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「優しい経済圏」に身を置きたい

今日は、毎週通っている「語学塾こもれび」さんのイベント、「こもれびより」の第2回。
第1回にもお邪魔して、拙稿でイベントの様子を紹介させていただいた。

第2回目の今日は「大切なものは目に見えない」と題した、「日本語の目力」と「見えすぎるという盲目」とのテーマで語られる、講師の方によるミニ講義。

読み上げられた日本語を書き取る、という行為を通していかに日本語には多様な表記があるかを改めて実感したり、ジョン・ケージの「4分33秒」を鑑賞(参加?)することで「間(ま)」であったり「余白」であったりに想いを巡らせたりと、「言葉」を足掛かりに大きく、そして遠くまで思考を跳躍させられる、素敵な時間を過ごさせていただいた。

そして、今日8月18日はこもれび開設2周年ということで、第2部はお酒も入った楽しいパーティーに。これまでの歴史から始まり、生徒や先生が普段考えていることについて、大変にフランクな形でお話しする会となった。恥ずかしながら私も、普段ならあまり人様にお話ししないようなことも、つっかえながら口にした次第。たぶんそれは、「こもれび」という場がそうさせてくれたもの。ここでなら、真剣に発した「言葉」であれば笑われることなく、真正面から受け止めてもらえる、と思わせるものがある。「真剣に言葉を発する」というのは決して簡単なことではないのだけれど。

そんなわけで、私にとっては夏の貴重な思い出になったわけである。

改めて思うのは「優しい経済圏」ということ。
私はこの「語学塾こもれび」さんにフランス語を教わりに行っている、ということに形式上はなっているが、気持ちの上では、「言葉」について考える機会と時間を与えていただいている、といったところ。そういう意味では、「授業」に対価を払っているというよりは、「こもれび」という「場」に対価を払っているという方が実感に近い。

混み入った話になるので簡単に述べるが、現在、日本の会計実務業界では「収益認識」という新たな会計基準の話題がホットである。これは平たく言えば、国際的な会計基準であるIFRS第15号"Revenue from Contracts with Customers"(顧客との契約から生じる収益)を直輸入したものであり、「顧客との間で提供を約束した財・サービスの履行義務の履行に従って収益を認識する」というもの。
つまり、企業と顧客との間には、企業が「このサービスを提供しますよ」と約束したサービスを履行し、その履行において顧客から対価を得て、収益を認識する、という関係が築かれているということである。
まぁこれは当然と言っちゃ当然のことなのだが、それでもやはり心のどこかではこういうガチガチの契約関係に抗いたくなる自分がいる。
「サービスを提供するか否かに関わらず、他ならぬあなたにお金をお支払いします」という、顔を見てやりとりする経済、言い換えれば「優しい経済圏」にこそ身を置きたくなる。たぶんこれは、寄付文化と親和性が高い気がする。

生まれながらにして資本主義・商業主義に身を置く私が何を言っても無力ではあるが、せめてこの自分だけでもその気持ちを胸に抱きつつ、わずかながらでも実践して生きていきたい、と思うのである。

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