「ズッコケ三人組の卒業式」の感想

第一作から走り続けてきたこのズッコケマラソンも、いよいよラスト。一作目の感想を拙blog

「昨日の罪、明日の罰」

に書いたのが去年の2/18。ちょうど一年かけて読破したことになる。平均すると週一ペースですね。

さて、堂々の最終巻は、卒業の記念にクラスのみんなでタイムカプセルをうめるところから始まる。この時点で、全巻読んできた読者なら必ず思い出すのが「未来報告」だ。未来報告は三人組の20年後が描かれていて、同窓会に際してタイムカプセルを掘り起こすところから事件が始まる。そのときにキーパーソンとなるクラスメイトや埋めるアイテムをちらっと書き込んでくれているところが憎い。

その他冒頭でも、担任の宅和先生が校長に、文化祭の出し物が一部保護者からクレームが来た、と小言を言われている。これはあの名作「文化祭事件」で三人組含むクラスメイトたちが上演した「アタック3~極道編」を踏まえての発言だ。

さらにはモーちゃんが感慨深げに、「26年くらい6年生をやっていた気がする」とまさかのメタ発言で泣かせてくれる。と同時に、いくつもの世界線を分岐しながら6年生を繰り返してきた彼らの中で、モーちゃんだけにはその記憶が残っている…?と、マドマギ履修済みの私はドギマギしてしまう。

さて肝心の内容だが、これがビックリするほどに「いつものズッコケ」なのだ。作者お得意の推理もの。途中、ハチベエが誘拐され監禁されるのだが、そういえば第一作目の一話目も、ハカセがトイレに入ってたら泥棒に入られてトイレから出られなくなる話だったなと思い、ぐるっと一周した感じを勝手に抱いたのでした。

そして、今作の大事な点は、これをもって担任宅和先生が教師をやめる、というところにあります。その理由として先生は、「自分の考えでは今の教育に合わない気がする」と述べるのですが、これはそのまま、作者がズッコケを完結させる理由として語った「ズッコケの世界観が今の子供たちに合わなくなってきた」と一致するのです。三人組を見守ってきた宅和先生の姿は、そのまま作者に通じるのかな、と思いました。

そしてそして、花山第二小学校の卒業式なんですが、めっちゃいいんですよ。作品には登場しませんでしたが、小学校には数名、外国から来た児童もいるらしく、その子達の国籍の国旗を日の丸と共に掲げ、国歌も君が代だけでなく、全ての国歌を歌うんです。これって、作者が思う理想の、というか、こうじゃなきゃ!という形の卒業式なのかな、と思ったのでした。

はー完結したー。ここまできたら、中年三人組シリーズも読まないわけにはいかないので、そのまま読書感想文、続きます!

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