第八話 「父とお酒を」
帰りの新幹線に、私は一人でいた。新神戸の駅で雄太とは別れた。雄太は改札で、私に握手を差し出し、私が添えるだけの握手で返すと、なぜかハグしようとしてきたので、やんわりと逃げた。いつまでも手を振る雄太をあとにして、私は、エスカレーターを駆け上がった。
今、私の手元には、一本の日本酒がある。あの幸男さんに出してもらった、古い『神童』である。木の香りのする、あの酒だ。一升瓶をリュックに突っ込んで、持ち帰ろうしたが、その重さでグラつき、リュックから落ちたりしないか心配で、私は仕方なく