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必ず壊れるもの -還暦サイゼリヤアルバイトの日常-


「おかしいんじゃないんですかねえ?」
お会計で、私に食ってかかってきたお客さんがいました。

「申し訳ありませんでした。では、こちらのメニュー、引かせていただきますので」
「いや、引いてもらわなくていいんですが、途中で使えなくなるっておかしいですよねえ」

私、62歳、サイゼリヤでアルバイトしています。
本職はサラリーマン、現役。
これだけ生きてきて、壊れない機械、聞いたことがありません。
冒頭のお客さんのクレームも、機械が壊れたせいでした。

ウチの冷蔵庫、壊れました。
テレビ、壊れました。
掃除機、電球、パソコン、洗濯機、加湿器、ヘッドセット、スマホ、炊飯器、マウス、電子レンジ、オーブントースター、ステレオ、ラジオ、キーボード、自転車、ストーブ、換気扇……。
すべて壊れて買い替えてきました。
中には修理してもらって生きながらえているものも、あるにはありますが、壊れたことには変わりありません。

絶対に避けて通れないこと。
「機械は壊れます」

MTBFという言葉があります。
故障するまでの平均時間です。
だいたいこの機械って、これくらいの時間経てば壊れるんですよ、という指標です。
このMTBFに基づいて、IT業界では、システムやインフラの設計とか維持メンテナンス計画を立てるものです。

なので、
「決しておかしくはありません」
が、冒頭のお客さんへの答えです。

この場合は、ドリンクバーのコーヒーマシンが壊れ、お客さんが飲もうと思ったときにコーヒーが出なかった、という事態でした。
多分コーヒーマシンの電源が何らかの理由で落ちてしまい、コーヒーはおろかお湯も出なくなってしまいました。
確かに、ドリンクバーを注文し、最後にゆっくりコーヒーでもという気分を逆なでするように、
「コーヒーアウトです」
みたいな状況には、できれば陥りたくないところではありますが、
「おかしいんじゃないですか」
というクレームも筋違いでしょうね。

はっきり言って、
「しょうがないです」
私たちにできることは、ドリンクバーの料金をマイナスにすることだけです。
それを拒否して、
「お金は払うけど文句は言います」
というのは、いかがなものでしょう。

私たちから言わせていただければ、
「あなた壊れてますよ」

今日もお読みいただいてありがとうございました。

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