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知って驚く!?腸活のウソ・ホント~ヤセ菌・デブ菌っているの?~~腸活ラボマガジンVol.3~


はじめに

皆さん、こんにちは。最近、芸能人の間でも腸活という言葉を聞く人は増えてきたかと思います。斎藤工さんが番組で腸活をされていると言及されていましたし、モデルの加治ひとみさんや道端カレンさんも腸活をなされているようです。

そういった背景もあり、腸活に興味のある人は芸能人や美意識の高い方から順に浸透してきました。
その中で、腸活ダイエットなども増えてきました。確かに腸活で痩せるのは本当です。そして、その場面で必ず聞くのが「ヤセ菌・デブ菌」という言葉です。
ですが、残念なお知らせです。ヤセ菌・デブ菌という言葉、10年遅れています
現状、コラムなどで見かける場合も執筆者が専門家ではないので、よくわかっていないのだと思いますが、そういった俗説や神話が広まっている状況があるので、ここでよくあるウソ・ホントについて解説したいと思います。
どんな分野についてもそうですが、大きな利益を得ることができるのは、イノベーターとアーリーアダプターです。イノベーターになれなくても、アーリーアダプターを目指しましょう。

イノベーター理論:https://www.utokyo-ipc.co.jp/column/innovation-theory/


人間のうんち1 gあたり、10^12 個の細菌が存在する?

これはウソです。
よく腸内微生物叢についての記事で見かけますが、湿重量ではなく、乾燥した重量の細胞数に由来している可能性がありますが、いずれにせよ間違いです。
様々な手法で測定された場合、通常ウンチ1 gあたり10^10~10^11個の細菌がいます1-3。

人間の腸にいる微生物の重さは全部で1~2 kg?

これも色々な記事やウェブサイトで見かけますが、根拠が薄いことが多いです。
微生物の重さは、うんちの半分未満です4。また、ヒトのうんちの平均の重さは、200 g以下です5。さらに突然死された方を対象にした研究では、結腸の中身の重さは83~421 gでした6。
よって、極度の便秘の人を除くと、ヒトの腸内微生物の重さは500 gを切りそうです。

ヒトの体の微生物叢の数とヒトの細胞の数は10:1?

これは、多くの文献で最も浸透している話ではないかと思います。これは、元をたどると、1970年代の封筒の裏の計算から生じたらしいことがわかっています7。しかし、これはウソです。
実際の数字は、おそらく1:1近いと推定されています。この比率は、個人差が大きく、宿主の体の大きさや結腸内に運ぶ糞便の量などにも依存します8。

善玉菌・悪玉菌

病気を引き起こす病原菌としての悪玉菌とその宿主との間の有害な相互作用で病気が発症するという意味のパトバイオーム(pathobiome)という言葉が普及していますが、これは、単純化しすぎで、誤りです。微生物とその代謝物に「善」も「悪」もありません。ただ存在しているだけです。
宿主としての僕たちの体に対する影響は、状況に大きく依存します。つまり、ある状況では有害な微生物や代謝産物が、別の状況では害を及ぼさないこともあるということです。
具体的には、クロストリジウム・ディフィシルは、生涯を通じて症状が出ないまま保菌されることもあり、宿主が免疫力を低下させて抗生物質で治療した場合にのみ、クロストリジウム・ディフィシル腸炎という下痢や発熱などの問題を引き起こします9。同様に大腸菌も、結腸では無害ですが、尿道に入ると尿路感染症を引き起こします10。
このように腸内微生物の影響は、個人の年齢、肥満、性別、投薬などの交絡因子、食生活など多くの要因で変化するということです。

肥満では、デブ菌が多く、痩せている人には痩せ菌が多い(肥満では、ファーミキューテス属が多くバクテロイデス属が少ない)

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