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人財流出を防ぐ3つの新法

〜2年以上に渡り、職員の離職率を0にした方法〜

管理職として働く私が、赤字経営をしていた店舗に出向となり、そこで行った手法です。

Prologue 〜序章〜

社会人2年目で店舗責任者を任された俺は東京に居た。
新店舗の開発、店舗の業績改善、システム構築、人材育成もする何でも屋。
忙しくて、何も考えずに仕事に没頭していた。

そんなある日だった。
会社員4年目を迎えた頃、母親の状態が悪くなり地元に戻ることになった。

帰ると同時期に任された店舗は、従業員数23名(内、非常勤8名)、若い子中心の店舗で上司曰く、「う◯こ事業所」(ここはあえて事実を。そして伏字で)をどうにかしてくれないか。という内容だった。

どうして自分に依頼されたのか話を聞いたら、「あんたは色々と壊しそうようね。壊して欲しいの。」と言われた。
俺は、「何言ってんだ。仙波部長(仮名)は」と思っていた。

それもそのはず。あとから聞いた話だが、当時、上層部では、クラッシャーと噂されていたようだった。もちろん、壊すとはめちゃくちゃにすることではない(笑)。が、良いも悪いもぶっ壊すのが得意な奴という称号が付いていたようだ。


どんな事業所なのか、関わりがなかった俺は、とりあえず見学に行くことにした。

普段の店舗の雰囲気とか、
お客様との関わり合いとか、
サービスの内容とか。
まぁ、どこにでもあるような店舗だった記憶がある。

しかしズバ抜けて良いところもあった。
それは、何にも染められていないこと。つまり若さゆえのこと。
もちろん、良い年ごろの運転手のおっちゃんも居た。

若くして係長を務めることになった俺は、若い職員が多い店舗で働くことになったのだ。


俺は役職がついて、人の上に立ったときに決めていたことがある。
それは、

「職員は皆、家族。家族同然に扱う。共に喜び、悲しみ、怒り、楽しむ。これを徹底しようと。どんなことがあっても、一番味方で、守り抜くと」

綺麗事を言っているように聞こえると思う。
そう、綺麗事かもしれない。夢や希望を語るときは、絵空事かもしれないが、目標が高ければ高いほど、人は、食いつく生き物だ。だからこそ、いやむしろ、綺麗事の方が良いと思った。そしてなによりも、言葉にして発言できる奴は少ない。

この軸を構えてからは、一番はじめに職員と対面で話をする機会で第一声でこの決めたことを必ず話をした。
大事なことを決める時も、必ず言うようにした。

これは、良いか悪いか、今でも分からない。
しかし今でも実践し続けている。

でも、もし自分がこんな上司の下で働けたら、どんなに幸せだろう。
と思っていたから、多分、幸せだったんじゃないかな。
正直、ここは自信がない。

でも、上司・部下の関係でなくても、今でも非常に仲が良いのは事実である。

第Ⅰ章 〜言い方に囚われるな〜

5月から就任となった俺が、5月の所内会議で決めたことがある。
「全員、苗字でさん付、禁止。ニックネームで呼び合おう。」

これが、1つ目の施策だ。

唐突だが、読者の方は、アルバイトの経験はあるだろうか?
なんでも良い。

あなたがアルバイトをしてた頃のことを思い出して欲しい。
みなの関係はどんな関係だっただろうか?
呼び合い方はどうだっただろうか?

したことが無い方は、あなたが良く行く(「敷居の高い店」ではなく)大衆向けの居酒屋さんなどに行ったときのことを思い返して欲しい。
みなニックネームでは無いだろうか?
そして、入店した時から雰囲気が良くって、飯も普通に美味い。接客してくれる子が元気。大将がすっごく気さく。

いかがだろうか?
思い当たる節が必ずあると思う。

なぜ、この話を先に入れたかと言うと、
私が働く会社は、介護系の会社です。
サービス業に近い業界だと思っています。

他の一般的な企業と違うことは、商品を売るのではなく、人間性やサービスと行った目に見えない物を提供している。

ということです。
このキーワードは、非常に重要なワードです。
頭の片隅に置いてくださると幸いです。

ところで、あなたが社会人になって企業と呼ばれる所に入社するとどうだろうか?
いきなり、硬くならないだろうか?
上司をニックネームで呼ぶなんて以ての外。
(上司は、◯◯課長!◯◯部長!これが当たりまえ。)
もちろん、社員同士も基本的に社内では苗字(あるいは、◯◯さん)では無いだろうか?

日本の文化を考えると大名がいて武将がいて、平民がいて、この上下関係が名残惜しいのか今も続いているように感じます。その文化からも、身分が高い人への尊敬の意味合いが高くなっているのかもしれません。

役職がついたから偉いでのはなく、役職がつくことによって責任の重さが付きまとう。この責任の重さことが大きな違いだと言えます。

社長であれば、会社を守り、職員を守る。
そのために、利益を追求しなければならない責任があります。
店舗まで落とし込むと、店舗ごとの職員を守らなければなりません。
また、職員を守るということは、その家族も同様だと思っています。

職員を公私ともに、サポートしてあげられるような上司が本来あるべき姿だと思います。

ただし、「プライベート」に関与するのは、話が変わってきますので、そこは部下と上司の関係から逸脱しないように心がけるべきかと思います。

職員がすべてであり、職員あっての企業だということを肝に命じて、忘れないことです。
これを踏まえた上で考えて欲しいことがあります。

「責任の違い」

その役職には、その役職の責任が伴います。
責任を伴わない役職は、もはや名ばかりだと思います。
これは、役職者本人も、その部下も責任のことを念頭に置いた状態で話ができなければ、それは無法地帯になってしまうので要注意です。

しかしながら、私は思うことがあります。
役職者は威厳を持たせることができるような言動・行動を部下に示すべきだと思います。あなたを尊敬したい。あの人はすごい人だ。と思ってもらえる仕事が出来ているだろうか?そうでなければ、これも、名ばかりの役職者だと私は思っています。

これらのことを踏まえて上で言います。

ニックネームを使ってみよう!

私は、年上の部下、年下の部下であっても、ニックネームで呼称しました。もちろん、TPOを弁えてですが。

ニックネームで読んでいるのは外国においては、当たり前です。

外国の真似がしたかったのかもしれません。
正直に言います。若かくして店舗責任者を任された自分は、素直に「カッコいい!」と思いました。

ですが、そう思って即実践してみたんです。
店舗責任者だったので、試しにやってみるのは容易でした。

やってみたニックネームの呼称は、想像以上によかったのです。

部下の子達からは、役職名で呼ばれていましたが、それがもはやニックネームのような扱いでした。それに、皆気軽に呼びます。
私は、部下のみんなは基本的に下の名前で読んでました。もちろん、場を弁えてです。第三者のお客様が来所されていたり、業者さんがきている時は別です。

所内で行う会議などの場でも、ニックネームで呼び合います。そうすることで、意見がすごく出やすい雰囲気になります。また、言いにくいことや辞めて欲しいこと。つまり

「ネガティブな意見」

を嫌味感なく、言い合えるようになります。

「悪いことは悪い。良いことは良い。」

と言い合える雰囲気作りに成功しました。

入り口は、とても成功しました。
次に行ったことですが、先に話をしましたように店舗を守るということは、職員の生活を守ることに繋がります。
それは、職員の家族へのサポートも欠かせません。

ここで少し視点を変えてみます。

第Ⅱ章 〜家族〜

介護職員が離職する理由について

介護業界の離職率は、平成30年度の実態調査では、15.2%となっており他業種と比べて非常に高い。その理由を探ってみた。

http://www.kaigo-center.or.jp/report/pdf/2019_chousa_kekka.pdf

①職場の人間関係に問題があった。
②結婚や出産などのライフステージの変化。
③事業所や施設の運営に不満があった。
④転職することになった。
⑤自分の将来に疑問をもった。
⑥収入が少なかった。
⑦新しい資格を取った。
⑧人員整理や事業不振等による退職。
⑨自分に向かない仕事だった。
⑩家族の介護や看護が必要になった。

そしてこの中でも最も高い理由が、①人間関係である。事業所内の同僚、上司、後輩などの職員間の関係や利用者との人間関係もこれに含まれる。また、介護現場には医療現場の職種も多く存在しており、医療と介護の意見の食い違いから関係悪化になるケースがあるようです。

つまり、人の問題を軽減するだけで大幅に離職率を軽減することができることがわかる。

また、私が働いてる会社で離職する理由を探ったところ。
その理由の最も多かったのが

「家族が介護に対する理解が乏しい。または、家族の反対があった」

この理由だったのです。
つまり、旦那さんや親御さんの理解が得られていないことが判明したのである。
これら、「人間関係」「家族の理解」を両面から解決する方法がないかと試行錯誤した結果、思いついたのはファミリーサークルである。積極的に会社から社員の家族との関わりを持っていく機会を増やしたのである。

例えば、夏祭り、秋祭りなどのイベントに社員とその家族を無料招待させてもらい、参加してもらう。ブースを設けて、社員が働いている時の生き生きとした姿を写真撮影した物をたくさん飾っておく。こうすることで、旦那様やお子さんが、社員を見つけて、その時の話が出来たり、話題になったりする。こうすることで、介護の会社で働いている家族の姿を身近に感じてもらい、理解を得ることができる。
さらに、家族さんに参加してもらうことで、上司であった僕は、旦那さんやお子さんに挨拶することができ、私の人間性を見てもらうことができる。

あなたが働いている会社の上司がどんな人か、旦那さんは気にしていないかもしれない。どんな会社で働いているか気にしないかもしれない。しかし、顔見知りになることで、人間は意識することになる。誰しも、顔を1度合わせて言葉を交わせば意識せざるおえない。

このように、家族と触れ合う機会を持つということは、とても良いイベントになったのだ。

嬉しいことに、職員の旦那様がメーカーさんだったり、ご飯屋さんをやっている関係から、イベントに貸し出しをしてくださったり、移動出店までして下さる関係になったのだ。

果たして、日本にいくつの企業がここまで出来るだろうか?

私は、声を大にして言いたい。

見えない物には、恐怖や嫌悪感しか抱かない。
しかし、言葉を交わし、顔を交じ合えば、全てが変化する。


ここからは、最終3つ目です。
もっとも重要だと言っても過言ではありませんが、実はほとんどの上司や先輩が出来ていないことです。

あなたが出来ているか、あなたの上司は出来ているか。
是非、ご覧になって頂ければと思います。

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