偏愛図書館 蔵書整理中

各人の本棚は、その人そのもの。100の言葉で自己紹介するよりも、蔵書一覧を交換すればある程度、互いの価値観・考えは分かる気がする。

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思えばずっと、人に本を薦めるのが苦手だった。
たぶんそれは、今まで「何かお薦めの本ない?」と聞いてきてくれる人が普段あまり本を読まないタイプの人が多く、さらに、求められている本が往々にして小説であることが多かった、ということに起因している。

特段の主義主張があるわけではないが、この10年ほど、日本人作家による商業出版された小説とは縁遠かった。気づけば我が家は、「お堅い」本やエッセイ、ノンフィクションで溢れかえっている。隙間を縫うように多少の外国文学や、もはや古典とも呼べる日本人作家の小説がポツポツとある。
残念ながらそんな中から気軽に薦められる本を探し出すことは難しく、「せっかく聞いてくれたのに悪いなぁ…」と思いながらモニョモニョとした答えを返し続けてきた。

「お薦めの作家は?」という質問も苦手だった。もしかしたら一番苦手かもしれない。「『作家』というからには小説でしょ…。そもそも小説をあまり読まないし、作家で本を選んでないような気もするし…(どちらかと言えば、出版社で本を選ぶ人間である)」と思い悩んでしまうからだ。
(ちなみに、noteを始めて2ヶ月以上が経った今、「お薦めの小説・作家」を聞かれたら迷わず、「noteに投稿されたものを片っ端から読んで、気になるクリエイターをフォローするといい」と答える。)

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そして30歳になった今。
最近、根っこのところで「生きること」に対する価値観を共有できる方々とお知り合いになれる機会が増えたと感じている。いずれも、noteがきっかけ。
そういった方に出会うと、「その方を培った本」=「その方がこれまで読んできた本」について知りたくなるし、つい「自分が読んできた本」のことも知ってもらいたくなってしまう。
それゆえ、その方の口にした本はよくよく記憶しておいて買い求めたりするし、僭越ながら本をお貸ししたりしている。

そんな中、現在、あるテーマに沿って選書をするために、我が家の本棚についてまさに文字通り「棚卸し」の最中だ。
改めて見てみるとかなり偏りがあって、圧倒的に「言葉」に関するものが多い。やはり、私の興味の中心はそこなのだろう。そして、記憶というのは曖昧なもので、「あの本買ったつもりになってたけどないや…」というケースもあったりして、なかなか面白い。
そのようなわけで、うっすらと汗などかきながら、本を出しては戻し、戻しては出してを繰り返している。「テーマを決めて選書する」という経験は今までになく、これがまた難しい。「テーマど真ん中のものが意外と少なく、隣接する関連分野まで含んだような内容のものが多い」など、はてどこで線引きをしようか、といった状況である。
でも、「自分の本棚」=「自分そのもの」と向き合うとても良い機会なので、楽しみながら取り組んでいきたいと思うのだ。

私の「偏愛図書館」は目下、蔵書整理中であります。

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