【ゼロの執行人より】大人キャラがコナン君に相談したくなる理由
※この記事は、はてな匿名ダイアリーにあげてた内容を修正したものです。(現在は削除済)
【前置き】
ゼロの執行人上映当時。ネット上の評判に釣られて、つい10年ぶりくらいにコナン映画を観に行ってしまった。
感想としては、とても見応えがあった。警察内部の歪んだ関係や、小五郎が誤認逮捕され関係者が焦る生々しさなど、ドラマ相棒を見ていると錯覚するようなシリアスさ。
それだけでなく、アニメ映画に相応しいぶっ飛んだアクションと爽快感もあり、まさに大ヒットするにふさわしいクオリティであった。今までのコナン映画には無かった種類の面白さ、という感じ。
そんな映画の中で、度々挟まれたシーンがある。それは「大人達がコナン君に相談し、頼ってしまう」シーンだ。
この記事ではゼロの執行人を観て、何故コナン君へ大人キャラが相談したくなるのか、考察した記事となる。
【具体的なシーン】
例えば、高木刑事は進捗の思わしくない事件について、コナン君に憂鬱げな顔で相談する。(さらっと高木刑事が事件のことを漏らしていたのでちょっと笑った。それでいいのか)
風見刑事という安室の部下も同様だ。安室に自身のミスを叱責されたことがきっかけでコナン君に安室の後ろ暗い事実を話してしまう。
その後に彼は「キミには何故かこんなことを話してしまう」と不思議そうに呟く。
また、今回のコナン君の相棒的存在、安室透はコナン君に相談こそしないが、評価をしている描写がある。「僕には恐れる男が2人いる」と前置きをし、その片方はコナン君であると言った旨を示唆するのだ。
このように、作中では様々な大人キャラが『コナン君』を「ただものではない」と一目置いている。
最近はコナン=新一であることを読者以外にも知っているキャラが増えてきているが、この作中時点での3人は知らない。(安室透は明言はされていない、察している程度かと思われる)
それ故、大人達に高校生探偵の新一とコナン君とは結びつかない。あくまで小学生の子供として『コナン君』は見られている。
この映画以外にも、コナン君の小学生らしからぬ頭脳と度胸に「不思議な子だ…」と大人キャラが驚いたり、コナン君へ心を開いてつい秘密を漏らしてしまう描写は幾度かあった。
さて、これがもし大人の姿「工藤新一」であったら大人キャラ達は相談しただろうか?コナン君=新一であり、物理的な差異は見た目だけだ。彼らは新一でも、同じ行動をしただろうか?
個人的には、「コナン君相手だからこそ、大人達はつい心を開いてしまう」と考えた。
その理由として、新一とコナンでは見た目だけではない。下記の違いがあるからだ。
①大人達への振る舞い方
②正体の有無
【①大人達への振る舞い方】
新一の場合は、周りの大人に対してあまり遠慮はしない。刑事に事件への推理をグイグイ話して行き、刑事達もまたそれを受け入れる。
その自信満々な態度は時に「生意気」と受け取られ、更に1話ではその自信が仇となり致命的な失敗(体が縮んでしまっていた!)をしてしまう。
一方、コナン君は大人達の協力がなければ事件に関われないことが多い。しかし、新一と同じ態度では不審がられてしまう。
だからコナン君は「ねえねえ、どうして〇〇さんは〇〇してたの?」とか「刑事さん、教えて!」と子供の好奇心と捉えられる範疇で、大人達から情報収集を行う。
推理する時もあくまで自身は「小五郎の手伝い」または「新一兄ちゃんの手伝い」という「大人の補佐をする無邪気な子供」を演じ、自身が表に立つことは少ない。
一人称もボク、声色もあどけなくなり、(高山みなみの声はとても可愛い)大人達への助言をするにしても「あれれ〜?なんでだろ〜?おかしいぞ〜」と疑問を提示するに留まる。
このような行動から、大人達に形成されるコナン君像は「なんでも解決する天才探偵」ではない。「頭は良いしユニークだけど、基本はあどけない子供」へと変化するのだ。
このコナン君像は、『頭が良いけれど、大人の頭脳には敵わない』し、『大人の様に小狡くもない』から『少しくらい話しても支障はない』と大人達を油断させる。
コナン君をあざとい、と思えるのは正体を知ってるキャラと、割りかし素を見せられている少年探偵団、後は読者くらいなのだ。
【②正体の有無】
コナン君は基本新一であることを明かさない。その事実は、コナン君に新一とはまた違った魅力を付与させる。
その結果、大人達は子供としか考えられないはずのコナン君に「何かある」とワクワクさせるのである。
これもまた、新一には無い要素だ。新一の場合、作中開始時点ではすでに探偵として超有名になっており、大人キャラから見て謎めいた部分は少ない。自信満々な態度と、それにそぐわぬ天才的な推理力。
それに対し、大人達から見てコナン君は「未知」だ。
それまで子供らしくあどけない態度を取っていたと思えば、突然大人びた表情と発言をする。時には大人顔負けの推理を展開し、果てに阿笠製アイテムで犯人をなぎ倒したり、爆発した建物から脱出したりしてしまう。
けれど、やっぱり普段はただの子供にしか見えない。
大多数の作中キャラからしたら「高校生が薬を飲んだら体が縮んでしまっていた!」なんて発想には思い至らないし、信じることもできない。
だから、コナン君を子供以外の何物にも思うことは出来ないが、それ故に凄まじいギャップを感じる。そして、その不思議さが「この子なら、何かやってくれるかも…」と思わせてしまうのだ。
【結論】
①②は共に新一には無い要素だ。子供と大人、両方の面を持ち合わせるコナン君。
そんな彼は、悩める大人から見たら格好の相談相手だ。
強大な力を持った大人でも無いが、全て分からない程幼稚でも無い。そして何か光るもの、可能性を感じさせる。
これらの要素が、「自分の悩み事を少しでも分かってくれる」と思わせてしまうのだろう。
特に初対面に等しい風見刑事なんかは、この様な心理からコナン君につい話してしまったのでは無いかと感じた。
風見刑事は口を滑らせた後「一体君は何者なんだ?」とコナンに問い掛ける。
コナンは子供らしからぬ不敵な笑みをたたえて、「江戸川コナン……探偵さ」と名乗りをあげた。
これは度々作中で、「コナンの正体に疑問を持ったキャラ」が問いかけた時にコナンが返す言葉だ。
自分はただの子供ではない、謎を解き明かす者だと宣言する意味合いを持つ台詞。
読者には例え子供になっても探偵であるという証明でもある。
では作中キャラは……子供だと思っていた筈の相手にこんなことを言われて、何を思うのだろうか?
ここまで書いておいてなんだが、コナン原作は大分前に読んでいたので変なことを言ってるかもしれない。(予防線)
あとコナンに無理言われてキーッて頭掻き毟る哀ちゃんがめちゃくちゃ可愛かった。
今はもう配信サイトでも観られると思うので是非。
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