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「ただオンライン化すれば良い、というワケではない。」

こんにちは!
利休さんよりヤバい茶人になりたいマエシマです。
(#今のところ勝てそうな要素はゼロです・・・orz)

さて、コロナ時代にありとあらゆるものがオンライン化しています。
多分に漏れず、「茶道」もオンラインでお稽古を始められた先生方も少なくないと思います。お稽古は、オンラインでも結構やりやすいです。やり方もかなり精度高くできる方法もわかってきました。

今日は、ガチの「オンライン茶会」の可能性についてお話ししたいと思います。

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先日、4名のお客様を招き、本気で「オンライン茶会」をやってみました。その結果をご報告したいと思います。
(#たぶんガチのオンライン茶会を作り込んだ人はまだいないと思うので、結構おもしろいと思います)

「初めてのオンライン茶会は、、、大失敗」

結果から、それはもう見事で壮大な「大失敗」でした。
「大いなる失敗には、大いなる学び」と信じて、ここにその失敗を共有し、もし、これからオンラインで何かを届けようと挑戦する人の何かの役に立てば、ボクの失敗も少しは活きるのかな、、、そう思い込むようにして記します。(#本当はこんな失敗、露呈したくない;;)

オンライン茶会の作戦

まず、マエシマは以下の作戦で挑みました。

●最も大切にしたこと
いつも以上に清らかな空間を。
ここ1ヶ月くらいでたくさんのオンライン稽古を経験して見えたこと。
それはオンラインだと「細いとこ見えないからキレイにしなくてもOK」という危険性を孕んでいること。コレは本当に危険!
お茶の場合だと掃除。
露地から茶室に至るすべてを清めること。
これを怠ると茶が崩壊します。
なので、逆に見えないけれど心が必ずでるハズだから、普段以上に露地(茶庭)をめちゃクソキレイにしようと思い、コレを核に据えました。

●マエシマが用意した弾薬は以下のとおり
・最強に綺麗に整えた露地(茶庭)
・正式な茶会ができるレベルの茶席の設え
・PCカメラとジンバルカメラでのライブ中継
(ジンバル=手ブレしない手持ちスタンドみたいなアレ)
・思い出に残る高画質映像作品
(記録より、記憶に残す)

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●タイムスケジュールは以下のとおり
①床の間の前でフリートーク
②ジンバルで露地(茶庭)をライブ中継後、にじり口をとおり茶室へ入る。
③茶室で茶会風景をライブ中継
④高画質映像作品でフィニッシュ!

一見すると良さそうに感じますが、大失敗でした・・・

「お客さんが茶会に参加できていない」
「お客さんの満足度が低い」

というのが、初めて挑戦した「正式なオンライン茶会」の飾らないままの感想です。

敗因:「オンライン」なめてました・・・

敗因は大きくは2点です。

①「圧倒的準備不足」
②「オンラインはマジで難しい」

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①「圧倒的準備不足」
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これはオンラインで「失われるもの」の大きさに気づかず、なんとなくいつも通りの感じで準備をしてしまっていたことです。
(#いつも通りでも「いつもギリギリ」なので、、、普段は「かすり傷」程度でもオンラインでは「重症」レベルになることがわかったよー)

そもそもの内容不備
オンライン茶会で「これを実験する」というような明確な案が浮かばずに走ってしまって、結局直前になって、バタバタっと決めるという始末・・・

スキル的不備
オンライン茶会リハーサルを遅くとも2日前までにはやらないとダメ。

*カメラ3台の動線の不明確さ
カメラの動きと被写体の動き、写りこみはかなりの精度で決めておかないと必ず失敗することがわかった。

(#たぶん映像のお仕事をされている人から見れば、素人が手を出してできるわけがないと一笑に付されるレベルの感想です。。。)

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②「オンラインはマジで難しい」
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もちろん露地(茶庭)も大切だけど、今回本当にやらないといけなかったのは「オンライン」について、血の匂いがするほどまで考えたのか?という脳の仕事です。
ここの手を抜いたんです。

これは本当に致命的だった。
「オフライン」と「オンライン」の違い。
何が失われているのか?の解像度を上げておかないと話にならなかった。

「オンラインで失われているものは何か?」
・におい、香り
・動き(行動、体験)
・音
・間
・リアクション
・稽古中の会話(みんなミュート)
・味覚(お菓子、お茶)
・視覚面積(見てるのは画面のみ)
・視覚クオリティ(不鮮明)
・参加者が何をしてるか不明
・光量
・空気、雰囲気、
・視線

「つまり、人の感動できるポイントが尽く奪われている。」

オフラインだから可能になった「カメラワーク」もお茶会からするととても新鮮で面白いけれど、それは「お茶人」には刺さるかもしれないけど、「一般人」には刺さりません。

比較対象が違うから。
「お茶人」は、「リアル茶会」と比較し、世界観がわかってるから余白を自分で想像できる。
「一般の方」は、画面の向こうの日本文化、つまり「NHKの自然映像」みたいなものとの比較になる。プロの映像作品と素人のライブ配信・・・比較にならないんですね....orz

「ただオンライン化すれば良い、というワケではない。」

500年も続く「茶の湯」。
それはもう本当にいろいろな時代のいろいろな茶人、数寄者の魂を込めた試行錯誤の結果、今の形が出来上がっていて・・・。
これをただただ、オンライン化したところで劣悪劣化版でしかない。

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「一度離れたお客さんは帰ってこない」
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勢いで受けたオンライン茶会。
実験中のオンライン茶会といえども茶会は茶会。
お客さんから見れば「オンラインだから面白くない」とは思わず、「マエシマのお茶会面白くない」っていう結論になってしまう。(#とても悔しい。)
それどころか、マエシマのせいで「お茶ってあんまり面白くない」となってしまいかねない。(#もう・・めちゃくそ悔しい。)

じゃあ、「受けない」方がいいのか?
というと、そんなのはもう「挑戦」ではないので失敗はしないけど、「止まってることがすでに失敗」というパターンなので、選択肢からは排除します。

じゃあ、「挑戦した分よかったんじゃん!」とは、なりません。
今回はシンプルで、
「挑戦したけど、手を抜いたからお客さんは戻ってこなくなったね。」です。
ここから目をそらしてはいけない。

今回の挑戦は【見えない露地(茶庭)の清浄さ】という方向でがんばってきました。手は動かしているし、結果も一目瞭然とキレイになってく。
ちゃんと進んでいることが確認される。(=なんか安心する。)⇦これが危険
(進んでいればいいというわけではなくて、そのスピードでたどり着けるか?ということからも目を逸らしてはいけない。)

「全く違う価値を探れ」

今回の実験(失敗)で見えてきた、とりあえずの答えをまとめます!

「オンライン茶会」で何ができるか、という実験で薄っぺらい付け焼き刃の技術に頼ってしまったことが敗因でした。
(そうなってしまった要因に脳内の準備不足があります。)

今回、身を持って感じたこと。
それは
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「ないことに、価値をだせ」
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です。

オンライン茶会はあんまり面白く無かったのに、zoom飲みなどは結構面白かった。オンラインであまりにも多くのことをやろうとして、寝首をかかれた感があります。

例えば、zoom飲みは「トーク」×「ドリンク」のみです。
おもしろ「トーク」が展開できれば、あとは少しの「ドリンク」という動作だけでも結構楽しくできるということを、zoom飲みで学んでおくべきでした。(#ただただ飲んだくれてた)

そういえば、ラジオでは流行ったけどTVでは馴染まなったもののひとつに「落語」があります。あれは40分間おっさんが座布団に座って喋ってるだけです。
他に何もありません。落語は「トーク」×「笑い」という構造で、皆が笑うことで参加してます。

ただでさえ、伝わりにくいオンライン。
構造をシンプルにして、
「情報量を逆に少なくして、相手の脳内の想像量を増やす」ことに専念すべきだったんです。

目指すは
「バーチャル茶の湯空間」ではなく「落語おっさん」だったんです。
ここを曖昧にしたことが敗因でした。

お茶の場合はたぶん落語のように
「ない方が、伝わる」ことがあるんです。

リスペクトしている先輩が先日こんな話をしていて、、

自宅キャンパーとして外でテントで寝たんだけど、夜中、獣の気配がしてドキドキした。けれども、よくよく考えたら飼い犬だった。(笑)

これ、飼い犬に野生を感じたんですね。
夜のテントにより、相手が見えないので、違う情報(気配、息遣い、足音など)を収集して、脳内で想像量がふえ、結果、飼い犬でも「野生のワイルドさ」が演出できたんです。

これです。こっち側で組み立てないといけなかった。
できるだけ、情報を減らして、、、
例えば、2部構成にして

前半は、2畳の真っ暗な茶室の中、
参加者も部屋も暗くして、イヤホンで参加させる、映像は茶釜の炭のアカアカと燃ゆる景色を写し、茶をたてる音で見せる。想像させる。

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後半は、明るい部屋で落語のように「お茶のおもしろエピソード」を中心に、それぞれの参加者自身にお茶を点ててもらい、それをマエシマが教えるというスタイル。

たぶん、これの方がより「マエシマのお茶」は伝わったと思います。
次のチャンスをつくって、秒即で改善して行きたいと思います!!!

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最後に・・・
今回ついでに見えてきたこともメモとして残します。
●オンライン茶会ワンポイントメモ
・茶会をする場合は、亭主がオンラインのホストにならないとダメ。
・集中モードでは、参加者ミュートを徹底すること。
・参加者の参加環境をこちらで指定する。(例:小さな部屋で外音の少ない所など)
・共有映像は、リアルタイムでなくて映像で良い
・リアルタイムで「何をすべきか」をはっきりさせておく。
・参加者の参加シロをデザインする(リアルタイムでは、自分は話だけをして相手に「体験させる」べき。)


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