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ドはド以外の音になりたい


Once you label me you negate me.
-もしもあなたが私にレッテルをはるなら、それは私の存在を否定することになる- (キルケゴール)

1.ドはレにはなれないのか?

「ドレミファソラシド」と聞けば、「ド~はドーナツのド~」と脊髄反射で脳内再生されるが、「ド」は「ドーナツ」の「ド」ではないらしい。

元々、「ド」ではなく「ウト」であり、そして、「ド」は「Dominus(主=キリスト)
」の「ド」らしい。
詳しくはグイード・ダレッツォさんに聞いてみよう。

と、うんちくに終止符を打ち本題に入る。

ドはレになれないのか

ドがレになりたいと言ったらあなたはどうするだろう。
きっと心優しいあなたは「そうですか!どうすればレになれるか一緒に考えましょう」と言うでしょう。

では、どうやってドをレにしましょうか。
考え方はいくつかあります。
①そもそもドはレである
まず、ドとレの違いは何か。
音が違う、形が違う、濁点がある等々

では、そもそもそれは違いなのか。
音であるという点では同じであり、形があるという点では同じであり、濁点があるかないか何て大きな違いではない!!(強引)

とすれば、ドはレであり、レはドであると認めてあげることはできそうだ。

②ドはレではないがレにする
まず、ドは残念ながらレにはなれそうにない。なぜなら一目瞭然、形も音も違うからだ。ただ、ドの中にも「シャープなド」なるものがいるらしい、レの中にも「フラットなレ」もいるらしい。そして、「シャープなド」と「フラットなレ」は似ているらしい。互いの境界線が曖昧ならお互いに同じであると認めてあげることもできるだろう。

とすれば、ドはレではないがレにしようとなるのではないか。

どうやらドはレになれそうだ!!

が、しかし、こういう時って大抵は、「シャープなレ」がやってきて言うわけですよね。
「おいっ!ドがレになれるわけねえだろ!!生きてる世界が違うんだよ!お前はシャープだけど所詮はドやろがい!」

何とも困りましたね。確かに一理あるかもしれない。
さて、どうしましょうか。どうしますかね。

2.あなたはドか

あなたはどうだろう。あなたはドか否か。
「いやーさすがに音符ですからね。私は人間ですからね?最強の霊長類ですからね?」となるかもしれない。

では、本当にドではないのか。
何が決定的に違うのか。そもそも私とそれ以外という明確な境界線を設ける必要性があるのか。

私は何者で、あなたは何者か。

『自分も他人も知っている自分』
『自分しか知らない自分』
『他人しか知らない自分』
『他人も自分も知らない自分』

全て「自分」ではあるが、「本当の自分」ではないものがあるかもしれない。
相手に押しつけられた「自分」は「本当の自分」ではないと思う人もいるだろう。

私たちはレッテルを貼られ、相手にレッテルを貼り生きている。
決して非難はできない。社会で生きている以上は定義が必要なのだ。
社会とはコミュニティと同義であるといってもよい。
コミュニティでは秩序が必要になる。
秩序とはルールであり、どこかで線引きをすることである。線を引くということは定義をすることだ。
具体的には、家族であり、性別であり、職業、国家、人種など多岐にわたる。
この線引き(定義)は、今、ここにある価値観(民主主義国家であればコミュニティの代表者たちの意思決定)により決まる。

コミュニティの数だけ価値観(定義)があるのは、人が一人として全くの同一の価値観を持っていないことからも自明であると言える。

「あなたと私は異なる。完全に交わることはない。」

これは事実であるが、定義次第である。
定義は誰かによって決められたものではなく、自分自身、私たちで決めるものだ。
自分が多面的であり、どんな自分も自分であると認めるか否かも自分次第である。

自分という内であり外である枠を拡張し、他者の枠と交じることで境界線を曖昧にすることも可能である。
「あなたはドであり、ドはあなたである」という一種の馬鹿げた考も自分がどのようにレッテルを貼るかでは現実的なものとなる。

3.ドはド以外の音になれない

「シャープなドとフラットなレ」の関係をレの同族であるシャープなレは認めないというのは、ありふれた光景である。
実際に異なるものは異なる。異なると定義することを咎めることはできない。

ドはドでしかない。

ただ、異なるとすることは、時に
自分を苦しめ、相手を苦しめてしまうことがある。
私は私であり、他者は他者である事実は不変的である。
無理に異なることを避け、溶け込む必要はない。
溶け込みたいとするものが現れたときに境界線を曖昧にできるかどうか。

包摂的、寛容どう具現化できるのか。
シンプルであるが、現に蔓延る摩擦はどうにかできないものか。

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