ダブルライセンス考

行政書士の学習をしていると、ダブルライセンスについても気になってくる。

そこでChatGPTに、行政書士のダブルライセンスのメリットとデメリットを訊いてみた。

行政書士は、国家資格のひとつであり、民間の書類や手続きに関する法的なアドバイスや代理権を持つことができる専門家です。行政書士のダブルライセンスを持つ場合のメリットとデメリットは以下のようになります。

【メリット】

領域の幅が広がる:例えば、行政書士と司法書士の両方の資格を持っていれば、不動産関連の手続きや相続手続きの幅を広げることができます。

キャリアアップが期待できる:複数の資格を持っていることは、求人市場での競争力を高めることができます。また、企業やクライアントからの信頼度も高くなり、キャリアアップにつながることがあります。

ビジネスチャンスの拡大:複数の資格を持つことで、ビジネスチャンスの拡大にもつながります。例えば、行政書士と税理士の両方の資格を持っていれば、中小企業の税務相談や申告書作成の業務を請け負うことができます。

【デメリット】

取得に時間とコストがかかる:ダブルライセンスを取得するには、時間とコストがかかることがあります。例えば、行政書士と司法書士の両方の資格を取得する場合、それぞれの試験に合格する必要があります。

スペシャリストとしての深さが欠ける:複数の分野にわたって知識を持っていることはメリットですが、スペシャリストとしての深さが欠ける場合があります。例えば、行政書士と社会保険労務士の両方の資格を持っていても、労働関係の法律に特化した深い知識がない場合は、専門性が低くなる可能性があります。

資格更新が面倒:複数の資格を持っている場合、それぞれの資格更新に対応する必要があります。更新手続きが複雑になる場合もあるので、時間や手間がかかる可能性があります。

ChatGPTに「行政書士のダブルライセンスのメリットとデメリットを教えて」と訊いた結果

行政書士で「求人市場での競争力を高めることができ」るかは疑問。それに、行政書士に資格更新はない。

首を捻る回答もあるけれど、他のメリット・デメリットにはなるほどと思う。特に「領域の幅が広がる」と「スペシャリストとしての深さが欠ける」については、今読んでいる『RANGE(レンジ) 知識の「幅」が最強の武器になる』が参考になる。

タイトルからわかる通り、本書は幅を広げることの有効性を説く。もちろん、深さが重要でないということではない。士業はスペシャリストなので、専門分野では深い知識が求められる。だが、それだけでは不確実性が高い環境には対応できない。

本書第9章では、化学メーカーの3Mで行われた研究を紹介している。

3Mには、社内の優れた科学者に贈られるカールトン賞(「3Mのノーベル賞」と呼ばれる)がある。この賞を受賞する可能性が高いのが、一つの技術に専門特化したスペシャリストでも、多くの分野にまたがって幅広く仕事をするゼネラリストでもなく、「ポリマス(博識家)」と名付けられた人材だった。

ポリマスは、中核となる分野を掘り下げるので、その分野で多数の特許を取得する。ただし、その深さはスペシャリストほどではない。一方で、ゼネラリストよりもさらに広い幅を持ち、何十もの種類の技術に関わる。ポリマスは、一つの分野で得た専門知識を全く新しい分野に繰り返し応用していた。それはつまり、彼らが常に新しい技術を学んでいることを意味する。ポリマスはそのキャリアを通じて、「隣接する分野」について学ぶ中で幅を大きく広げ、その一方でわずかに深さを失う。3Mの中で成功し、カールトン賞を受賞する可能性が高いのは、このポリマスだった。技術の新境地を開拓し続けることをミッションとする3Mでは、世界トップクラスの専門的技術は「成功のカギ」ではなかった。

『RANGE(レンジ) 知識の「幅」が最強の武器になる』
デイビッド・エプスタイン著 東方雅美訳 日経BP

同じパターンが繰り返され、正確なフィードバックがすぐに得られる環境では、スペシャリストが強みを発揮する。しかし、世の中の大半の領域はルールが明確でなく、フィードバックは遅くて不正確だ。そんな不確実性が高い環境で結果を出すには、幅の広さが重要となる。ポリマスが活躍するのは、科学の世界だけではない。

行政書士をはじめとする士業も、将来を見通せない激しい変化の直中にいる。そんな環境で生き延びるには、幅を広げることが必要ではないだろうか。ダブルライセンスは、その手段の一つとして一考の余地があると思う。

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