#085 「あなたは神を信じますか」
旅の話の続き。
ラ・セレナの街を出発して二日目。ようやく畑を抜けて、緑の大地が広がってきました。道の両側をワイヤーが張られた柵は、土地の所有者にとって、人や動物の出入りを制限するために取り付けることは当然なのですが、歩く人にとっては、その裏に人の欲望が見え隠れして、窮屈に感じていました。
しばらく歩いていると、一台の車が止まりクッキーをもらいました。これまでに通過してきたチャニャラルとコピアポの街で見掛けた、という夫婦。今までの経緯を見てくれた人からの応援は嬉しいものです。
■
夕方に差し掛かる頃、坂を上り始めたところで、路上でパンを売っているテントがあったので小休憩しました。そこの人たちと仲良くなれたので、その日はそこにテントを張らせてもらうことにしました。
そのパンを売っている人たちは10人の家族。広大な土地を持っていて、パンを売ったり、鉱山で働いたりして生計を立てていました。
ギターを弾いてみたり、絵葉書をプレゼントしたりしているうちに、子供たちとも仲良くなれました。夜は、ポロートと呼ばれる豆のスープをご馳走になりました。夜冷え込んできたこともあり、温かいスープが体に染みました。
次の日の朝、目を覚ますとパンを焼くいい匂いがしてきました。1m四方の鉄板の上にパンを置き、その上にもう一枚同じサイズの鉄板を置き、その上で火を起こしパンを焼いていました。素人目線で見ると、パンを置いた鉄板の下で火を起こし焼きそうなのですが、それではすぐに焦げるのかもしれません。
■
パンの差し入れをもらい、再び歩き始めました。坂を登り切り、昼ご飯を食べながら休んでいると、一人のおっちゃんに会いました。
少し話していると「あなたは神を信じているか」という話になってきました。「周りを見てみなさい。これは一体誰が作ったのですか。神が作ったのですよ」
■
宗教についての問い掛けには、いつも困ってしまいます。信仰の自由は尊重するものの、押し付けられると抵抗してしまいます。
「そうですね」と受け流すことしかできていないのですが、どの様に受け答えすればいいのか、未だに模索中です。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?