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経験値

今日は実家に滞在している。
数週間ぶりの帰省だが、母はネタがたくさんあり、口が疲れないの?とツッコミをしたくなるほどしゃべっている。私は猫の骨壷を抱っこし、猫をあやすようにしながら、ふんふんと話を聞く。不思議と猫の気配がする。

7月の彼との衝突から、
時間がゆっくりと流れている。別に喧嘩をしたわけではないが決定的に自分の中で何かが割れてしまった音が聞こえた。ずっと有耶無耶にしてきたぼやっとした違和感が、強い光で照らされた、といった感じだった。

それからまだ1ヶ月も経ってないが、私は短い時間に経験値を積んだ。
松本清張の小説の中で、時間とは長短ではない、深度であるーというようなことを仰っていた覚えがある。その通りです先生。

まず、この一ヶ月仕事が超大変だった。これは外的な不可抗力によってめちゃくちゃなことになって、週末も仕事に費やさざるを得なかったし、藁をも掴む思いで、普段連絡しない重鎮にご相談に上がったりもした。

この件だけでなく、長年の積み重ねで疲労したわたしは仕事を辞める方向で動き始めることになる。ビビリながら転職サイトに登録してみたり、自己啓発的な本を読み始めた。

びっくりしたのだが、仕事とは関係なくある人からお手紙を頂いた。ランチのお誘いが書いてあった。わたしは人見知りなので丁重に断る気99%だったが、むげも良くないと思い直し、本当に珍しく行くことにした。此方を予約しました、とご連絡頂いた先はまさかの本気系のお店だった。どこの国ご出身のシェフだったかな。。住む世界が違う人からのお誘いはこうゆうことになるのか。
わたしはオケージョンな服が全くないことに気づいた。服を捨て過ぎたことを少し後悔した。

先延ばしにしていた、転職や引っ越しを真剣に考え始めた。
ほぼ行かないお誘いに行ってみた。
思い立って海に行った。
単館のディープな映画館に行った。
近くの博物館で、たまたま解説していただくことができお話に感銘を受けた。
すごく楽しいPodcastに出会い聴きながら笑っている。
ピアノの練習を始めた。人見知りでコミュニケーションが苦手なので、誰とも会わないアプリでレッスンできるものを探した。 ジャズのコースでいくつかコードを覚え始めて、嬉しくなっている。

この1ヶ月の出来事はこんな感じで、
なんだか書き連ねると、充実している女のようだが、そうじゃなくて心を埋めていく作業が切に必要だったのだと思った。

普段なら、何か思いついても、また今度にしよう時間がある時にねと、自分で自分に言い訳してスルーしていた事が多かった。だが今はなるべく、思いついたことをやる、と思考する時間を減らしている。

もともとわたしは普段から考え過ぎている。考えることは嫌いじゃいけど、やり過ぎは何事もどこかを蝕む。特に落ち込むしかないという状況では。


経験値を積んでしまった。
1ヶ月前は1匹倒せたスライムは、今日は2匹倒せる強さになったかもしれない。








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