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「読書」について思うこと(前編)

 以前は「読書が趣味」と言えるほど読み耽っていた時期があった。今はなんだかんだと他の事にかまけて(これ書いてるのもそうだが)、好きなはずの本を読んでいない。
 今後はその時間を取り戻したいと思い、本に触れるようになったきっかけや、好きな作家や作品についてまとめてみる(今回は一部を除いて敬称略)。

●きっかけは親父の本棚から

 リビングにあるそれほど大きくはない本棚に、親父は文庫本を並べていた。小学生の頃にそれらを何気なく手に取り読み始めた。

 星新一、阿刀田高
のショートショートは、今思えば読書を始めるには非常に良かったと思う。毎日夢中で読んだ。また、小松左京監修「雑学おもしろ百科シリーズ」もスキマ時間に軽く読めるので、これらの作品に読書の楽しさを教えてもらった。
 今でもノンフィクションや啓蒙本をほとんど読まないのは、この頃に読んだ作品の影響が大きくて、基本的に「読書は娯楽」だと思っているからだ。

 その後同じ本棚から取った長編は阿佐田哲也「麻雀放浪記」、新田次郎「アラスカ物語」、高木彬光「刺青殺人事件」、島田荘司「御手洗潔シリーズ」など。特に推理小説として初めて読んだ「斜め屋敷の犯罪」はスケールのでかいトリックで当時衝撃を受けた。

●筒井康隆作品と出会う

 中学生の時に同級生から教えてもらったのが筒井康隆「乱調文学大辞典」
 それまでの娯楽では触れた事のなかった、洗練された悪ふざけや絶妙なおちょくり加減に、当時の私はかなり感化された。以来、最も沢山の作品を読んだ作家となり、今も物の捉え方や視点は影響を受けていると思う。
 特に記憶に残っている作品は以下の通りである。

「霊長類南へ」「東海道戦争」「最後の喫煙者」「脱走と追跡のサンバ」「七瀬シリーズ」「富豪刑事」「大いなる助走」「虚構船団」「文学部唯野教授」「ロートレック荘事件」など。

 「富豪刑事」が連続ドラマ化された時はかなり不満で、一話だけ見て続きを見るのをやめた。
 「大いなる助走」は腹がよじれるぐらい笑った。
 「最後の喫煙者」はいくつかは現実化していると思う。
 「ロートレック荘事件」で使われたトリックは、私にとってはこの作品が初見だった。
 ……ほんとに、筒井さんのは振り返ればいろんな思い出が蘇ってくる。

 筒井さんの文章は独特で、今の時代では許されないような表現もあるから(創作物でそんな事を許容されないのはつくづくつまらないと思うが)、筒井さんのような作家が今後出現するのは難しいと思う。

後編へ続きます。➡️

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