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#074 歩く途中で考えること

旅の話の続き。

歩く旅では考える時間がたくさんあります。バスや飛行機で移動しているときは、本を読んだり、映画を見たり、寝たりすることできますが、歩く旅ではそれができません。それができない分、考える時間だけはやたらとあります。歩いているとき何を考えていたのか。


歩き始めた当初、旅をしていることで失ったものに思いを馳せていました。大学を一年間休学して始めた一人旅。日本での楽しい学生生活の様子をメールで知らされるたびに、「早く帰りたい」と思ったものでした。

そしてある時点からは、どうせ歩くのだったら有意義な旅にしよう、と考えが切り替わり、どんな目標にしようか、毎日どんなことをしようか、考え始めていました。過去を振り返るのを止め、未来に対して意識が向き始めたました。


歩く旅の中で、哲学的な思想や、高尚な思考が深まっていくものと自分で勝手に想像しており、「道の上で人生を悟る」というようなこと期待していたのですが、実際はそのようなことはありませんでした。

実際に考えていたことは、帰国してから何をしようか、将来どんなことがしたいか、どんな仕事がしたいか、という平凡なこと。日本に帰ったらあんなことをしよう、将来こんな仕事ができたらいいな、などイメージを勝手に膨らませていました。


当時の日記を20年後の今振り帰ってみると、やりたかった仕事ややってみたかったことは、多少異なる部分があるものの、現在概ね実現しています。

長い時間を掛けて考えていることで、周りからの影響や見栄などが入り込まない純粋なやりたいことを書き出していたから、実現しているのかもしれません。

今改めて「やりたいこと」を考えてみても、考える直前に影響を受けたことに大きく影響され、また仕事や家族の意向を無意識に取り込み、純粋な「やりたいこと」が見つけにくくなっていると感じています。


「将来を見つめるために旅に出る」ということは、現実逃避な面もあるかもしれませんが、周りの影響を取り除き純粋なやりたいことを見つける一つの方法であることは言えそうです。

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