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こんなお店の経営と採用について

私のお店では経営の肝となる、採用について少し複雑なプロセスがあるのですが、なかなかうまくいかないという現状のお話です。

得たいか与えたいか

私のお店は特殊なためか、ありがたい事にここで働きたいといっていただく方には恵まれています。お店で働きたいという方には、その方がここで何をしたいのかしっかり話を聞かせていただくよう心がけています。
そこで、「何を得たいか、何を与えたいか」に注目しながら「収入を得たい」「知識を得たい」等、得たいものがはっきりしている方と「自然が好き」「パンが好き」とご自身の好きをお店に照らし合わせていらっしゃる方に頭の中で分類させていただいています。
大体どちらかの気持ちが強く、どちらもご本人には大切な要素であったりはします。が、どちらの気持ちが強いのかがとても大切です。

それについてしっかりとお話を聞かせていただきます。
そして、ご本人の求めている事をはっきりしていく中で結論を見出すようにしています。

収入を得たいなら

まずは「収入を得たい」という方、こういった方はとてもわかり易く、こちらとしてもとてもスムーズなお話ができます。収入を得るために何ができるのかをはっきりと教えていただき、その方がよりたくさんの収入を得られるように一緒に考えながら進めていけます。
いかに効率良く働いていただくか、利益に直結する作業を中心に、自身のコスト以上に稼ぎ出す仕組みを一緒に考えながら、チャレンジします。

知識を得たいが難しい

難しいのが、「知識を得たい」という方。
収入も得ながら知識を得る、更には私のやりがいにもなって。一石三鳥ですね。
短期間に知識を習得したいのなら、お金と時間を有効的に使って学校や修行に出るべきです。しかしそのような事にお金をかける余裕はないけれども、お菓子作りが家でもできるようになりたいとか、出来るだけ早く自分のお店を持ちたいとか、そういった考えの方へ、やりがいを提供しながら、お給料をお支払いする関係となってしまいます。しかしこれが普通の就職ですよね。

よくある話ですが、面接で、我が社を選んだ理由とか、やりがいを感じてくれているかなど、「暗に」給料以上に仕事をしてくれる人かを聞いているのに対して、「暗に」給与とかは二番目で、やりがいを感じるとか、御社の力になりたいとか、プライベートでも本を読んだりスキルアップをしたりしますとか、そういった具合です。
「暗に」なんだか闇取引みたいです。

そこがまだわからない

そんな中、その方の収入を上げるため、私の伝えたい気持ちを我慢して、その方も充実した習得を我慢して、生産性を上げながら、過ぎていく日々を経験として片付ける行為。これの「是非」がどうしても結論づけることができていません。適度が良いのだとはわかるのですが、適当では炎上モノです。
今の世の中は弱い者=労働者 強い者=経営者というのが常識であり、その労働者にあたる方のやりがいや、スキルアップは当然のように経営者が用意するものだとされています。当たり前ですよね。しかし正直なところそこが大変苦慮するところです。お給料・やりがい・楽しみ・余暇...上限の決まっていない色々なものを提供しつつ、労働力を得て事業を安定させ、給与という数字に変える。経営者としては当然なのはわかるのですが、私自身が収入のために労働をしていないせいなのか、どうしてもそこが煮えきれません。
他に方法はないものか。考えてしまいます。

ところでお店が好きということは

冒頭の「自然が好き」とか「パンが好き」の気持ちや、ご自身の「好き」が強い方は、とても嬉しいですし、…私も自然やパンが大好きです。「私もこのお店の一員として皆様に素敵な空間と時間を提供したい。」と、一見「与えたい」の思いが感じられます。しかし、そういう方の多くは「思ってたのと違う。」となってしまう気がします。
もう古い考えなのかも知れませんが、地味な作業の積み重ねの上に華やかな世界が待っている(事が多い)、といった経験があるため、今も心のどこかにそれはあると思っています。

昔の恩師の言葉、「人を楽ますのと、人に楽しませてもらうのは全く違う。」ということ。私のやってしまった事を見て厳しくそう言われたのを思い出しました。何がどのくらい違うのかは、まだまだ計り知れませんが。

仕事は遊び

私は楽しいと思っていただくためなら、真冬に凍った石も積み上げられるし、限度はありますが、寝ずとも仕事を続けられます。そして心の底から楽しいです。夜中に目が覚めた時も、早くお店に行きたくてしかたありません。これは、仕事が楽しいのではなく、仕事ではないからだと思います。そして、私の積み重ねたそれをせっかく楽しんでくれているのに、楽しんだ側の方が、こちら側になった時、溝掃除や、ゴミ拾い、ほとんどの部分は地味で汚い事です。綺麗なものの裏には、綺麗をつくる人がいます。汚くて地味な作業をしていても頭の中ではワクワクが止まらず、笑顔が溢れるようになれるものです。
その方は本当に楽しませたい人なのか、とても心配になります。楽しみ方をお伝えしたところで、伝えきれないものも多く、その行為自体が楽しませてあげているだけのようで、もっと楽しませてほしいなら、是非これからもお店にお越しくださいともなってしまいます。

時間も気にせず、一緒にお店を磨き上げ、「仕事は遊び」と言い切れるような仲間と利益をシェアできる、そんな経営方法って経営ではないのでしょうか?

これではただの「営み」ですね

わたしがここでやっているのは、「経営」はなく、ただの「営み」かもしれませんね。もはや「暮らし」かもしれません。
やりがい搾取、そんな言葉にゾクっとし、少し疑問を持つ私は問題のある経営者なのか?
「うちは黒光りするほどのブラック企業です。」と笑って答えてくれるスタッフに恵まれてるからこそ書けるお話ですね。
今仕事に悩んでいる方とこそ、一緒に何かをはじめたい。苦しまないでほしい。そんな気持ちで書きました。
冒頭の写真、カメラのこちら側では色々と私も苦労して撮ってる、そんな感じのお話でした。 おしまい。

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