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TARPノート 2023/4/16(中村美和子)

ここでは絵のzine TARPに参加する人たちがなにか書いたり写真や絵をUPしたりします。

TARP(TwitterInstagram)

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今回のTARPノートは、中村美和子さんです(Twitter Instagram)

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床に寝転がって天井を見ていると、実家で暮らしていた頃を思い出す。
片付けや掃除が苦手で、常に散らかった部屋で過ごした。何をするにもいつも何かが邪魔で、紙の端が折れていた。おしりのあたりがむずむずして、落ち着かないきもちだった。
物を避けて床に寝そべる。白い天井が、隣の部屋に続いている。もし天井が床だったら、何も物がないので過ごしやすそうだ。床が天井で天井が床の、逆さまの世界をよく妄想した。
住宅系のチラシの間取りを見て、何もない部屋を想像するのも好きだった。

展覧会をすると、自分の作品について人があれこれ話してくれるのがうれしい。作品のことを、いろんな人が教えてくれる。本当に贅沢だなと思う。
すぐには受け入れられなくても、作品に向けられた言葉はじんわり溜まっていく。
あとになってから、自分にとって当たり前になっていたことを再び思い出させたりもする。

「中村さんの作品は、中村さんが出てる気がする」と言われた。私の中にある、散らかった部屋の部分のことかなと理解した。
白紙の上に何かを組み立てるというより、既存の散らかった部屋を切り取って白紙に置くような制作をしているのかもしれない。
ぐちゃくちゃの部屋で、整った白紙をいかに確保していくかの制作だったかもしれない。

一人暮らしの今の部屋も、それなりに散らかっている。
理想の住環境に向けて、何度も構想する。あれをこっちに、これをそっちに、動かしまくる。なんだかうまくいかず、手が止まり、立ち尽くし、疲れ、残念な気持ちになって、夜中なので眠る。散らかった部屋は残念なことに健在だ。

何を作れば良いのかわからなくなることもしばしばで、なさけない。でも、出来上がる物はなんであっても、白紙と散らかった部屋の往復によるものだろうと予想する。


そんなことより、福岡で展示してます

「定住」中村美和子
2023.4.2-5.27
Artist Cafe Fukuoka
福岡市中央区城内2-5(旧舞鶴中学校)
11:00-19:00
※月曜休館

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