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みんなでつくるevenな暮らし

山の中で動物に囲まれて暮らしていますというお話を少し。

山の中にはイノシシや鹿、フクロウやアナグマ、イタチなど連れて来たわけではないけれど、お互い気配を感じながら暮らしている仲間と、色々な理由で私のところへやってきてくれて、食事を用意してあげることになった仲間が暮らしています。

始まりは野良ネコでした。

最初に招き入れたのは、豪雨の直前。灰色の幼い雄猫でした。
ニャーと呼んでいます。彼のお陰で豪雨災害の後の暑い夏や、早朝からの仕込みを乗り切ることができました。
そして、2021年まだ寒い頃、真っ黒な若い猫が山から降りてきて、すっかり懐いてしまい、今では二人でいつも一緒に眠っています。
そして、2022年末頃から、綺麗な縞模様のネコもたまに遊びに来てくれます。
彼らは、畑の堆肥を作るスペースの鼠取りや、虫を採ってくれ、堆肥中のミミズを守ってくれています。

詳しくはこちらにも。

アヒルたち

鳥の素晴らしさと卵を産む大変さ、そして命ってなんだという事を教えてくれたのが、ピー助を始めとするアヒルたちです。
最初は飼えなくなってしまった子を引き取ったことから始まり、仲間が必要ということで、卵を孵したり、本当に様々なことが起こりながら一生懸命暮らしています。
彼らは、池の水をかき混ぜ、より綺麗に保ちながら、草の種を食べ、適度な雑食性により増え過ぎたカタツムリやカミキリムシなどを食べ、敷き藁のベットをより良い堆肥にしてくれます。

詳しくはこちらにも。

P助/ハクちゃん/ダッキー/キョウちゃん/ガーちゃん

個性豊かな羊たち

お店の少し上に、100kgを超えるような大きな体の羊「ボテイン」とアブなどでタダレた頬の羊「バラニー」、彼らはとてもおとなしいものの、大きな体で飼育も大変だということで、私の所にやって来てくれました。
そしてその友達にと京都からやってきてくれた子羊たち「シェラ・メサ・ハマル」がいます。
しかし、やって来た翌日に一番大きな体のボテインが倒れ、2週間に及ぶつきっきりの看病も虚しく亡くなってしまいました。残された仲間と星空を見上げるといつもボテインと闘った2週間が思い出されます。

右側がボテイン。やって来た当日です。この日、炎天下で慣れない青草をたくさん食べ過ぎてしまったようです。

私がもっと羊に詳しければ、最初から色々な手立てがあったのかもしれません。

そして、いつでも元気な子羊、メサ・シェラ・ハマルは、残されたバラニーと一緒に、賑やかな日々を過ごしています。
彼らは草の根本地上15センチくらいを残して食べながら、種の混ざった糞を撒くことで、荒れた土地を豊かな草原に蘇らせてくれます。また、毛刈りで出た羊毛の一部を土に漉き込むことで、保水力のある素晴らしい畑を作ってくれます。猪やカラス、アライグマなどにも興味深く近寄っていく習性から、夜通し、この土地を守ってくれています。

甘えん坊のジロ

そして、私の弟ジロです。
幼い頃母親からミルクをもらえず、人の手で育てられた甘えん坊のジロは、小さな頃から甘える時に噛んでしまう癖を覚えてしまい、そのほかの兄弟たちとも仲良くなれないままの愛情に飢えた2歳の雄ロバです。飼い主さんから、彼へ存分に愛情を注いであげてほしいと託された、大切な弟です。名前は偶然にもジロ。由来はBaron Girod de L'Ainバロンジロードラン、美しい赤い薔薇の名前です。
力も体重も、もしかしたら知性まで私とeven(同等)だなと感じる事が多いです。今はまるで兄弟のように一緒に過ごしています。
犬よりも高い知能があると言われる事もあり、種別を越えた生き物同志として、心を通わせる事で喜びの日々を与えてくれています。ジロのする糞は、堆肥の中でもとても繊維質が多く、発酵しやすく腐敗臭も少ない良質なものです。人の心へも、大地へも、貴重な恵みをもたらしてくれる、かけがえの無い存在です。


みなさまと考えていきたいこと

こうして様々な事情やご縁で繋がって招き入れた動物たちですが、観光牧場のような展示をする予定はありません。
彼らの考え、想い、日々の暮らしを観察させてもらい、あくまでもevenな関係で私たちと一緒に暮らし、役割をもってそこにいます。
そのため、大きな声で驚かせる、石を投げたり棒を投げるなど、年齢に関係なく悪意がなくても相手である動物が怖がるような行為や、相手の体の事を理解できていないままでの、無断での餌やりなどは断じて許すことは致しません。これまで黙認していた部分もありましたが、様々な考えをお持ちのお客様がいらっしゃる中で、ただ可愛いから、怖いからと、強い者(人間)が勝手な考えで行動を起こすことで、時には簡単にその日の夜、死んでしまう事だってあります。例えば羊などの反芻動物(ハンスウドウブツ)に麦や米など澱粉の多い食べ物を誤って与えた場合、体内で発酵しガスを発生させ、胃袋が膨張し、心臓を圧迫した結果その日の夜には死んでしまうという事故が多く起こっています。
言葉以上の行動でどこまで思いやれるのか、相手の求めている事は何なのか、相手の気持ちを想像できているかなど。社会や学校などの人間関係と同じです。そういった事をここへ一緒に訪れた人や私たちと、語り合い、考える場にしていただければと思っています。

まだまだこれからご縁で結ばれた、たくさんの役割を持つ仲間がやってくると思います。
この地球上に暮らす、動物も植物も微生物も人間も、特別なものなどはなく、産まれて生きて死ぬ。
お互いがevenな関係である事を大切に一緒に暮らして参ります。

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