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影響から来る全能感

影響されやすい。

世界には色んな芸術作品がある。

僕は漫画や映画、ドラマ、アニメなども芸術と捉えている。

あれは作り手の想いや癖が出る。もちろん思想なんて全面に出るし、人によっては自己投影、つまり自分が経験してきた事象を作品に入れたりするのだ。

それが絶妙な調味料のように上手く調和し、人の心を揺さぶる。
言わばその人自身の結晶が作品なのだ。

音楽もその一つだ。

歌詞には書き手の思想や価値観、世界観がハッキリと出るし、メロディなどには趣味やその人音楽性がモロに出るだろう。

その人が今まで聴いてきた音楽が、経験が、全て曲に出る。

ロックな曲を作る人が「ロックなんて聞いたことないです。別に好きなジャンルでもないし。僕が好きな音楽はスピッツとかですよ。スピッツ。」
なんて言う人はまあいないだろう。

いたとしても一部のコアな音楽ファンから総叩きにされる気がする。

「お前のようなやつがロックを作るな。勝手に出てきて語ってるんじゃない」と。

芸術に限らないかもしれないが、幼少期や学生時代に触れたものが自分の作品に出るのだ。

「僕、◯◯さんに憧れて、音楽始めました!」

よく聞くセリフ。
有名人が下積み時代を語った後によく聞く。
「初めてあの人に会った時は感激だったなぁ!」と言っているのが目に浮かぶ。

人は影響を受け、そのインスピレーションを自分の形に落とし込み、整理し、大成するのだ。

なにかにのめり込み、今度は受け手ではなく、作り手になりたいと思う。

僕はそういう憧れから始まり自分も————という展開をとても良いと思う。

胸が熱くなる。あるものに憧れ、今ではそれになれている、限りなく近づいている。

まさに漫画のような展開じゃないか。

しかし、僕は影響されやすい。

何にでも影響される。憧れる。

「色んなことに興味を持つなんていいじゃない。」
こう言う人もいるだろう。

違う。影響されやすい、憧れやすいを言い換えると、揺らぎやすい、目移りしやすいとか言う軽〜い感じの言葉になる。

例えば、僕が「これまでの人生、一生懸命頑張って勉強して、その中で報われる主人公」みたいな映画かなんかを見たとする。

そしたら僕は見終わった3秒後には「こんな人を目指そう。勉強のやる気が湧いてきた。まだ間に合うはずだ。こんな男に僕もなるぞ。」と意気込むだろう。

その後にぶっ続けで「自由奔放で、適当な性格。常時ふざけているが、いざという時は凄まじい風格を見せる主人公」の映画を見る。

そしたら僕は見終わった1秒後には「こういうふわふわした男の真剣な表情ってかっこいいなぁ。こんな渋い男になりたい。こんな男に僕もなるぞ。」と意気込むだろう。

ハッキリ言って情緒不安定である。

さすがに尻が軽すぎるのではなかろうか。

さっきまでのお前はどこに行った?となるわけだ。

僕は心変わりが激しいのだ。

音楽にどっぷり浸かったらミュージシャンになりたいし、映画やドラマの世界にどっぷりなら俳優になりたい。

バクマン。を読んだ後は本気で漫画家になろうとしたし、ブルーピリオドを読んだ後は画家になろうとした。

もう尋常じゃないくらいブレっブレである。

現実を見ずポジティブな言葉で表そうとするならいくらでも表せる。

「夢がいっぱいある」「自由でいい」「何事にも縛られない」とかなんとか。

それに僕のタチが悪いところは影響をフルに受けている三日間、謎の全能感で満ち溢れているところだ。

わかりやすく言うと、「主人公が最強」の漫画を読んだとしたら自分もなんだか強くなった気がしたり、「喧嘩」がテーマの漫画なら自分も何か喧嘩が強いがする。

なにか「人間の真理を突く」ような作品、「悲劇」や「絶望感」をテーマにしている作品なら人生やら環境やらを達観してなにか小さく絶望するし、「もう嫌だなぁ」と感傷とそんな自分の優越感を錯覚するだろう。

別にそんなことないのに。

その時その時で自分と環境の捉え方が違いすぎるだろ。情緒不安定だそんなの。

日常生活でも感情の起伏が激しい僕が、芸術なんていうザ・感情揺さぶるツールのようなものに触れたら心電図風にしたらそりゃあもうトゲトゲだ。
ナースから主治医からなにから全部飛んでくるだろう。

ジャンルに関わらず作品を見たらこれまでの意思がブレるからあんま見ないようにしようかなと思う時もたまにある。


でも…

その全能感と憧れに燃えている時が1番楽しい。
なにか向かって轟々燃えてる時にガーーっとやってしまうのが1番楽しいし気持ちがいい。
その時は何故か不安が少ない。全能感からくるんだろうね。

だから僕はこれからも芸術に触れます。

言い換えればガソリンだもの。

それがなかったら動けないから。

影響からくる全能感は、時に僕をレーシングカーにしてくれます。

普段は自転車だけどね。

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