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MBSデータドリブンマーケティング講座について

2017年度より兼任講師。2020年度秋学期は、人生初のオンライン授業。一度もリアルに会うことのなかった本年度受講者と学びを続けていく。これまでの受講者、連続受講者にとっても、授業その後のアップデートになればと思い、2021AWに向けた授業プランニングをnoteで行うこととした。

明治ビジネススクール(大学院グローバル・ビジネス研究科)

本研究科のミッションは、日本経済・社会のダイナミズムの高揚のため、専門的な知識・スキル、情報分析能力、価値創造力、広い視野及び高度な倫理感覚、リーダーシップ、アジアを中心としたグローバルな視点を備えたビジネス・プロフェッショナル人材を養成することにある。その人材養成目標のためのファミリービジネス発展、新規事業や第二創業を含むスタートアップビジネスを担うイノベーション企業マネジメント全般に係る研究を行い、学生と教員の共創の場、学生の実務と理論の自主的な学びの場、キャリアチェンジの場及びビジネスマッチングの場を提供する。

データドリブンマーケティング講座について

10年分の変化が一年に詰め込まれた感ある今(2021年3月)となっては手をいれたい気もするが、コロナ禍の前に書いた2020年度のシラバスでは、以下の「問い」を提起した。

インターネットの進展に伴い,デジタルマーケティング(ウェブサイト,モバイルアプリ,システムアプリケーション,ネット広告,ソーシャルメディア等を活用したマーケティングコミュニケーション活動)の強化とともに,マーケティングのデジタル化(デジタル技術を活用したマーケティングマネジメント刷新)が経営課題となっている。マーケティングのデジタル化は,「デジタルトランスフォーメーション」の一部として,マーケティング関連データ活用を通じ,従来のブランドマネジメントとデジタルマーケティングを融合する活動である。消費者の購買行動,企業の競争優位性の変化,新規技術の適用領域拡大を通じ,今後より一層の進化が予測されている。本講義では,マーケティング関連データ,特に顧客データをキーにしたマーケティング活動,「データドリブンマーケティング」の実例を補助線として,現在進行中のマーケティング機能の変容を解説し,デジタル時代のマーケティングマネジメントのメカニズム把握を目指す。

データドリブンマーケティングの定義

講義を始めるに当たって一番難しいのが、講座名であり、百家争鳴で誰が何を議論しているのかもはや分からないジャーゴンの定義。この領域は米国と中国が、双極化して先頭を競っており、日本はプラットフォーマー的にはネオリベ陣営に属するが、百花斉放なサービスを産み出す、伸びやかな中国の発想へ文化的には惹かれる。講義では、東南アジアの事例もとりあげながら議論して、毎年少しづつ手を入れており、2020AW(終了時)には次の定義にとりあえずなった。

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「データドリブンマーケティング」を学ぶとは?

データドリブンマーケティングをスキル/ケイパビリティから考えるのは、自分が「ブランド屋」だからだと思う。日本企業へのブランディング導入をする際に考えていたのは、ポジショニングアプローチが主流のなかで、RBV(レソース・ベースド・ビュー)をいかに組み込むかということ。2000年代のコーポレートブランディングは、90年代のCI(コーポレートアイデンティティ)を苗床として、株主ー顧客ー社員のステイクホルダー経営を促進する活動であった。

コーポレートブランディングの難しさは、マーケティング出自のマーケティング機能(「ポジションニング」をブーストすることで、流通チャネルに対応するSTPブランディング)と、対外内広報機能(リレーションマネジメント)の再編(バランス)にあった。データドリブンマーケティングにおいても同じ設計アプローチが適用できる。「ポジショニングスクール」に対する、デジタル/システムの浸食であり、データ/リレーションへのシフトである。

データドリブンマーケティングの要素分解

データ×マーケティングの実相が見えると、未来が見えてくる。これまでのマーケティング知識(4PとかSTPとか)はあった方がよいが、STPで育ったマーケッターが、必ずしも「JOB理論」や「サービスデザイン」をうまく使いこなせているわけではない。今から学習するならば、有効な新しい手法だけを摘めば良い。しかし、現実には、新しい手法を使いこなすためのベースとなる「知識」が必要になる。現場で経験を積む場合は、指導者(上司)との対話を通し、抽象度の高い視点に触れることで、成長に繋がる。様々な現場課題に対して繰り返し議論されるなかで、より本質的なテーマが設定されていく。流行りのテーマ、現在進行中の重要事項など、知っておいた方が良いことは多いが、その背景文脈として最低限理解が必要な要素を抽出した。

データドリブンマーケティング業務に関わる基礎テーマ

・デジタルマーケティング(の革新性)
・マーケティングシステム(から「デジタル」を学ぶ)
・プラットフォームビジネス属性(データ社会変動のメカニズム理解)
・新しい需要を産み出すマーケティング                
・データサイエンス(&新技術の業務適用)

授業プランニングのアプローチ

授業を構成する5つの要素を有機的に関連付けるとともに、時事ネタ的な技術テーマを差し込む。知識習得の効率化だけでなく、自分で考える機会、チームダイナミズムで問題解決する機会を提供する。2021AWについては、ハイブリッド授業(オンラインとオフライン混在)のプロトタイピングになるので、抜本的な編成見直しが必要となる。そのため2021SSにおいては、

・授業ノート(5つの要素の覚書的なもの。衒学的知識を含む)↓

・テーマメモ(フレームワーク検証、学生からの質問回答など)↓

・本授業(オンライングループプランニング等の実験など)↓

・フィードバック

というステップで、現カリキュラムを前提に授業コンテンツを作り直す。再編の過程については、(本授業での採用是非に拘らず)noteで経過を辿れるようにする。

MBSDDM2021AW フレームワーク(仮説)

2021AWは次の仮説検証を軸に、上記の5要素をカバーしつつ講義を進める。各要素の詳細については、参考図書を提示し、授業の補完とする。

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参考図書

例年梅雨時より参考図書を読み始めるが、9月からの週刊誌連載のプレッシャーのなかで、毎週読み飛ばしていく本と論文にも学ぶことが多い。2020AWにおいては、前年度までの参考図書に加え、次の書籍を参考図書として紹介した。




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