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一人暮らしクロニクル(終) 未来へ

 メディアパルさんのこちらの企画に参加です。

 2012年3月末に郡山に戻り、私の一人暮らしは終わり、両親との3人暮らしとなりました。それから、さらに約7年が流れた2019年2月中旬、娘(二女)からLINEが入りました。
「合格通知が届きました」
すかさず、返信します。
「明日は、小山参りですな」
 本命大学からの合格通知が一番遅く、大学生活を送るアパートも探すことができずにいましたので、「合格したら、まずアパートを探そう」ということを事前に打ち合わせしていました。
 そのため、合格の連絡を受け、大学がある「小山市」へ行くことを提案したのです。

 LINEの直後に娘と合流して、ファミレスでスマホを駆使しながら、不動産情報を検索し、不動産屋に電話しましたが、既に契約済となっている物件が多く、良い物件どころか、空き物件がみつかりません。
 ようやく1件だけ候補となる物件が見つかり、翌日の13時に不動産屋を訪問することにしました。ちなみに小山市までは約170kmあり、私も娘も未知の場所です。

 ということもあり、見る物件が1件だけは不安が残りましたので、さらに物件を細かく検索していると
「1件、下見の予約が入っていますので、そちらを優先しますが、それでも良ければ、内覧しても良いですよ」
という大家さんが見つかり、大家さんからすると2番手の入居候補として11時に訪問することになりました。

 11時に内覧した物件は、普通のアパートではありませんでした。
「地元大学生を応援する大家の会」
という地元の篤志家の方々が経営している物件の一つで、
『敷金礼金仲介手数料無・冷蔵庫洗濯機ベッド、ネット回線付』
という条件で、お家賃は相場より少し安いくらいです。通常の不動産情報には掲載されておらず、色々と検索条件を駆使して見つけたものでした。
 しかも、大家さんは地元でも格が高い建築会社を経営しているようで、リフォームもしてくれるとのことです。
 築年数は少しあるものの、資金提供をする親としては、破格の好条件です。また、大家さんが名士なので安心です。娘も部屋を気にいった様子で、ウキウキした表情を見せています。
 しかし、
『前の方にも大変気に入っていただきまして。今、もう1件御覧いただいているようで、返事待ちの状況ですが、そちらの方を優先します』
 と、大家さんに言われてしまいました。端的に言えば
『あなた方には貸せないですよ』という感じです。

 私たちはその物件を後にし、13時に内覧する物件を見に行くまでの間に昼食を済ませ、近くのホームセンターで時間調整をすることにしました。
 先ほどの物件の感想を語り合いながら、新生活に必要なアイテムの相談をしていました。そのさなか、
【ピロロン・ピロロン・ピロロン】
 私のスマホが鳴りました。
『前の方から12時までにお返事をいただく約束でしたが、連絡がないのです。もし、福島さんが、ウチに決めていただけるなら、もう一度お越しいただけますか』
 大家さんからの電話でした。娘の気持ちを確認し
「すぐに伺います。何時頃行けばよろしいですか」
と伝え、下見に来たハズでしたが、そのまま契約を交わしました。
 契約書に書いた私と娘は、住所も苗字も異なります。
「事情により、苗字も住所も違いますが、ご理解いただきますようお願いします。家賃も含め、何かあれば、私が責任持って対応いたします」

 その後、少し小山市を散策し、最後にサムネ画像のラーメン屋で食事をしてから、郡山に戻りました。

 それから4年、今日は娘の「卒論発表会」があり、大学生活最後のミッションを終えたようです。後は卒業式を待つのみです。
 就職の内定もいただき、新しい土地で生活するアパートは、自分で決めたようです。後は4年間お世話になった小山のアパートを引き払うまでが、私の責任としてのミッションとなります。
 もう、サムネ画像のラーメン屋に行くことは無いでしょう。1月28日に最後の晩餐を一人で済ませました。

 さて、オッサンの説教は控えたいとも思うのですが、輝かしい未来である「一人暮らし」をする皆さまに、1点だけ伝えさせてください。

 一人暮らしをしていても、あなたは、決して一人では無いです。

 お金だけではなく、買物、食事などの日常生活、文化やスポーツ、趣味などの活動、バイト先の方や大家さん、周囲の環境を作る方など、様々な方々があなたの生活を応援し、支えていることを心の片隅に置いて欲しいです。
 一人暮らしに不安があるかもしれませんが、周囲には大きな愛があることを信じて欲しいと考えています。

 少なくとも、私は多くの方々からの縁と恩をいただきながら、生活してきました。お預かりしている恩が大きすぎて、返せるかは不安です。

 過去は変えられないです、今は受け入れることが必要です。
 未来を創るのは、あなたです。
 「一人暮らし」という新しい世界を、想うような未来にしていただくことを願っています。
 
 メディアパルさんの企画は「一人暮らしのライフハック」みたいな実用的な投稿を想定していたとも思うのですが、オッサンの昔話と説教みたいな話に、10話もお付き合いいただきありがとうございました。
 投稿を読んでいただきました皆様、コメントいただいた皆様。
 そして、素敵な企画をしていただきましたメディアパルさんに感謝いたします。
#何を書いても最後は宣伝

 大学を卒業した女性が、見知らぬ土地(会津)で暮らすために、車で会津に向かうところからお話が始まります。
 会津で受け入れて貰えるのか、仕事がうまくいくのか。彼女を取り巻く人たちは、どのような反応を見せるのか。

 美しい日本の原風景、そして日本の心が残る福島県会津地方。
 日本ワインの産地として福島県会津地方は、メジャーとは言えないかもしれません。
 しかし、その品質の高さは、ワイン業界において注目されつつあります。
 会津の地を愛し、会津ワインの原料となる葡萄作りに挑戦し、新たな産地としての道を開拓した若者たちの物語です。

Amazon 書籍紹介より

 ということで、今度こそ最後までお読みいただきありがとうございました。
 輝かしい未来がありますように。
#ひとり暮らしのエピソード


サポート、kindleのロイヤリティは、地元のNPO法人「しんぐるぺあれんつふぉーらむ福島」さんに寄付しています。 また2023年3月からは、大阪のNPO法人「ハッピーマム」さんへのサポート費用としています。  皆さまからの善意は、子どもたちの未来に託します、感謝します。