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④原風景っぽくあるもの

画家・小河泰帆さんとの往復書簡4回目ですよ。

前回は「逃げ出した1枚」のお返事をいただきました。
バチカンのシスティナ礼拝堂、写真でしか知らないのでとても羨ましいです。
そして当然サン・ピエトロ大聖堂のピエタも見ましたよね。いいなあ。
あの写真からでも伝わる神々しさに、いつか私も打ちのめされてみたいです。

「アナザーエナジー展」は私も見ました。ミリアム・カーン作品は確かにすごくて、感情が混乱しますね。
美しい絵をみて目が喜ぶ感じと、暴力的な表現をみた時に目を反らしたくなる感じ、真逆の方向にふった刺激が同時に与えられるので、脳みその処理が追いつかなくなる気がします。

さて、小河さんからの質問は「原風景・よく行っていた美術館」でした。

高校卒業するまで、一番よく行ったのは国立西洋美術館です。
常設に好きな絵はたくさんあって、なかなか順位がつけられないのですが、特にジャン=フランソワ・ミレー《春(ダフニスとクロエ)》が好きです。

健やかな愛情に満ちた作品で、どんなタイミングで見ても心から良い絵だなあと毎回思います。思春期のしんどさを、多少なりとも和らげてくれた感じすらあります。大人になってからも含め、救ってくれる絵ですね。

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あと美術館ではないのですが、原風景っぽく自分の中にあるのは、小学校の工作室に飾ってあったクレーの絵です。
現在のアトリエにも飾ってありますよ。

小学生のころ3年間美術部だったのですが、いつもその絵に一番近い席に座ってよく眺めていました。
海のグラデーションが寒天みたいで美味しそうだな、とか。今でも寒天とかゼリーとか好きなのは、ここからきているのかもしれない。

大人になってから調べて、パウル・クレー《コミック・ファンタジー・オペラ 「船乗り」の戦闘場面》だと知りました。

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小河さんはイヴ・クラインがお気に入りなのですね。
先日いった川村記念美術館に小品がありました。深い青、きれいでした。

次の質問は、前から聞いてみたかったこれにしよう。
抽象画を描くようになったのはいつ頃からですか。きっかけとかあれば、ぜひ。