重症急性膵炎で死にかけて断酒してから約1年経った男の心境
前回、心療内科に行ったと書いたところめちゃくちゃ各方面から心配や励ましのメッセージをいただいてしまい大変恐縮しております。
なんか変な医者だったなあという話が主だったんですが、よく寝れるという薬をもらって飲んだらあっさり12時間以上爆睡してしまったくらいには元気です。効くんですね、ああいうの。
僕が重症急性膵炎で入院したのが昨年10月末。長い事入院したりリハビリしたりしてたのでアレでしたが酒飲まなくなってからもうすぐ1年経つんだなあ、と思ってたらちょうどYouTubeがこんな動画をおすすめしてきました。
週7で飲んでたけど断酒して2年経った精神科医の先生が心境を語ってる動画。公開されたのは去年なのにこのタイミングでおすすめしてくるの「きさま!見ているなッ!」って感じがしてインターネット怖いですね。特に断酒動画とか見てたわけじゃないのに。
この先生も昔からお酒の出る漫画や映画、あるいはお酒のカルチャーそのものが好きだったことに加えて、人付き合いの苦手な部分をお酒の力を借りて克服した経緯があったそうです。俺か、と思った。まあアル中になる人ってそういう人多いんでしょうね。
この先生は別に病気になったり膵臓が爆発したりしたわけではないですが、体調のことなどを考えてお酒を辞めて今は飲みたいとは思わないそうです。過去の恋愛のように「そんな日々もあったな」と思い出すだけで、もう一度やったら楽しそうだなという気持ちもあるけどめんどくさいなという気持ちのほうが強いらしい。
わかるようなわからんような気がします。僕もお酒の場や酔ったときの「楽しい感じ」はすごく覚えていて今も戻れるなら戻りたいとは思う。なぜなら楽しいと楽しいから。
ただ「酒を飲む」という行為に関して言うと、酔った状態のフラフラ感や二日酔いのつらい感じなど肉体的な苦しい感覚のほうを結構色濃く思い出します。何年もそういう状態を経ての膵臓君怒りのビッグバンなわけで、あの肉体の状態に関しては別に楽しくないしただひたすらつらいので全然もうやりたくねえなと思います。
お酒を含めた薬物で「自意識を破壊してあげる」「意識を変容させてリラックスさせる感覚を応用して日常生活に臨む」という発想については(そういう治療法もあるらしい)、違法なことはもちろんダメだけど理屈はわかるという言い方もしていて、好きな考え方だなと思いました。一応言うけど別にクスリやりてーとか言ってるんじゃないですよ。僕が言ってるんじゃなくて医者が言ってるんだ。
一番なるほどと思ったのが「(酒や飲み会の楽しさは)プラセボ効果込みだと思う」というものです。「酒飲んでおしゃべりすると楽しー」とか「仕事終わりに一杯やると落ち着くー」と思ってるからそう感じるということですね。別にそれ酒や飲み会じゃなくてもできるやろ、と。
僕の場合は「飲まなきゃやってらんねー」と言って飲んでいたタイプですが、飲まなきゃやってらんねーと思いながら飲んでる自分が好きだったというのは間違いなくあると思います。自傷行為として酒を飲んでいる自覚があったと重症急性膵炎日記の中で書きましたが、そういうことだなと。
ダメになる、愚かになることでしか救われない部分がある。競艇場でワンカップ持ってる歯の抜けた人とかにはわかってもらえるかもしれません。僕は「あいつらとは違う」と思ってますが……。
自己の感情を分析して理屈をこねた上で自ら積極的にアル中になる、というパターンがどれくらい多いのかわかりませんが、僕の場合は多分そうだったと今でもやはり思っていて、なので今んところ「もう酒飲んじゃだめ」っていう理屈を自分で納得してからは飲まないようにできています。あくまで今んところは。人間は感情の奴隷で心は不変のものではなく諸行は無常なので未来のことは何も断言できないという意味でそう言っておきますが、理によって自己の行動を決定しているという点はアル中時代も今も一貫していると思っています。伝わるのかこの理屈。
この先生は「酒の出てくる動画とかコンビニの酒コーナーがトリガーになるから見ないようにした」と言ってましたが、自分はそのへんも別のものとして割り切れてる気がします。酒のシーン見たり飲み会行ったりすると「酒飲んで楽しいなー」の感情を思い出して幸せな気持ちになるが、そのせいで飲みたくてたまらんとはならない。まあ1度決めると頑固なとこあるので意地で「全然飲みたくなんかないんだからね!」と思い込んでるのかもしれませんが、それならそれでいい方向に向いているのでいいでしょう。
あと飲み会楽しいとは言っても、全員ベロンベロンの狂乱の宴に1人だけシラフで取り残されたりしたら多分つらいので帰りたいと思う。普通の人の心として。
酒があったから今の自分がいるのは間違いないし後悔はないです。膵臓もないならないでおいしいものや楽しいことはあるということもわかってきたので、焦らず新しい生き方のフォームを見つけていきたいと思っています。
以下、マシュマロ返信です。一部前回コメント欄や「返信不要」としていただいたメッセージもありますのでそれらについても合わせてお返事させていただく形にできればと思います。
ここから先は
こちらはただ投げ銭をするだけの「サポート」という機能です。サポートいただけた分だけnoteの活動に割く時間を増やせるので大変助かります。(メンバーシップに入ると有料記事が読めるなど多少見返りがあります!)