喇叭亭馬龍丑。日記「レストインピース鳥山明」3/8(金)
2024.3.8(金)
「レストインピース鳥山明」
昨夜は雨から雪に変わったらしい。窓から見える景色に雪が混じっている。起きた時には止んでいた。まぁそういう時間帯に起きた訳だ。
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鳥山明の訃報が飛び込んでくる。訃報はいつだって突然、それが当たり前のような顔をしてやって来る。「やぁ、もうそういう時なんですよ」なんて具合に。祝祭の香りなんてせず、日常と地続きにあるもの。死とはどうやらそういうものらしい。勿論、初めから分かっていたことでも、やり切れなさは残る。
鳥山明だ。我々世代にはドラゴンボール、ドラクエ、クロノトリガー。再放送で見たDr.スランプアラレちゃん。たとえ、ドラクエよりFF派だったとしても、その影響は計り知れない。
クロノトリガーがゲーム雑誌に発表された時はワクワクしたものだ。「あのスクエアとエニックスが!?」と。「イラストは鳥山明なのか!」と。同時期、少し前に発売された『FRONT MISSION』と同様、今でも心に強い印象を残すゲームだ。
「FFⅥが24メガだったのに、今度は32メガ!?」とよく分からないながらに感動したものである。スーパーファミコンの限界に挑むようなその姿勢に。
話は脱線に脱線を重ね、元に戻る。
昔々、鳥山明の漫画展があった。その開催を少年ジャンプで知った。場所は福島、とある。小学生ながらに徒歩で行ける距離じゃないことは分かる。
親にねだりにねだって速い列車に乗って連れて行って貰った。隣には四つ上の従兄弟がいた。そいつは今、スクエアエニックスで働いている。運命とは分からないものである。俺はトランペットを吹いている。ますます運命とは分からないものである。何の因果か。
その時に買ってもらった図録的なものは三十年近く経った今も実家に眠っていた。そしてまた、漫画の書き方を鳥山明が伝授する『ヘタッピ漫画研究所』も。この本にはたくさん勉強させてもらった。今以て絵は下手である。
今じゃスクエアエニックスとしてキメラのようになってしまったスクエアとエニックス。ライバルって大切だと思うぜ。鳥山明にライバルはいたのだろうか。Dr.マシリトは弔辞を読むのだろうか。「ボツ!」というのだろうか。
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窓からは真っ暗な闇が射し込んでいる。レコードから針を上げ、暖房装置のスイッチを切る。不意に訪れる静寂がなんとも好きだ。今日もやり切れただろうか。
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