「け」 けたたましい


さて、今回は「け」ということで
五十音note実行委員会(通称GNJ)が
厳選なる協議の上、選んだことばは


けたたましいです。



けたたまし・い 
[形][文]けたたま・し[シク]
1 突然、人を驚かすような高い音や声がするさま。
2 仰々しい。大げさである。
3 慌ただしく、騒がしい。


お察しのとおり、わたしは独身中年同性愛者なので
常に出会いを求めて彷徨い続けている
いわば放浪者みたいなものだ。


どこぞの出会い系アプリで出会ったと聞けば
ゴリゴリに加工を施した渾身のプロフィール画像を
ドヤ顔で載せてみるも、誰からもアクションされず


「ちくしょう!全く出会いなんてないじゃないか!」


と、最新テクノロジーを駆使しても
需要のない己の容姿を棚に上げ
アプリに八つ当たりしては挫折し

どこぞのSNSで出会ったと聞けば
次こそはと、真剣に取り組むも
意図せず溢れ出してしまった
己の歪みに歪んだ性格が露呈してしまい
誰も近寄ってこなくなっては挫折し、の繰り返し。

ありとあらゆる出会いの場を食い散らかしては
尽く失敗に終わり、それでも往生際が悪いので
もしかしたら·····もしかしたら·····と、傍から見たら
ただ、溺れてるようにしかみえない有様で
今も尚、踠き続けている。


先日、友人と話をしていた時に
お相手との馴れ初めを伺ったところ
友人が某SNSでライブ配信をしていたのを
お相手が見ていて連絡くれたのをきっかけに
お付き合いが始まったと言っていた。

そんな話を聞いたもんだから
明くる日、謎の全身筋肉痛に見舞われて
ロボットダンスみたいな動きをしてた時にふと
もし、わたしがロボットダンスを踊って
その動画をあげたら、それを見たどなたかに
「君のロボットダンスを見てたら
僕の息子がロボットダンスを始めたよ。
ほら、見てごらん。
僕とお付き合いしてくれないかい?」って
下半身露わで口説かれて
お付き合いに発展するかもしれないよなと思った。


いつだって出会いは突然なのだ。

わたしの人生、常に


上り坂、下り坂、まっさかさま。


だったけど


上り坂、下り坂、まさか。


が、あるかもしれない。


その時は、それ以上の事なんて
考えてもみなかったけれど
もし、こういう場面に出くわした時に
わたしももう、良い大人なんだから
動揺することなくスマートに
返答できなくてはいけないなぁと思い
気の利いた台詞のひとつくらい隠し持っておくのも
大人の嗜みとして必要なのではないかと考えた。


それにほら、例えば誰かに馴れ初めを聞かれたりして
「何て返事したの?」ってなった時に
どうせだったら、それを聞いてきた方も
「わぁ、素敵!ロマンティック!」って
思っていただけるような返答をしておいた方が
後々、語り継がれてゆくにも何かと様になるし。


この、ここぞって時の決め台詞って意外と難しい。
ありきたりだとインパクトに欠けてしまうし
余り長すぎても締りがないし·····。

どうしたもんかと、あれこれ考えあぐねていたが
やっと辿り着いた台詞がこれ。


「けたたましい息子さんですね。
こちらこそ、よろしくお願いします。」


これだったら、きっと
お付き合いするかもしれないであろう彼も
どなたかに、わたしとの馴れ初めを聞かれた時に

「けたたましい息子さんですねって言われたんだよ〜。
チャーミングだろ?」と

誇らしげに話してくれるに違いない。
そんな嬉しそうに話をする彼を見て、わたしも嬉しい。
一生懸命、考えた甲斐があったってもんだ。


よし!!


あとは、わたしがロボットダンスを上手に
踊れるようになって動画をあげれば良いだけだな。

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