【ゾッとする話】「義父からのお怒りの電話」がある幸せ
もう10年以上も前のこと
仕事を終えた自分は、帰路に着いていました
その日は義母が亡くなってから間もない頃だったからか
不思議と義母のことが頭に浮かんできました
義母は娘である妻はもちろん、自分のこともとても常に気に掛けてくれていて
ちょっとした地震があっただけでも
「今、地震速報出たけど、無事ですか?」
と、速報から間髪入れずに電話をくれるほどでした
そんな優しい義母でしたが、以前から持病があり
亡くなる1年ほど前から体調が急激に悪化していきました
妻の実家は、横浜から遠く離れた広島の三原
義母の体調が急激に悪化してからは、できる限り帰省するようにしていましたが、当時は在宅勤務などない時代
長期滞在することは難しく、義母の日常のお世話は義父頼りでした
スキンヘッドで大柄
サングラスを掛けたら、まるでシティーハンターに出てくる海坊主のような風貌
そんな見た目の義父ですが、優しい義母の旦那さんだけあってとても優しい
明るく開けっ広げな性格で、見ず知らずの人とも直ぐに仲良くなります
(優しい義父と義母に出逢えて幸せだなー)
そんなことを考えながら電車を降り、乗り換えようとした丁度そのとき
自分の携帯電話がブルブルと震えました
発信元は義父
義母が亡くなった後、何か心配事があれば電話してくるのは義父
(また、地震速報でも出たのかな)
バスに乗り込む直前だったので、応答するか少しためらいましたが、もしかしたら大事な要件かもしれない
バスに乗り込む列に続いて歩きながら電話に出ます
「もしもし」
もちろん電話の先は、義父
「もっしもーし」
義母が亡くなって落ち込んでないか心配でしたが
いつも通りの明るい声です
「こんばんは、どうかしましたか?」
いつも通りの会話の流れ
何気ない自分の問いに対する返答は・・・
「あいそがつきましたっ!」
(へっ・・・?)
「えっと、すいません、今なんて言い・・・」
・・・プツンッ
プーッ、プーッ
おそらく自分が聞いたのは「愛想が尽きました」
しかし、まさか義父が「愛想が尽きました」なんて言うとは思えず
何と言ったのか確認を試みたものの、自分の問いかけに対する返事がないままに電話を切られてしまった
・・・というか、自分の問いかけを最後まで聞かずに電話を切られてしまった
ヤバイ、ヤバイ、ヤバイっ
とにかく義父をものすごく怒らせてしまったようだ
(何か失礼なことをしたか?)
(義母の葬儀のときに何か不手際でもあったか?)
(義母の体調不良のときにもっとお手伝いした方がよかったか?)
この一年間の光景が走馬灯のように頭の中を駆け巡ります
いや、あれこれ考えている場合じゃない
何はともあれ、早く謝らないと
バス停に並ぶ列を離れ、急いで電話を折り返します
・・・プーッ、プーッ、プーッ
掛からない
・・・プーッ、プーッ、プーッ
やっぱり掛からない
コールされることもなく電話が切れます
これって・・・
着信拒否?
まさか、そんなことはあり得ないと思いつつ、何度掛けてもコールされない
いや、これは間違いない
念のため、メールも送ったものの返信は無し
帰宅後、妻の携帯からも同様に電話とメールをしますが、状況は自分と同じ
(義母が亡くなって思うところがあったんだろうな)
(もう少し支えになってあげればよかったな)
精一杯やってきたつもりでしたが、義父の思いを汲み取り切れなかった自分の不甲斐なさ悔いながら、その夜を過ごしていました
食事をして、風呂に入り、そろそろ寝ようかと思ったそのとき・・・
自分の携帯が震えます
発信者は義父
「お義父さんから掛かってきた!」
横にいる妻に声を掛けて急いで電話に出ます
「もっしもーし」
予想に反して、義父はいつも通りの明るい声
そして、続け様に
「ごめんごめん、さっきは携帯の電池が切れてしもーて、充電しておりましたっ!」
(なんだ、携帯の電池が切れてただけなのか・・・)
ひと安心しながらも、まだ話は解決していません
先の電話での発言が何だったのか、まだわかっていない・・・
さっきの電話で義父は「愛層が尽きました」と言ったはず
これから何を言われるのだろう
固唾を飲んで義父に問いかけます
「電池が切れちゃったんですね、何かあったのかと思いましたよ・・・ところで、何か・・・ありましたか?」
すると
義父の回答は・・・
「アイスが着きましたっ!」
・・・はい、すいませんでした
単に自分の聞き間違え
「愛想(あいそ)が尽きました」
のではなく
「アイスが着きました」(汗)
ということで、自分が送ったお中元のアイスが届いただけの話でしたとさ
以上!
いかがだったでしょうか
ドロドロの家庭内紛争を期待していた方は、すいません
自分、聞き間違えが多くて
妻に「聞き間違えがひどすぎる」と言われるのですが
最大級の聞き間違えのエピソードでした・・・
ということで、自分みたいな「聞き間違え族」の方!
面白いエピソードがあったら教えてください
ではまた!
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