- 7days book cover challenge, DAY1 -
「7日間ブックカバーチャレンジ」企画のルールからは逸脱したやり方ですが、7冊の本を紹介します。
(前置きについてはDAY0をご参照のこと)
バトンを渡してくれたライターの杉本恭子さんとは、2012年に「彼岸寺」でインタビューをしていただいたのが初めての出会い。以来、京都に行く度に連絡しては喫茶店や酒場で音楽を中心とした文化の話をする仲です。だから最初の一冊は音楽の本にしようと思う。
『レコードと暮らし』田口史人 / 夏葉社
この本の著者の田口史人さんは、高円寺で「円盤」というお店をやっています。
本を開くと、日本の古いレコードのディスクガイドのように見える。でも文字を追っていくと全然違う。これはまるで柳田國男や今和次郎の仕事のように、レコードから戦後の民衆の暮らしを読み取る試みなのだとわかる。
そもそも田口さんは別に「レコード民俗学」みたいなことをやろうと思っているわけではないし、レコード好きが高じて「珍しいレコードを面白がろう」という気分でもないみたいだ。そのきっかけは最後の「送り溝」で語られる。(送り溝とはレコードが演奏を終えたあとの無音部分のこと)
たまたま引き取ることになった超大量のレコードを整理するため「取っておくレコード」「売れるレコード」「捨てるレコード」「わからないレコード」に分類したところ、意外にも「わからない」が大量にあったそう。つまり聴いてみないと何が入っているかわからない、販促用レコードや、教育用、政府の広報や、ノベルティ等など。学校の校歌や、個人が趣味で吹き込んだレコードもある。
僕も中古レコード店で働いていたことがあるので、こういうレコードの存在は知っていた。それらは少数のレコードなのだと勝手に思っていたけど、田口さんに言わせれば「音楽を売るために作られたレコード」よりも「音楽を売るために作られたのではないレコード」のほうがはるかに多いらしい。レコード店は基本的には「音楽を売るため」に存在するのだから、「音楽を売るために作られたのではないレコード」はあまり店頭に並ばず、多くは買い取らないか、捨てられる運命にある。
これらの行き場を失ったレコードたちを全国の古物店などで回収して聴き続けている田口さんが、レコードというひとつの「メディア」に込められた情報を最大限に読み取り、少しの想像力をあわせて、当時の人々の「暮らしのさま」をありありと現前させてくれる本です。
----勝手にCM----
僕のチャレンジの目標は、薦めた本を誰かが本屋さんで買ってくれること。(個人店の通販であれば尚良し)
というわけで、この本が買えるページを紹介します。タコシェにあった!
田口さんのお店「円盤」でも、面白い音楽や本が買えます!(『レコードと暮らし』は在庫切れ…)
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