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貨幣:極私的に諸説まとめた(2)

アダム・スミスの考えについて記事(1)では書きましたが、ジョン・ローを見逃してはいけません。 *すみません、素人にはマルクスは難しすぎて.......偉大なのは分かってますが。

◉ジョン・ロー:放浪のギャンブラーからフランス中央銀行総裁まで

1716年、世界で初めて「金銀の硬貨でなく、紙幣を発行」する中央銀行を設立。 色々ありましたがーバブルとかバブル崩壊とかー、「金貨や銀貨と交換します」という約束をして「納税にも使えます」とすることで紙でも貨幣として機能することを証明しました。
 特に大事なのは、「実際は保管している金貨や銀貨以上に紙幣を発行したため、”実際は金貨や銀貨に交換するよ”というのは不可能だったのに、取り付け騒ぎが起こる・人々が広く信じている間は問題なく、その流通が拡大し貨幣として問題なく機能していたということです。

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なお、貨幣そのものについてはアダムスミスと基本的に同じ解釈であり、「不便な物々交換の下において、貨幣は自ら生まれ来る」として
1.貨幣は人間の日々の交換・営みそのものが生み出し、必要とされ、変化してきたもの と、捉えていた。

とにかく、この方、殺人、放浪、世界三大バブルの張本人....と、ともかく波乱万丈。下記の記事をお薦めです。

  ・ジョンローについては、こちらの記事が面白く分かりやすいです。
  ・こちらの記事もすごく面白いぺぺ。

◉ジョン・ロー:多くの学び

上記紹介の2記事の通り、上記以外にも多くの学びがあります。
◆中央銀行は歯止めをかけないと「もっと貨幣発行を!」圧力がかかる
◆貨幣発行をし過ぎるとインフレ・バブルの原因になる
◆「人々の期待が集中する」ことがバブルの原因になる、期待の重要性
◆加速度的なバブルの発生は旧落下・バブル崩壊をもたらす原因になる
◆バブル(発生>)崩壊の被害者は一般市民(情報伝達の順番などで?)
◆お金を増やすための「新たな市民への負債の方法」は様々な工夫ができる

 そして、バブル崩壊によって「市民の間での信用がなくなれば法貨であっても生活現場で店で受取を拒否があったり使えなくなる」ことがあり得ることも証明してしまったんですね。
貨幣に必要は信用とは「法の定めだけでは不十分」

◉ジョン・ロー:貨幣に必要な信頼の要件は何か?

貨幣に必要となる「交換過程にあるほとんどの人が受取りを拒否しない」要件とは何だろうか?
◉「実際は金貨と交換ができない」としても「人々が”可能だ”と解釈・期待していれば問題ない
法貨にすること、納税や貿易での使用義務などが貨幣の信用獲得に有益
 であることを証明しつつも
一旦信頼がなくなると、法貨であっても意味はない
 つまり「社会的に貨幣が信用される際に法制は必要条件かもしれないが、十分条件ではない」ということですね。

言い換えると、「完全に契約や同意、法制度で管理できるものでない」。「人々が安心して貨幣を使っている状況そのもの」が信用の源泉であるというひとつの結論を後世の研究者が導くための歴史、社会の事象を起こしたといえる。

◉1928年にジョン・ローを紹介した新庄博氏

ジョン・ローという人物が批判される点も数多く、フランスからも財産没収され、追い出され海外逃亡……と悲惨な運命をたどっているが、経済学上「需要」という言葉を用いたのはローが最初と言われており、現在の銀行システムは彼が作ったものと言ってもよい。 
 もっと評価されるべきではないかと思われる。

その彼を戦前に日本に紹介し、貨幣論を研究していた人物がいる。
新庄博という人物もまた、評価されるべきではないだろうか。

昭和3年の論文(下記にリンクあり)にある一文を紹介する。
凡そ貨幣がよき貨幣たるが爲にはその価値の安定を第一義とすべきは今日に於て一致せる見解である。

なお、新庄氏は、戦後昭和32年に日本銀行/日本銀行法の全面検討が開始されたが、その各種資料の収集作成をしたり頻繁に議論を行う、実質のコアメンバー「常時企画委員会」の6名のうちの1名となっている。(日銀の百年史 『5.日本銀行法の改正議論』より)

つまり、僕の憶測ですが、僕のような素人ですらここまで分かるのだから、日銀や政府のコアの人たちは、当然こういうこと分かってやっているのではないかな。。。。

なお、昭和3年(1928)の論文はコチラです。
『ジョン・ローの貨幣論』新庄博

コチラは新庄博氏の略歴・著作目録です。

まだ終わらない。 まだ続きます。 貨幣:極私的に諸説まとめた

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ジョン・ローについてはこちらも詳しいです。御礼申し上げます。
古川 顕『ジョン・ローの貨幣論』
ジョン・ロー『貨幣と商業に関する考察ならびに国民に貨幣を供給するための提案』

*岩井克人の貨幣論について
参考記事1『第十二回「貨幣論の本質とは何か」』by小林慶一郎
参考記事2ダイヤモンドオンライン 『岩井克人が挑む「貨幣とは何か?」、シンプルで難解な問い』by堀内学

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