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劇団四季『ノートルダムの鐘』を観た話

昨年末から始まった劇団四季の新作。
ディズニーの中ではだいぶ滑ったと思われるアニメに基づくミュージカル。ディズニーのアニメのさらに原作はもちろんヴィクトル・ユーゴー。

結論から言うとこのミュージカルはマスターピースと呼んでいいのではないかと思います。個人的には「ウィキッド」に次ぐくらい好きです。

具体的にどこがよかったかというと、

1. 音楽

これは映画の段階からわかってましたが、アラン・メンケンの音楽が素晴らしすぎますね。アラン・メンケンがどれだけ凄いかというと「美女と野獣」も「リトルマーメイド」も「アラジン」も全部メンケンですから、90年代に最も成功した映画音楽家の一人でしょう。

加えてこの四季の公演では、カジモド役の海宝直人くんの歌が圧巻でした。7歳から20年以上劇団四季の舞台に立つこの人は四季の至宝といってよいと思います。
エスメラルダ役の岡村美南さんも上手かったです。超難度の「ウィキッド」のエルファバ役を演じていただけあります。

要するに、この公演自体が始まったばかりなので、四季の中でもエース級のキャストが集まっている感じがします(多分)。


2. 演出

演出のスコット・シュワルツが天才すぎて、凄いところを上げれば枚挙に暇がありません。この演出に8年もかけたらしいのでその根気も凄いですが、両手を握って賛辞を述べたいくらい素晴らしいです。

ガーゴイルの石像の演出(特に最後に彼らが去るシーン)、フロローが聖堂から落下するシーン、カジモドの登場と退場の演出、どれも鳥肌モノ。観ないとわからないから、これを呼んだ人は皆観てほしい。


3. 原作

何よりもやはり原作が最高。
人間の弱さというテーマを中心に愛と嫉妬と憎しみとを壮大なスケールで描ききってしまう物語の力が凄まじい。

本当の怪物は人間の弱さから生まれるということを示唆しながらも、心優しきせむし男をおとぎ話的な聖人として描かないそのリアリティ。
アニメではきれいごと化されて原作とは違うエンディングになっており子どもだましになってしまっているのですが、このミュージカルは(ちょっと違うけど)概ね原作に近いストーリーで逃げずにシリアスに描ききっており、大人が楽しめる深みのある作品に見事仕上がっておりました。


というわけで、結論は、

劇団四季『ノートルダムの鐘』は観たほうがよい。できればカジモド役が海宝くんの公演で。

ということに尽きます。

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