『自民党派閥肯定論 ~派閥解体は低福祉大増税時代への第一歩~』

 ①安倍派の裏金問題のニュースについて

――自民党が揺れている。

自民党安倍派議員による裏金問題が発覚した。

この裏金とは、派閥各議員に与えられるパーティ券のノルマを越えて売った分を、収支報告書に記載せず、自分のお金としていたことである。

ニュースでは、
裏金を批判する町の声。派閥から抜ける議員達。
検察による派閥本部への捜索。対応を問われる岸田政権。
これらが、連日報道されていて、収まる気配を見せない。

こういった現実の流れの中で追加で報道されているのが、過去の自民党派閥の、政治と金の問題だ。
自民党大物議員の多くが関わり、選挙制度が変わったリクルート事件や、
派閥政治を批判して、様々な取り組みをしようとして変えられなかった議員達の無念の声が、報道されている。

それらのニュースに触れて人々が思うことは、
『国民が不景気で苦しんでいる間に、国民の為の政治をろくにせず、自分達は金儲けばかりか!』
『岸田政権も、自民党もろくでもない!これだから政治家は信用ならない!』
で、あろう。

そして、これらのニュースの流れは、一つの結論に行き着く。
『ろくでもない真似ばかりするし、裏金も生み出す派閥なんてやめてしまえ!』――と。

しかし、その流れに乗る前に、少し立ち止まって考えてみて欲しいと思う。

『この流れに乗っかって、果たして国民の為の政治が生まれるのだろうか?』
『それは、派閥を否定することにより、実現するものなのだろうか?』
『ニュースには否定的意見ばかりしかない派閥だが、本当に良い所はないのだろうか?』

ということを。

 ②政治家の役割とは?

でもまず、派閥について考える前に、そもそも政治家の役割とは何か?について考えてみよう。

それは、今回のような【政治家が批判されて、政治家の立場が弱まる事件が起きた結果、政治はどうなるのか?】という問いを考えるには、政治家の本質について振り返る必要があるからだ。

今回の事件の批判は、どこに繋がるのか。

多くの人間がぼんやり思っているだろうことは、
『悪い政治家が批判されれば、良い政治家が出てくる。結果、良い政治が行われる』
であろう。

だから、実際にそのニュースの流れに乗っかって批判したり、批判自体はしなくても早くやめてくしまえと、
そう思っていることだろう。

でも、現実はそうはならない。

『政治家を批判すればするほど、国民の為の政治家からは遠のいている』のが、現実だ。

なぜ、そうなってしまうのか。

それは簡単だ。

『別の勢力が弱まった後には別の勢力が入り、幅を利かせるようになる』のが、世の中の法則だからだ。

もう少し詳細に言えば、二大政党制でない日本では、スキャンダルで退いた政治家や政党の開いた穴に別の政治家等が入り込むような状態ではなく、
政治を担う別の存在である官僚が、力を持ってしまう状態にあるからだ。

ではなぜ、官僚が力を持つことが、国民の為の政治を遠のけるのだろうか。

官僚は頭が良いエリートだから、彼らが考えれば良い政治になるのではないか?と思う前に、
官僚がやらかしてきた過去のことを、思い出してみてほしい。

ノーパンしゃぶしゃぶ事件のような企業に接待されまくった倫理を疑う事件だけでなく、
消えた年金記録問題のような、何万人の年金記録をなくし、実務能力を疑うような事件等、官僚は様々なやらかしをしているのだ。

あぁ、そういえば様々な問題起こしていたよな、官僚も問題ある存在だったよなと思い出したところで、
これを読むあなたには、官僚の本質に向かいあってもらいたい。

官僚の本質とはなにか?――それは天下りを求めることだ。

天下りを確保する流れを言語化すると、こうなる。
『業界の許認可をできるだけ確保して』、『自分の省庁が、その許認可の範囲であることをえさに、一部企業に都合が良くなるような仕事を国のお金で発注したり、都合の良い規制をする』。
そして、『それらの他に、他の新興企業や革新的技術が出てくるのを邪魔することと引き換えにして、その企業への天下りを行わせる』。これが官僚のやっていることなのだ。

そういう官僚が、力を握ってしまう国はどうなるか?

――そう、国民から金を奪ってろくに与えず、一部企業にだけお金を与える、大増税を繰り返す国になるのである。

彼らは決して、国民の為に減税をしようとか、国民に必要な金を与えようとは考えない。

なぜなら、全員を幸福にしたり、良い状況を作って当たり前にしてしまっても、直接的な感謝や利益は薄いからである。
それよりも広く国民から奪って、一部に恩着せがましく与えた方が、見返りは帰ってくるのだ。

これが、官僚なのだ。

政治家の役割とは、こういう官僚の横暴を阻止し、良い政策を官僚に考えさせることや、一部企業ばかりだけでなく国民の本当の需要が入った政策を行わせることにある。

だから、政治家ばかりが弱まってしまう状況は、官僚に対抗できなくなってしまい、危険な状態なのだ。

 ③政治家の力の根源とは何か。

勿論、官僚への監視と対抗が政治家の役割とはいえ、力がないと政治家はその役割を果たすことができない。

なぜなら、官僚とは頭の良いエリート集団である。
それが組織となって大量にいるわけだ。
そんな相手に、安易な圧力や口のうまさでは、やり返されて終わるだけだし、暴力はもってのほかである。

なら、どうやって政治家は官僚に対抗できるのだろうか?

その答えは、参議院議員で自民党所属の青山繫晴氏が昔言ったことにある(※表現はうろ覚えの意訳なので、間違っていたらごめんなさい)。

「派閥に入ってもいないし、議員一年目の自分では官僚は相手してくれないと思ったが、ちゃんと話を聞いて、意見を踏まえて動いてくれた」
「それはどうしてだろうと考えたら、それはその分野に対する自分の深い専門知識と、自分が単独で取った60万票を官僚は見ているからだ」

深い専門的な知識と、数ある民意。

それこそが政治家が良い政策をしたいとなった時に、官僚に対抗する唯一の方法なのである。

 ④派閥の必要性とは?

では、政治家がその、専門的な知識と数ある民意を得る為には、どんな方法があるだろうか。

その方法こそが、派閥なのである。

青山繁晴氏のように単独で、その分野に滅茶苦茶詳しく、かつ国民の皆に知れ渡っていて大量の投票を受けられる人間は、あまりに少ない(そこまで有能で政治家になりたがるような人間は、もっと少ない)。
しかも政策とは、特定の分野だけやれば良いものでもないし、その分野を良くする為に一つのアプローチだけをすればいいものでもない。
ただでさえ数が少ない上に、分野に詳しくて複数のアプローチができ、かつ民意を持つ人間を全分野でそろえなければ、政治家は官僚に対抗できないのだ(そこに、官僚へ対抗する技術を持つことも大事となる)。

そんなあまりに難易度が高いことが、できるのだろうか?――いや、できるのだ。

その困難を、現実的な難易度にまで落とす方法が、派閥を持つということである。

政治家単独で分野に詳しくて、数ある存在を用意することはできない。
だが、政治家になりたい人間に、分野に詳しい人間と数ある民意を加えることはできる。

それが政治家の後ろにつく、政治家のパーティ券を買ったり、組織票を渡したり、政治家に陳情したりする企業や専門家団体である。

政治家単独で力を持てないのならば、複数で持てばいい。
そういった議員が複数集まれば、より専門的な知識や数ある民意となるし、
そこでできた派閥が党内に複数あれば、同じ専門的な分野でも違った態度を取ることができる。
結果、その議論ができ、それに関する人脈を持つことができる。彼らに話を聞いたり、説得したり、技術や資源を借りて、政策に役立てることができるのだ。

これこそが、現実の複雑な問題に対処できる、現実的な問題解決能力である。
全てはカバーできないし、金を出せる既得権にばかり偏りがちだし、背景の団体の言いなりになりがちで問題はたくさんあるが、それでも派閥があれば、ある程度は官僚に対抗できるのだ。
これを持つからこそ自民党は与党担当能力を持つし、これを持たないからこそ民主党は政権を維持できず、あっさりと野党に転落したのだ(もちろん、民主党議員の悪意的な発言や事件が目立ったのもある)。

そうして派閥は、議員を固めて数を成すことにより、専門的な知識と数ある民意を含めて官僚に対抗してきたわけだが、今の流れに乗っかり、派閥が解体されてしまうと、どういうことが起きるだろうか?

それは、専門的な知識を持たず、数ある民意を持たない、意味のない一議員ができるだけである。
そんな相手など、官僚にとっては簡単に倒せる雑魚である。

つまり、派閥の解体は、官僚の天下に繋がってしまうのだ。

官僚は自分達の言うことを聞いて、自分達の政策をそのまま実行し、望むように大増税をしてくれて、自分達の失政すらも押し付けられる相手を、総理や議員にするだろう。

「今回は女性が総理で、女性が半分以上いる内閣で、女性の力で社会を変えます」
「今回は今までで一番若い人が多い内閣で、若者の為の政治をしてくれるでしょう!」
「今回はLGBTや障碍者の人もいる、弱者のことをわかっている内閣です!」

何の中身もない議員を、そんな安易な言葉でごまかし、いつも何か新しい看板だけをつけて政治を回す。
そんな、だましだましの政治が、表では続けられることになる。

一方裏では、大増税の低福祉で、国民が苦しみ、
ろくな革新もできないまま、国際社会で企業が負けてばかりいて、稼げない日本企業ができる。

財務省が金を取り上げ、あらゆる場所で金が不足し、優れた知識や人材を維持できず、あらゆる場所で事故が毎日のように起きる元技術大国日本は、
無法のやり方や一発逆転のやり方で稼ぐことだけが正しい社会になってしまうだろう。

そして、そんな社会が行き着く結果として、

本当は官僚が悪い事に、多くの国民が気づくようになり、
官僚の支配を受けない官僚を過激に批判するだけの人間が、総理になるだろう。
そして、その人物があおる熱狂により、表では総理による省庁解体が進み、
裏では官僚に対する襲撃やテロ行為が行われることになる。

そうなれば、ろくでもないが一応は専門的な知識を持った官僚により、かろうじて維持されていた国が、完全に崩壊することになるだろう。

これが、ニュースに流され、派閥を安易に解体した国の、末路だ。

そんな社会は、国民や企業は勿論のこと、メディアや官僚もなりたくないはずだ。

だから私は、議員や裏金を批判するならともかく、派閥解体まではやめておけと思うのである。
(これはあくまで私的な妄想だが、今回の事件の流れは、裏金の存在を知っていた官僚が、政治家達にとどめを刺して、自分で自由にやる為に作っているものか、減税の流れの矛先反らしのように思える。だから私は彼らに言う。こんな末路になりたくなければ、ほとほどにしておけと

 ⑤派閥以外の道はあるのか?

「今は派閥は解体するべきではない? ならこんなことをする自民党派閥に期待していいのか?」
と思う人はいるだろう。

実際の所私には、現在の派閥がちゃんと政策をし、官僚に対抗しているとはあまり思えない。
そんな派閥政治を続けてみたところで、ちゃんと官僚に対抗できる派閥になっていくことは無理で、だんだんと悪くなっていくだけだと思う。

派閥以外で機能させる方法として、
特定政策の研究会や議員連盟をうまく使えば、そういった専門的な知識や、数ある民意を含めることができるかとも思ったが、あれはあくまで特定分野での一時的なものでしかなく、
他の分野も踏まえた全体的な調整をしたり、長期間を見据えた視点を持ちうるものとなると、現在の方法の応用ではうまくはいかないと思う。

なら、どうすれば良いのか。

で、その方法について考えたのが、私がこれから元旦に投稿する予定の『世界を変える方法』。その方法論の三番目にある、『分野別都市論』である。

この都市論はyoutubeで流すゆっくり動画として作ったものである。
一連の動画を見たあなたは、派閥どころか政党すらなくとも、官僚に対抗し、国民の為の政治を実現する、専門的な知識と数ある民意を持つ政治家を作れる方法があると、知ることになるだろう。

そのリンクはこちら
https://www.youtube.com/channel/UCgplf1CQoRcvRI3Lti8VM6A

で、元旦には、その世界を救う方法の全体と、ゆっくり動画の第四回を投稿する予定となっています。
今後は、毎月一日には動画一つを投稿することを目指すので、よろしくお願い致します。

これからも、その世界を救う方法に関して、何かしら投稿していくと思うので、私のnoteのフォローとこの記事へのスキをよろしくお願いします。


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