私的渋谷考

渋谷は、紛うかたなき「若者の街」だ。
滅多に足を向けることはないが、降り立つたびにそう思う。

熊川哲也主宰のK-BALLET COMPANYによるバレエ『クレオパトラ』を観るため、久しぶりに渋谷のBunkamuraを訪れた。なんだか、来るたびに街の人々の年齢層が下がっているような気がする。今や、「若者の街」どころか「中学生の街」だ。

目眩がしそうな人混みの中、文化村通りを進んで東急百貨店本店が目に入ると、なんだかホッとする。ゴチャッとした街の中、比較的低く、かつ四角く直線的な顔を持つ建物に、安定感を覚えるのかもしれない。

東急はきっと、渋谷を「文化の街」にしようという思惑のもと、Bunkamuraを創ったのだろう。1989年の開業から、およそ30年が経った。
だが、悲しい哉、渋谷の街からは「文化の香り」はしない。どうしても、「刹那的な快楽を満たす街」といったイメージを身に纏っているように思う。

街づくりというのは、かくも難しい。
またしばらく足が遠のくのだろうな、と思いながら、街をあとにした。

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