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公タマ伝 2nd #19財源確保

 基礎自治体の職員にとって、とても大切で重要な業務が、この財源確保になります。
 「#7スクラップ&スクラップ」でも少し触れましたが、財源が無ければ新規事業が企画しにくい状況にあります。
 
 基本的に、自治体は自主財源と言われる「地方税」を中心とした歳入、国からの「地方交付税」、県からの「都道府県支出金」、借金にあたる「地方債」などから構成されていますが、このほか、国の施策に応じることによっていただくことのできる「交付金」や特定の事業に係る「補助金」などもあります。
 この交付金や補助金をいかに活用して、住民サービスに結びつけることができるか、財源として確保できるかが自治体職員としての腕の見せ所になります。

 この交付金や補助金に関する情報は、「財政部門」、「企画部門」、「事業部門」に、それぞれ国から情報提供がありますが、近年の国の傾向として「唐突に補正予算が組まれる」ことが多くなっています。
 世の中の動きが早くなっている、メディア等から迅速な対応を求められる、政治家が実績を欲しがるなど、いくつか要因が考えられますが、行政における「予算の制度」としては、「単年度主義」、「議会で審議」などの制約があり、臨機応変、柔軟、即時対応などは難しいのが実情です。
 増して、国が予算化する場合、「(効果が低かった)昔の制度の焼き直し」、「(偶々上手く言った)自治体での成功事例」などをベースにしていることが多く、それぞれの事情がある自治体にとっては「使いにくい」ものが多くあります。
 国にモノ申す首長などが、時々言われる
自治体に使いやすいように財源を渡して欲しい
ということになります。

 このような状況を踏まえつつ、いかに住民サービスに結びつけるか、自分のやりたい事業に結びつけるか、ということになります。
 それを実現するための、キーワードが「情報」になると考えています。

 自分の地域でどのような課題があるか、地域の方がどのような施策を欲しているか、自分の自治体ではどのような事業を実施しているかという情報を普段から収集しておくこと。また、先に、国の傾向として、「唐突に補正予算が組まれる」と記載しましたが、実は
「国が、当初で予算化できなかった事業を補正予算で復活
ということも多くありますので、国の予算要求などの情報を収集しておくことも役に立ちます。
 さらに、国では予算化の手法として、諮問機関である「審議会」がありますので、この審議会における議論の内容を把握しておくことも、「国の好む事業として予算化」する際には大変役に立つことになります。
 
 また、役所内や地域における情報収集のためには、円滑な人間関係が必要です。そして、無理な日程で示された「予算・事業化」について、「そこを何とかお願いします」と無理を通すためは、普段からの円滑な人間関係が重要となります。
 柔道をかじったことのある筆者は、こういう時に修練してきた「口車」や「拝み倒し」、「泣き落とし」などの技を駆使することがあります。
 また、こういう時に備え、普段から役所内外をフラフラして、顔の見える関係を築き、情報収集しているとも言えます。

 実話として、国からの唐突な交付金に困っていた企画部門の担当者に
「筆者のところは、企画が無いけど、農林部門でこんな動きがあるから、○○課に事業提案すると、乗ってくると思うよ。具体的には・・・・・・」
そして、返す刀で○○課に行き
「今度、国から来る交付金、企画部門では、事業化に困っているようです。前にお話していた、あの事業を提案してはどうですか」
という動き、いわゆる「介在価値」のある動きをするわけです。
 もちろん、国の施策と方向性が合う場合は、自分の事業に誘導することもあります。
 スクラップ&スクラップを標榜する筆者ですが、一方で財源を確保することも大事な「住民サービス」と捉え、自所属だけではなく、様々な活用方法を常に意識しています。

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