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アヒルを飼おうと思ったら

私の家族のようにしている小さなアヒル達の事を少し。数が増えたり減ったりとよくご存じの方は不思議に思われているかも知れません。
近くの協力してくださる知人のところに預けたり、里親として引き取ったりなどもこれまでありました。

また、事故や事件もあり、アヒルを飼う難しさをお伝えする事で、アヒルブームのような状況に少しブレーキが効いてほしいなと思い書かせていただきます。

私が一緒に暮らしているコールダックという品種のアヒルは山鳩とヒヨドリの間くらいの大きさで、通常のアヒルの半分にもならない程度の小ささです。その見た目で動画や書籍などで一躍人気になり。よく見かけるようにはなりました。

しかし、インコやオウムを飼うように決まった場所だけでの飼育はできません。どうしても飼育したくて色々調べていたり、孵化させてしまったもののやり場も無い状況に陥っている方に届いてもらいたくてアドバイスを少し。

アヒルのヒヨコを育てる上で私が知りたかったこと

  1. 汚れます
    雛のうちはどうしても汚れるものです。目の周りとかが汚れてしまうと可愛さも半減してしまうかもしれませんが、それは成長過程の一つです。あまり拭き取りなどで擦らず、気長に成長を見守ってあげましょう。

  2. 暗くても見えてます
    真っ暗でも目が良く見えるので、夜中の餌交換などでも急な動きで驚かさないであげてください。まずは声をかけて手をゆっくりと動かしながらピーピーと気づいてくれてから、ゆっくりと餌の容器を取り出すイメージです。

  3. 水浴びは慎重に
    産まれてから10日くらいからは水に入れます。しかし最初のうちはまだ毛繕いが下手だったり油の分泌量が少ないので様子を見ながら寒く無い場所で1、2分など少しずつ慣らしてあげましょう。お皿など浅いものを用意して手元で水の中へ立たせて、顔を洗い始めるか様子をみてあげます。ヒヨコ本人の意思とは別に水に浸かってしまわないようゲージの中などには水浴びスペースは置かないようにします。ペーパータオルなどで軽く拭いてあげてを繰り返します。決してお湯に浸けたりしないであげてください。羽の油が溶けない程度、20度くらいのぬるい水でいいと思います。
    新しいペットシーツの上で拭いてあげると自分から水浴びの動作をして乾かしてくれる子もいます。
    早い子では2週間くらいから潜水できる子もいます。無理にさせる必要はありませんが、運動の一環でシンクなどでも泳ぎます。最初は洗剤など周囲にも気をつけて、決して目を離さず、足の届く浅い場所を用意してそっと立たせてあげてください。

  4. ふれあい
    次第に黄色い羽毛につながるようにして骨のような細いストロー状の羽根が伸び始めます。そうなると少し見た目が中途半端な雰囲気のヒヨコになってきます。この頃しっかりと手をかけてあげ、手から野菜をあげるなど人と触れ合う時間を多く作ってあげることで、人を怖がらない子になります。

  5. ヒヨコの1日は2時間程度
    最初の2週間くらいは生活サイクルがとても短いです。大体2時間程度で目覚めて餌を食べて騒ぎながら寝落ち。を繰り返します。大きくなるにつれて徐々にその時間は伸びてきますが、夜中の事故には充分気をつけてあげてください。この辺はお母様方だったら思い出すくらいの大変さだと思います。

  6. 餌の硬さ
    まだ今ほどアヒルについて情報が無かった頃、1番知りたかったのが、産まれて最初の頃の餌の硬さでした。ねり餌を用意して食べさせていたのですが、「ねり餌」というからにはクリーム状だと勘違いしていて、ヒヨコたちは食べながらクチバシについた餌を首を振って撒き散らしていました。これは餌が硬すぎる証拠のようで、その撒き散らした餌がヒヨコのお家の壁に飛び散って、夜通しそれをつついてコツコツと夜中に音を響かせていました。
    餌はシャバシャバの状態が正解です。小さな容器の中でクチバシを高速で動かして食べますが、その動きで餌の水が対流するくらいがベストです。

  7. ペットシーツを食べないように
    1週間くらいしたヒヨコは、何かを引きちぎりたい欲求が強くなってきます。ペットシーツの端などを必死て首を振ってちぎり取りたそうにします。色々試しましたが、その動作を見つけた時に小松菜を一本あげると一生懸命ちぎりながら食べますので、あっ!やってるな。と思ったら、小松菜やレタスの芯などあげてみてください。草を食べる練習が始まります。

大人になったアヒルで知っていておいていただきたいこと

  1. まずは鳴き声。特に女の子の場合です
    その名の通りコールダックは仲間を呼ぶのが仕事の鳥。ひとりぼっちになると、女の子は小型犬よりも大きな声で休まず鳴き続けることもあります。
    もちろん躾もできるはずもなく寂しい、驚いた、お腹が減ったなど感情に任せて泣き叫びます。

  2. 夜いつまでも明るいと体調を崩しがちです
    アヒルに限らず鳥たち全般は明るさで季節を知ります。卵を産むとか発情するとか、男の子も女の子も、発情期特有の行動をします。女の子は卵を産み始めますし、男の子は噛み付いて足の上や腕などに乗っかろうとします。
    ペニスが離脱したり卵が詰まったりなど色々な弊害を伴うことがあるので、私はできるだけ自然光の中で過ごさせてあげています。生殖器の離脱については早めに押し戻してあげるか、詳しい獣医さんに相談してください。以前、男の子1羽と女の子2羽で春を迎えた頃、出っ放しの生殖器がいつか戻ると安直に構えていたら壊死しそうになっていたので、獣医さんと相談の上切除しました。術後交尾をしにくいようで、女の子の後頭部の噛み付き方が強くなって可愛そうです。

  3. マムシに気をつけてください
    1番やんちゃで、リーダーのような存在だった女の子は、お店の裏でマムシに噛まれて亡くなりました。ヘビの特定は傷口と症状による獣医さんの見解です。大きなミミズや動くものに対してとても興味を持つ上、枯れ葉や草むらの下にいる生き物を探るようにクチバシを振るって進みます。その結果枯れ葉の下に身を潜めあまり逃げる習性があまりないマムシと出会い、覗き込む仕草をしたのだと思います。多分喉が暖かいせいで、そこを噛まれてしまいました。そこまでは目撃していませんが、その後大声をだして池へ走って戻ってきました。最初はなんともなさそうにしていたのに、どんどん元気がなくなり、半日後には病院で息を引き取りました。血清などもなく、首元のため切開もできず、辛い別れとなりましたので、みなさまもどうかお気をつけください。

  4. イタチ・カラス・テン・トンビ・野良猫などなどそして人
    コールダックは野性の本能がとても薄く、つくられた動物だという事を理解する必要があります。郊外の住宅街などでは特に鳥の匂いや気配で色々な動物が弱い動物を狙っています。見たこともなかった動物によって襲われてしまうということもよく聞きます。
    だいたいみなさんまさかと言うのですが、とても残酷な死体を目にする事になりますから決して安心できる日というのはありません。群で暮らしている水鳥全般は何か怖い思いをした瞬間に誰かが皆に危険を知らせ、皆一斉に水面へ逃げ込みます。そういった場所が無かったり、少ない数での飼育だと、ゲージや柵などでは防ぎきれないリスクがたくさんある事を理解してやってください。
    そして、人による盗難が増えているようです。私も充分な対策をするようになりました。
    卵についてもヘビやアライグマなど匂いに敏感な生き物が常に周りにいる事考えながら小屋の周辺をきにしてあげてください。

  5. 結構飛ぶ事ができますが下手です
    私が飼育しているアヒルはいざとなった時逃げられるよう羽根を切ったりはしていません。そのため、急にある日飛びたくなる日があるようで、空を眺めて飛び立つのですが、必死に羽ばたいて真っ直ぐ水平を保つのがやっとといった具合です。水平にはかなりの距離を飛ぶことができるようです。急カーブはできないのですがゆっくり弧を描き戻ることもできますが、帰る場所を見失う事がよくあり、そのまま不時着してしまいます。
    途中から高度を上げることがあまりできない上、着地できるところを探すのも下手なので、自分でも迷いながら飛んでいる感じです。
    私が飼育している場所は段々畑の上の方に庭があるので飛んで行く方向は大体決まっています。飛ぶ距離は今まで最長で直線距離200m位、高さで70m下あたりに着地しました。
    その時は、本人も飛ぶ事にも慣れて、私も飛びそうな仕草がわかってきてからなので、捜索もそれほど大変ではなかったのですが、飛行中、カラスに攻撃されているのを見ました。怪我はなかったものの、危険ですからマンションのベランダなどでも気をつけてください。オスは特に着地点が草むらとかだと声も聞き取りにくいので気をつけてください。

  6. フンはものすごい量をどこにでもします
    体が汚れることを極端に嫌う綺麗好きなのですが、一晩ゲージなどに入れておくと水っぽいフンを足の踏み場も無いほどそこらじゅうにし、それを踏んだ足で体を掻いたりするので、吸水性の無い場所で飼うことはおすすめできません。常に綺麗な水をかけ流すなどの必要があります。また、餌の種類によっては匂いもかなりキツイのでご注意ください。パネテリエでは普段畑に居るのでフンも畑の肥料や魚の餌と捉えていますがそのような環境が無い場合水道代などコストもかなりかかると思います。

しかしながら高齢の方には最高のパートナーかもしれません
これまでお話ししてきた内容と少し拮抗するかもしれませんが、生活環境などが変化しがちな若い方よりも、畑仕事や庭仕事をされるまだまだお元気な高齢の方が飼育するのはとても良いのではないかと思っています。常に一緒にミミズをさがしたり、食事をしたりなど、世話は焼けますが、仕方なくこまめな作業が発生したりなど、それも良しとする方なら、人をちゃんと識別もしますのでかけがえのないパートナーとなってくれると思います。

どうしても飼えなくなるその前に

絶対に屋外に放す行為はやめてください。
里親を探すサイトなども最近増えてきました。「ペットのおうち」や「ジモティー」などを利用するか、「アヒルネットワーク」という保護団体の方もいらっしゃいます。
それでもどうしても難しい時は私の勤めるお店パネテリエでもご相談を受け付けます。

最後に
これまで私共へ里親に出したことがある方で、自身の責任だと深く反省していらっしゃる方が多くいらっしゃいます。私は新たな出会いだと、大歓迎の気持ちで一緒に暮らしていますので、どうかチャンスがあればお店に様子を見にいらしてください。アヒルが好きで大切に温めた方が里親に出してしまった経緯によって、アヒルを嫌いにならないであげてほしいと願っています。
愛嬌があり、わがままで、弱くて、手のかかる、最高のパートナーたちです。

そして飼い始めようと思う方は是非ご相談ください
アヒルを販売している立場ではないからこそお伝えできる事も多いと思います。

お店で飼育しているとはいえ、一つの命。客寄せパンダにはしたくないという思いで書いてみました。 おわり。

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