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伊那小学校 研究会へ 「子どもたちへの信頼、リスペクトがあるんや。」

長野県伊那市立伊那小学校の公開学習指導研究会へお邪魔しました。

40年以上にわたって総合的な学習を中心に据えた学びを実践しています。
「通知表がない」「チャイムがならない」「時間割がない」
ことでも知られ、全国から伊那小学校へ入学したいがために移住する方もいらっしゃるほどです!

研究校と聞いてあまりいい印象はありません。
私は学校が無理なく持続可能であること、子どもの幸せに繋がっていることが重要だと考えます。
伊那小学校での実践が先生方の不断の努力に頼るものであれば引いてしまいそうだなというのが正直な心持ちでした。

ふと、1年生の教室に入ると、
エプロンを着た可愛い一年生がせっせとプリッツに熱々のアメを流し込み、べっこう飴を作っていました。
『学び合い』のように自由気ままに活動している雰囲気に惹かれてました。

そこへ先週大阪を訪問したときにお世話になった枚方市立山田中学校の山本俊夫先生と再会できました。
総合的な学習、キャリア教育のスペシャリストの山本先生に
「伊那小学校のすごさってどこにあるんですか?」
とお聞きしました。

山本先生は間髪入れずに
「見てみ、こんなちっちゃい一年生がこんな火を使って、熱々のアメもってるやん!
これができるのは、ここの学校、先生が子どもたちへの信頼、リスペクトがあるんや!
普通の学校なんか、やれ、気をつけろーあれするなぁーって言うやん。それは信頼できてないんや!」
と教えてくれました。

昨日参観させていただいた中島先生のお話の中でも、「繰り返すこと、失敗すること、あそびがあることの重要性」というお話とつながりました。

こちらのクラスの担任の先生は、今年度から伊那小学校へ赴任されたとのこと。

授業者との懇談会で、
ー伊那小へ赴任されてからの自身の変容と大切にされていることを伺いました。
・「伊那小へ来る前は教師が引いたゴールへいかに到達させるかに注力していたが、伊那小に来てからは子どもが学びを進めていくところに伴走していくイメージになった。子どもの姿を広く捉えられるようになった。」
とおっしゃっていました。

・伊那小学校の文化に戸惑いもありながらも、周りの先生方から周辺参加的に文化を学び、実践に生かしているそうです。

・熱々のコンロを使うのも、保護者の方から多少の失敗も経験になる!と同意してくれている。

・今日の公開に向けて意識づけたことは一切ない。あくまでも普段の姿のまま。

・材を決めるまで、いろいろなものに触れ合わせながら、子どもたちが興味をもったものを材にしていく。

・教師の思いが先行してもダメ。子どもの内発的動機が生まれるのを待つ。

・学年で材を統一することはない。各クラスで材が決まっていく。必ず動物を扱う!ということはない。
(異学年、異教科の『学び合い』を知っている身としては、子どもの興味に応じて材を変える余地があれば楽しいなぁと思いました!蚕をやり始めたけど、べっこう飴に移るもOK!など。学年も取っ払って…。妄想が膨らみました)

・この学習によって、勤務時間がオーバーしているとは感じない。平日のほとんどは18時には退勤し、土日はプライベートを充実できている。(これは教員によるのかもしれない。)

お隣のクラスは、蚕を材にした学習をしていました。一生懸命に糸取りに勤しんでいました。

多くの教育関係者が集まる大きな研究会でしたが、子どもたちがゆるやかに学習に取り組む姿があちらこちらに見られる学校でした。

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