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日本政府の現金主義

会計には「現金主義・単式簿記」と「発生主義・複式簿記」があり、企業の会計は後者、発生主義です。

公会計は現金主義のままでいいの?

我が国において明治以降、政府の会計は「現金主義・単式簿記」で行われてきた。
これは財政法2条に根拠がある、と考えられている(参考リンク

とはいいつつ、企業・一般常識としては既に「複式簿記が普通」となっており、「公会計・官庁会計の課題として、”現金主義を継続していいのか?”」も挙げられている...。

下記リンクは、財政制度等審議会の資料。まさに議論の対象となっている。

どちらかというと「現金主義だけ」だったのが「発生主義の要素を取り入れる流れ」でいいのでは?海外の状況も載っている。

財務省によると

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(クリックすると財務省掲載ページへ)

国の活動は財源を必要とする。予算とはその年の(現金)収入であり、それをもとに配分するのだから、収入となる現金の統制が大事だと考える。

よって、国の予算は現金主義を採用...だそうです。

なぜ「現金主義を問う」のか?

■「日銀の紙幣発行は負債計上」なのに、「政府の貨幣発行は収入・資産計上」ということに着目し、その原因を探った結果、この点にたどり着いた。

なお、下記の会計処理は非常によく出来ているなぁとも思う...。
政府貨幣は
 ◉政府にとっては+
 ◉日銀から社会に出た瞬間、
  ・日銀にとってはー(つまり統合政府では+ー)
  ・受け取る民間にとっては+


なお、「財産の処分や公債発行は収入」となり「資産の取得や負債削減は支出」となることは会計学上の収益費用の概念とは異なる、ということらしい。

議論は机上の空論。

上記の財政制度審議会の内容が建前論過ぎる。

■論点1:そもそも「現金の授受」じゃないのに...
そもそも国の支出とは「日銀にある国庫・日銀当座預金の数字変動」だから、現実では「現金の授受」じゃないよな....。

■論点2:議会の事前統制、確定性に基づく明確性と分かり易さが必要で、現金ベースの方が優れている...とあるけど
実際は政府の予算案が閣議決定されるのは12月とかなのに、確定申告はその後。つまり、現金主義でああろうと発生主義であろうと、実務の中・タイムスケジュールでは「未確定のうちに進めている」のが現実だよね...。

■論点3:そもそも国債発行による収入が多い
言うまでもないですが、「現金の授受」「確定性」とか鼻毛...。
無意味すぎる。

補足:現金主義と憲法

日本国憲法第86条は
「内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない」と規定している。
 他には、憲法第60条、第73条に「予算」が出てくるものの、憲法においては「予算とは何か?」定義をしていない。

~~
詳細は下記論文を参考。
=公会計や発生主義=
自治体の会計と企業の会計
国の公会計の現状」財務省主計局(H23 公式公開資料)
予算・会計改革に向けた法的論点の整理』木村琢麿(2004, 会計検査研究第29号)

=憲法と予算=
予算と法律の関係』夜久仁(2012, 帝京経済学研究 ; 第46巻 第1号)

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