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駒子さんは出世なんてしたくなかった

題名:駒子さんは出世なんてしたくなかった
著者:碧野 圭

この本とは図書館でやたらと目が合った。
目当ての本がない時は、図書館をブラついて
気になる本をジャケ借りするのが私の読書スタイル。
この本は気になっては戻し、また来ては目が合ってを繰り返していた。
一度借りられてたのかいなくなっていたことがあったので、
再会した今回で借りてみた本である。

駒子さんは専業主夫の旦那さんと高校生の息子さんとの3人暮らし。
「自分は育児より仕事の方が性に合う」と考え、
息子さんが小1になるときに、小1の壁を旦那さんが家庭に入ることで乗り切ったワーママである。
そんな駒子さんが自分の望まない出世をしたのが、物語の始まり。
そしてそんなタイミングで旦那さんの復職と息子さんの学校問題が一気に押し寄せてくる…というちょっと身につまされる内容だ。

読んでいて思ったのは、この話は男性と女性を置き換えているだけで、
世の中でたくさんのワーママが小1の壁にぶち当たる、と言われている昨今では、
たくさん起こっていることなのだろうと思ってしまったこと。
そんな時に首をもたげてくる、男性特有、女性特有だと思われてきた悩みは
仕事をメインにしている方は駒子さんのようなことを思うし、
家庭をメインにしている方は旦那さんのようなことを思うのだろう。
世間一般と性別を逆転させることで、上記ののとを上手く描き出している話だと思った。

駒子さんは物語の中で若手ワーママの仕事の在り方も変えていってくれる。
コロナ前とコロナ後で、この辺りの改革は一気に進んだだろうけど、
いろんな背景の人を上手く取り立てて、組織をつくっていく姿は
マネジメントの理想だよな、かっこいいなぁとシビれるシーンである。

ちなみにこの本の話をしたら、なっしーは今出世とか家庭と仕事のバランスに関心があるんだろうね、と言われたのもなんだか面白かった。
そっか、私、だから何度も目が合ったのかなぁ。
きっと私がこの先、仕事と育児とでうーんと悩んだりしたときは、
頭の片隅でこの本を思い出すんだろうな。
そんな一冊だった。


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