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読んでよかった、アクセシビリティの本

こんにちは、GMOペパボでデザイナーをしています、たるたるです。

GMOペパボデザイナー Advent Calendar 2021 の6日目。
今回は「アクセシビリティ」に関する本を紹介しようと思います。

はじめに

今年に入ってからアクセシビリティに少しずつ興味を持ち始めたアクセシビリティ初心者の私ですが、最近は本を読み漁ってます。

というのも、はじめはWebのアクセシビリティを向上させるための方法・技術からアクセシビリティに触れ始めたのですが、誰がどう使ってどのように役立っているのかという部分については正直フワッとしか理解できていませんでした。

ところが、最近身内に肢体不自由者がいるようになったのをきっかけに、やっと少しずつ自分ごと化できるようになってきまして、具体的な方法ではなく、まずはアクセシビリティの本質をもっと理解したいなと思うようになり、アクセシビリティに関係しそうな本を探して読む日々を送っています。

今回は、そんなアクセシビリティ初心者の私が最近読んだオススメの本をいくつか紹介していきます。私と同じように、これからアクセシビリティを学んでいきたい!という人たちの参考になると嬉しいです。


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①アクセシブルデザインの発想 不便さから生まれる「便利製品」

みなさんは、アクセシブルデザインが日本で生まれたのをご存知ですか?国際標準化機構(ISO)がアクセシブルデザインと表現した言葉は、元々は日本が提案した「共用品」と呼ばれる考え方でした。(知らなかった...!)

この本は、障害を持つ子どものためのおもちゃを開発されていた星川さんの実際の活動をもとに、共遊玩具の開発から始まり、そこで生まれた工夫を他業界へ広め、「共用品」としてのルールを作り定着させた物語が詳細に語られています。

実体験をもとに書かれたこの本は、個人的にすごく読みやすかったです。歴史を辿りながら、今でも当たり前のように生活に溶け込んでいる共用品がどのように誕生したのかが解説され、まさに誕生秘話を読んでいるような感覚でした。アクセシビリティに興味がある方ならワクワクしながら読み進められる一冊だと思います。


②共用品という思想

この本では、ユニバーサルデザインやインクルーシブデザインなどの世界的な動きを押さえつつ、日本で誕生した共用品のこれまでの歴史とこれからのことが解説されています。

先ほど紹介した『アクセシブルデザインの発想』よりももう少し詳しく解説された本で、体系的に共用品の考え方を学ぶことができるので教科書的な使い方に向いているように感じました。

この本の中で解説されている共用品を創る際に必要な5つの要素「気づく→動く→形にする→共有する→続ける」の解説は個人的にとても興味深く感じました。特に「気づく」については、高齢者や障害者の不便さを正しく把握することや一緒に解決策を考えることが大切と述べられており、方法がある程度確立されつつある現代のWeb・アプリのアクセシビリティの取り組みでも変わらず同じことが言えて、見失ってはいけない部分だなと改めて強く心に刻みました。


③目の見えない人は世界をどう見ているのか

3本脚の椅子は、4本脚の椅子から脚を一本抜いたものではない。同様に目が見えない人も、目が見える人が目を瞑った状態とは全く異なる。目が見えない人は、その姿が完全であり、目が見える人とは異なる独自のバランスで世界を感じている。

この本では、目が見える人と目が見えない人で世界の捉え方がどのように違うかが語られています。(めちゃくちゃおもしろかった...!)

障害をタブーとするのではなく、世界の捉え方の違いとして触れ、まるで異なる文化を持つ外国を旅するかのように語られています。

目を瞑っただけでは想像できない、自分の当たり前が通用しない世界がそこにあると気づせてくれる本です。新たな発見を求めて読んでみることをオススメします。


④アジアの障害者のアクセシビリティ法制: バリアフリー化の現状と課題

アクセシビリティの取り組みは、もちろん日本だけではありません。

この本では、障害者の直面するアクセス障壁やその解消に向けたアクセシビリティの法整備の実態をアジアの6ヶ国(韓国、中国、ベトナム、タイ、フィリピン、インド)に対して調査し、分析を行っています。

正直、この本の内容は難しかったです。法律がたくさん出てきて何がなんだか...となりながらパラパラ読みました。

ですが、国ごとに直面している課題が違っていたり、方針が異なっていたりするのは面白いと感じましたし、方針は違えど、施設や交通、情報・サービスに対するアクセシビリティの必要性はどの国も認識していて、国として既になんらかの動きあるということだけでも感じ取れて勉強になりました。

日本に住んでいる私にとって、外国のアクセシビリティ事情を考えることはあまりありませんでしたが、外国の取り組みに興味を持つ良い機会になりました。

法律にお強い方がいましたら、ぜひ読んで私に詳しく教えてくださいw


⑤インクルーシブデザイン: 社会の課題を解決する参加型デザイン

近年、アクセシビリティやユニバーサルデザインと一緒に使われることの多い「インクルーシブデザイン」。

この本は、そのインクルーシブデザインがどのような考え方なのかがまとめられた一冊で、ユニバーサルデザインとの違いや排除という考え方とその種類、実際のデザイン事例などが解説されています。

私が知りたいと思っていた「アクセシビリティの本質」は、インクルーシブデザインのことを指していたのかもしれないなと感じました。どのような排除が考えられるのかを理解し、排除されている人やコミュニティと一緒に解決していく参加型デザインというアプローチ。

実際の事例紹介だけでなく、企業・組織でインクルーシブデザインを実現する際の課題なども言及されていたりして、現実的に語られている点もとても好印象でした。

インクルーシブデザインの全体像を知りたい方は、この本を読むのが一番手っ取り早いかもしれません...!


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まとめ

以上、アクセシビリティに関連する本5冊の紹介でした。今回は簡単な紹介でしたが、どの本も非常に奥深い内容となっていますので、もし気になった本がありましたらぜひ手に取ってみてください。ちなみに私が次に読もうと思っているのはこの2冊。どちらも既にKindleで購入済みですが手付かずになっていたので、年末年始にでも読もうと思います。

明日、GMOペパボデザイナー Advent Calendar 2021 の7日目は、モニカさんです!お楽しみに〜🧤


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