラットを使った実験ではがん細胞の成長を妨げる効果が確認された。)④多発性硬化症(MS)

https://www.asianprofile.wiki/wiki/Cannabis_in_Israel(引用元)

(12) 国際的コンセンサス
現在は世界中の国でマリファナを医療用と使用されている。アジアではタイ、韓国が医療用大麻を承認している。また、WHO(世界保健機関)はカンナビジオール(CBD)の有効性を認める報告書を公表したことから完全に世界的コンセンサスはポジティブな方向へと向いている。


(13) 日本ではどうか?
いうまでもなく日本はマリファナ(麻薬)に対する扱いはかなり厳しい。様々な芸能人の大麻所持問題で大々的に報道されていて国民も大麻と覚醒剤を一緒くたにして「悪」のイメージしかなく、議論の余地もないほど嫌悪されている。そもそもなぜ日本はこれほどまでに麻薬規制が強いのか?それは戦後GHQの支配下で当時アメリカでマリファナに対するアンチテーゼが高まっている中での日本統治であったため、そのまま日本にも反マリファナ政策を浸透させた。しかし、日本の麻は海外の麻と異なり向精神効果のあるTHCの含有量が0.3% に過ぎず、昔から大麻を嗜好として吸引する文化がなかった。もちろん、戦時中はアヘンやヘロイン、コカイン、ヒロポンなどの様々な薬物が日本中に広まっていた。当時の日本は台湾や満州、東南アジアの国々で大麻を売って大きな利益を戦費に当てていた。一時期は日本も大麻大国であったと知ると驚く方も多いだろう。
最近になって日本政府としてもCBDの有効性を理解してきている感はある。またNPO法人の「医療用大麻を考える会」も結成されて日本国内でも抗議運動も始まっている。

https://www.facebook.com/iryotaima.net/(引用もと)

(14) まとめ
ここまで読んでいただきありがとうございます。
皆さんのマリファナに対する認識も変わったのではないでしょうか?
まとめでは私自身が今回学んだ感想を書き残そうと思います。
まず、初めに私はマリファナに対してビジネス面、医療面ともに可能性を感じました。マリファナも使い方を間違えれば危険に晒されると思いますが、それはアルコールやタバコと同じで正しい使い方をすれば、アルコールやタバコと異なり毒性がないので生活の質を向上させることも可能であると感じました。このようにマリファナにはメリットがあるが、治安の悪化やマリファナより危険度の高い大麻へ手を出す危険性などのデメリットもあることを学んだ。このようなデメリットを考えると日本が大麻を嗜好用として解禁する可能性は現在の状況ではほぼないと考えている。しかし、医療用大麻の解禁は今すぐにでも行うべきであると私自身は考える。なぜなら、医療用大麻の有効性は研究によって確認されていて医師管理のもとでは限りなく危険性も低く、日本は麻と縄文時代からの付き合いで研究開発が進めば、世界の中でも医療用大麻をリードできるほどのポテンシャルを持っていると思うからである。
最後に、今回の記事を通してマリファナ等の大麻を進めているわけではないということを伝えておく。


参考文献 
真面目にマリファナの話をしよう 佐久間裕美子

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