【創作SS】ロールシャッハテスト(シロクマ文芸部)
(お断りしておきます、品が無い話です。また、食事中の方、尾籠な話が好みでない方は、読むのをお止めください。よろしければ、本文です)
咳をしても金魚。
何でそんな言葉が浮かんだのかはわからない。普通なら「咳をしても一人」という言葉が出そうなもんだ。
ただ、今わかっているのは、咳が出たこと、同時に尻の穴からも何かが出たということ。エアだけではなく、実も出たような感触があった。
(気のせいだ)
そう思いたいところだが、被害が拡大しないように、そー-っとベッドから降りて、1階のトイレに向かう。階段を降りながら
(尻が濡れている)
冷たい感触に、信じたくはない現実を突きつけられる。
緊張感を抱えたまま、ゆっくりとトイレのドアをあけ、ソロリとズボンを降ろす。
(安心してください、はいてますよ)
お笑い芸人の顔を思い浮かべながら、パンツを降ろす。
絶望に包まれた。
認めたくはなかったが、明らかに柔らかそうな黄土色のブツが、パンツの後側に広がっていた。その歪な形は、何となく金魚のように見えた。
(まさか、こんなところでロールシャッハ・テストをすることになるとはな。すると「咳をしても金魚」との発想は、このことを予知していたのか)
少し、現実から逃避をした後、対策に乗り出す。ペーパーで金魚を掬い、トイレに流す。
(アバヨ、二度と会うことは無いがな)
風呂場に移動し、パンツをシャワーで洗い流す。
(安心してください、はいてますよ。とは言えないから、アキラ100%状態だな)
お笑い芸人の顔を思い浮かべながら、少し揉み洗いする。
パンツを絞り、風呂場を出て、パンツを洗濯籠に放り込む。
起きてしまったことは仕方ない。大事なことは、これからどんなセンタクをするかだ。
そう、今さら昨夜飲み過ぎたことを悔やんでも、意味は無い。
洗濯しても染みが落ちなければ、パンツを処分するだけ。これを機に、何枚かのくたびれたパンツを処分することにして、新しいパンツを購入しておくか。
(女房とパンツは新しい方がいい)
そんな諺があった気がするが、差別的表現だとされて使えなくなるかもしれない。しかし、俺には古い女房は無く、新しい女房のあてもない。
そんなことを考えながら、部屋に戻り、パンツをはきスマホで、新しいパンツを注文する。
何とかの一つ覚えと言われるかもしれないが、今回もBVDのボクサータイプを注文した。その直後、
「ハ、ハ、ハックショーン」
デカいクシャミが出た。下半身裸でいた時間が長すぎて、体を冷やしたようだ。
クシャミをしても金魚。
何でそんな言葉が浮かんだのかは、考えるまでもない。
俺は被害が拡大しないように、そー-っと、1階のトイレに向かった。
さっき逃がした金魚より大きいことを確信していた。
(本文ここまで)
#シロクマ文芸部
小牧幸助さんの、こちらの企画に参加です。
この前に投稿したのが「しっとり切ない話」でしたので、こんどは「ねっとり汚い話」を意識して創作しました。
こういう下品、尾籠な話が嫌いな方、ごめんなさい。
最初は「オチはありません。シミは落ちませんでした」という楽屋オチにしようと考えながら書き始めましたが、シミだけではなくオチもつきました。
くだらない話で、すいませんでした。
なお、念のため申し上げますが【創作】です、【フィクション】です。
「ハ、ハ、ハックシューン」
ちょっと、トイレに行ってきます。
#何を書いても最後は宣伝
こんなくだらない話を書く人間が、kindle出版では真面目に書いていますので、確かめていただけたら嬉しいです。
最新作「スプラウト」がこちらです。
サポート、kindleのロイヤリティは、地元のNPO法人「しんぐるぺあれんつふぉーらむ福島」さんに寄付しています。 また2023年3月からは、大阪のNPO法人「ハッピーマム」さんへのサポート費用としています。 皆さまからの善意は、子どもたちの未来に託します、感謝します。