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妊娠した高校生は退学に追い込むのが正しい日本のあり方なのか?

昔、プラン・インターナショナルなどで「女子の児童婚」を問題化しているのをちょっと不思議に思ったが、その原因は、タイトルの本文を読んで理解した。 若すぎる結婚は、女の子を「専業主婦」として学力を奪うことに直結していることが圧倒的に多いからだった。

ものすごく乱暴なくらい大雑把に言ってしまえば、学力(最終学歴)と生涯年収は正比例の関係にある。つまり、文盲の人は搾取されやすく、高学力の人は収入の高い仕事につくチャンスが増えるということだ。(文字が読めなくなる病気の人とか、高卒の公務員のほうが大卒より生涯賃金が高いとかそういうあたりは知っているが、今は「些末事・例外」として話から除外する) 国際的慈善団体で「早すぎる女子の結婚」を防止活動をしているのは、「女子から学びの時間と機会を奪わない・女性の地位を向上させる」という目的のために行われている。

私は、子供の頃は、「愛し合う高校生や中学生の結婚を認めない・女子に中絶をさせる」などはおかしいと思っていた。大正時代あたりなら、15歳の母というのは朝ドラにすら出てくる「普通のこと」だった筈。

肉体的には、初潮を迎えたばかりの頃は、子宮もまだ未成熟なので、数年待ってからのほうが母体にも子供にも安全らしい。だから「13歳で母親」とかいうのは、肉体的に早すぎるとは思う。(個人差はあるにしても)

大正時代あたりは、「女性は結婚したら、就職ができないので、夫の収入で一家の生計をまかなうのが普通」であり、早い結婚も普通という社会構造が今と違う状況にあったことと、医療技術が今ほど進歩しておらず、平均寿命が短いため、多少のリスクを犯しても、女性には複数の子供を産んで欲しいという状況だったこと、それと大正時代は軍事国家の幕開けであり、女性の地位が法律によって低下させられた時代であり、「産めよ、増やせよ」と出産が奨励された時代でもあったからと思われる。
つまり、沢山産めば半分強は男子になるので(確率論的に)、将来の兵隊を増やすためにそういう国策を取ったものと思われます。女性の人権を踏み台にして富国強兵を急いだ時代とも言える。そこに戻ることは女性にとってユートピアに行くことではないことは承知しているので、あくまで「そういう時代もあった」という軽い認識だ。そこに戻れば良いと思っているのではあない。(まあこれは余談)

問題の本質は、「婚姻や出産によって、その女性の学習機会が当たり前のように奪われてしまうこと」と、「学力(学歴)が低いために、無職もしくは賃金の低い仕事にしかつけなくなってしまうこと」と、「家庭内での力関係は個々人の収入差によっても形成されがちであること」(個人差はある)事。「誰に食わせてもらってると思っているんだ!」と夫に恫喝されるような状況では、まともな夫婦喧嘩すら多くの女性は怖くてできない。また、これらがDVの温床ともなり、シングルマザーとその子供の貧困問題にもつながっていく可能性も上がると思わる。

それらを解決する方法としては、未成年のうちに愛し合う男女が子供を授かった場合は、
・法律の特例として「結婚」を認めること
・妊娠した若い女性は妊娠した女性教員同様に産休・育休・復学を当たり前のこととして国や自治体が保証すること
・子供は保育園に優先的に入れること、保育費は無償化すること
・夫にも「産休・育休」を奨励し、復学も認めること
 「産ませてトンズラ」とか「知らぬ顔」とか「他人面」とか決めこまれるのは困る。子供のDNAは両親双方のもの。父親側にも責任は取ってもらうのが当たり前。これが当たり前になってないから困る。だから、結婚を認めた上で、「産ませた」方である夫にも逃げられないように「産休・育休」を進め、両性で生まれた命の世話をするようにすることが大事になる。
・子供の生まれた若い学生に対しては、就職するまでは子供の保育園や給食費など、子供にかかるお金を無償化すること、核家族になった場合は充分な生活費補助を国や自治体が支給すること。

法律や条例をちょっと変えて、予算配分をほんの少しそれに割くだけで、充分実現できるのではないかと思われる。

というのも、大多数の学生は就職するまでは学業に専念し、恋愛したとしても子供を設けるのは就職してからが己の生存戦略に有利であることを知っているので、「恋に落ちて子供を授かってしまった」若者というのは、それほど多くないから、学生夫婦とその子供に100%の生活補助をしたところで、少数派なので、大した費用にはならないだろう、という読みからくる。

また、こういった制度を整えることにより、「日本は福祉政策が向上した、女性の地位向上に1つ貢献した」と、日本の評価が上がるので、国策としても損なことではないと私は個人的には思う。

極端な場合、親がちゃんと「親業」を果たせるようになるまでは、子供を国営・公営の孤児院に一時預かりするという方法も取れる。 学生をしながら子育てをするというのもかなりの負担だろうとも思えるからだ。

「少子化対策」を本気でやりたいのなら、「愛の結晶」はお国で一時預かりしてでも、若い男女の基礎学力の向上も両立させ、稼げる人材を一人でも多く育成するのが、総体的に言って国の利益にもなる。
そのあたりをちゃんとやらないのは、単に国や自治体の怠慢であると私は解する。

こういうことを直す気が無いのであれば、女子は英会話を本気で学習して、生涯賃金の高い海外の会社に就職する可能性は今以上に増すだろう。 誰だって、「より良く生きる」権利はあるのだし、「同じ能力ならより賃金の高い会社に就職したい」という気持ちは止めることができないし、それが国内から海外に移るだけのことだ。

テレビで、日本と他の先進国の賃金上昇率のここ30年の推移が簡単に見られてしまう時代だ。私が今女子学生だったら、英語を最優先順位で勉強して、海外に留学して、そのまま就職する戦略を練るだろう。日本は、女性にとって居心地の悪い場所であることがバレてしまっているからだ。


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