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TARPノート 2023/3/21(霜田哲也

ここでは絵のzine TARPに参加する人たちがなにか書いたり写真や絵をUPしたりします。
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今回のTARPノートは霜田哲也さんです (Twitter Instagram)
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恋人と2人で1枚の絵を描くことになった。誰からか依頼されたわけでは無いが、たまたま展示が決まっており、さてどうするかとなった時、どちらともなくそういうアイディアが出て実行に至ったという経緯である。
5年ほど前に京都のとあるバーでも恋人と2人展をしたことがある。その時も合作ということで何点か作りはしたが、どちらかというと個人作業の方が多く、名目上2人展という形で行った。
今度のは1枚のキャンバスを前に、せーので2人同時に描き始める。何を描くかは軽く決めたり決めなかったり。決めていたとしてもどんどん逸れていき、その場の感覚的なものを頼りにセッションをした、という感じである。と言っても私は兎に角考えてしまうタイプである。絵筆を握ったはいいがさてどうするか、絵の具は何にするか、どこにどう描こうか、しばらく思案に暮れていると目の前をサーっと筆やスキージが滑る。やられた。気づけばそこにはもう色彩の海、或いは無数の線が引かれている。なるほど、絵はこうやって描くのか、ならば私もと普段しないような大体に絵の具を殴りつけたり、擦り拭い取ったりと自分でも思わぬ行動にでる。これには驚いた。かと言ってそうとばかりに行えばCy Twomblyなりのクールな抽象絵画に仕上がり、渋いギャラリーの常連達にはウケそうだなと思ったが、今一つメリハリのない画面に胡散臭さも漂ってこれではいかん!とやはり私は私なりにコミックスやポップなイメージを引用し、しかしいつも選ぶものよりもどこかチープでどうしょうもないものを、あまり何も考えずにえいや!っと描きつけた。そうやって生まれた抽象と具象の絶妙なバランスは馴染みやすいがどこか引っかかる奇妙でおもしろいものに仕上がった。と描くといかにも私の偉業のように聞こえてしまうが、恋人の大胆な姿勢無しでは私のこんな一面は引き出されなかっただろうし、実はこれが私の今度の個人的な新作にも繋がっていて頭が上がらない。ありがとうございます。

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