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あざと連ドラと藤吉夏鈴〜バラエティ番組が本気でドラマを作る意味〜

9/25(日)に放送された「あざとくて何が悪いの?」で、女優の片山友希さんを主演に迎えた第5弾「あざと連ドラ」が最終回を迎えた。

そして、この記事を書いている10月9日(日)23:55から櫻坂46藤吉夏鈴さんを主演に迎えた「あざと連ドラ第6弾」の放送がスタートする。

そもそも「あざと連ドラ」とは何かというと、2021年1月に第1弾を始動させた「あざとくて」内で放送されるミニドラマ(第1弾は全6話)の名称だ。
その第1弾の主演は、今や朝ドラ女優にまで駆け上がっていった乃木坂46の山下美月さんである。

この”バラエティ番組の中で連続ドラマを放送する”という試みになぜトライしようとしたかというと、その目的は3つある。

①ネタの枯渇(マンネリ化)を防ぐ
「あざとくて何が悪いの?」は2019年9月に初めて特番として放送された。

コンセプトはタイトルの通り、今までネガな要素で用いられてきた”あざとい”の”肯定”。「人に好かれる、いい印象を与える計算=あざとさ」の何が悪いのか?かわいいは正義である。そんな思想をベースに世の中の人々が目撃したあざといテクニックを再現ドラマにして、スタジオでああだこうだ言いながらチェックする。その象徴として田中みな実と弘中綾香という正反対のあざとさを持った二人をキャスティング。この猛獣二人をコントロールしながら長所を引き出せるのは山里亮太さんしか思い浮かばなかった。
(企画の着想に関しての詳細はnote内にある「あざとくて何が悪いの?」企画の着想と狙い」を参照)

好評を得たことで3回の特番、2020年10月からレギュラー放送に漕ぎ着けることができたのだが、特番の2回目くらいから危機感として持っていたのが、「これ、(あざとい)ネタ続くか?」。(会社の上層部にもかなり言われた)

結果的に2022年10月現在でも毎週のように番組ホームページには、あざとい目撃談が投稿されるので、日々あざとさは更新され続けており、ネタは枯渇していないので杞憂といえば杞憂なのだが、番組に対する既視感やマンネリ化は避けて通れない。特に「あざとくて」は”あざとい”というワンコンセプトなので、飽きられやすいからだ。

そこで、特番2回目が成功したあたりから、レギュラー化の匂いがしてきたので、早め早めにと言うことで対策を考えてみた。

まず特番時代からの番組のオンエア構成はシンプルだ。
それは、様々なタイプのあざとい男女の実録エピソードを輪切りにVTRでスタジオメンバーに見せると言うスタイル。
これは単純計算で、1時間のオンエアで大体4〜5個の再現ドラマを入れ込む形になる。
このスタイルの発明によって、MC3人の圧倒的なコメント力、ワイプ力が初回から遺憾なく発揮され、VTR終了後はMC陣がスタジオで「あの一挙一動で、ここまで人の深層心理を妄想できるか」といえるほどの展開力を見せてくれるわけだが…視聴者として、めちゃくちゃこの番組をドライに見ると、”単調に見える”可能性を感じ取る自分もいた。

何が単調かと言うと、結局様々な種類があるとはいえ、”あざとい”が詰め込まれた5タイプの女性のVTRを輪切りに見ていくスタイルは、1つのVTRごとに切れ目ができてしまう。つまり、番組のオンエア尺の中でVTR1からVTR5まで見続ける”動機”がない。そこに物語性や連続性は存在していないからだ。逆にいえばこの構造はメリットもある。輪切りに作ることによって、番組を途中から見た人も参加しやすくなるからだ。しかしこのメリットもレギュラー化してしまうと、なかなか通じなくなるだろうなという予感があった。なぜならば2020年10月からのレギュラー放送は30分尺だったからだ。30分尺であれば、入れ込めたとしても再現VTRは2本ほどになる。

また、30分番組を途中から見てもいいように輪切りに造るのは非常に難しいし、リスクが高い。視聴率グラフを右肩上がりに持っていきたい我々としては、番組の構成上で切れ目があればあるほど(VTRが多ければ多いほど)チャンネルを変えるザッピングチャンスを与えてしまうことになるからだ。

とはいえ、レギュラーになってから番組に興味を持って見にきてくれる視聴者も多いため、まず番組が認知される2〜3ヶ月は王道スタイル(あざとい再現VTRを30分で2本消化してトークする)で視聴者に番組のフォーマット、楽しみ方を理解してもらおう。そんな方針を決めた。

しかし、バラエティのレギュラー番組というのは常に半年先、1年先を見据えなければならない。ドラマやスポーツイベントのように”終わり”が無いからだ。”バラエティ番組は終わってはいけない”のだ。終わらせないための努力を半永久的に続けなければいけない。そのため、「2〜3ヶ月は王道スタイル」を決めたレギュラー放送開始直前から、2021年〜の番組運用について考えを巡らせた。3ヶ月の王道スタイルによって視聴者への認知度が上がったとして、次に視聴者(特に番組ファン以外)に訪れるのは「マンネリ化=飽き」だ。それを防がなければならない。さらに無限ではない”あざといエピソード”をどう有効的に演出に落とし込んで”延命”していくのか?これが大きな課題として浮き彫りになっていた。

記念すべきレギュラー初回収録時の写真(2020年10月)

そんな中思いついたのが”あざと連ドラ”だった。
”ドラマ”にはバラエティと違う種類の試聴引力があるからだ。
その引力とは何か?”継続試聴”だ。

つまりドラマには”物語性”という「この先どうなるんだろう?」と思わせて視聴者を引っ張る武器がある。

バラエティ番組は基本的にもっともっと刹那的だ。
毎回違う内容で放送するのが基本だし、シリーズものも長くたって2〜3週にわたって放送するのが精一杯である。
であれば、「あざとくて」の中でミニドラマを放送すればいいのでは?
このドラマが面白ければ、継続試聴(毎週見よう)に繋がるのではないか?

ドラマの主題はもちろん”あざとい”だ。
第1弾のテーマは「あざとい女性は幸せになれるのか?」
全6話の物語の中に、視聴者投稿のあざといテクニックを入れ込みながら、主人公さくらの恋模様が一体どんな結末を迎えるのか?という縦軸で視聴同期を引っ張る狙いだ。

さらにこの構造にすることによるメリットはもう一つあって、これまで輪切り構造だったあざといVTRの基本構造は…

あざといVTR①
女性Aが主役だとして…
女性Aが繰り出すあざといテクニック①〜⑤

このように5〜7分程度の再現ドラマの中に、MCがリアクションできたり、これでもかと妄想トークを繰り広げられるような材料になる”あざといテクニック(投稿による実話)”を間断なく入れ込まなければならない。

この1つのVTRの中に物語性はほぼいらない。1つの飲み会のシチュエーションの中に物語性は入れ込みようがないし、あったとしても「AさんはBくんを狙っている」程度であるからだ。

そしてこのスタイルだと、”あざといテクニック”の消費スピードがとにかく早い。5〜7分程度の再現ドラマは”物語性”ではVTRを長尺化することができないので、とにかくテクニックそのものが面白かったり、新鮮だったり、トークの餌にならなければならないため、どんどんいいネタをぶち込んでいかざるを得ない。

初期の名シーン。「相席食堂が好き」と言う女。
あざとくお笑いセンスをアピールする女を島崎遥香さんが演じた。

しかしドラマであれば、”物語”が軸にあるため、物語の展開を主軸にして視聴者(スタジオ)の興味を逸らさない中で、あざといテクニックは主人公やその周囲の登場人物が印象的に繰り出すことで消費スピードも落とすことができるし、番組の根幹である「あざといテクニックを見て分析する」からもズレずにVTR化することができるわけだ。

さらに俳優やシチュエーションや言い回しのニュアンスによって、例え過去の放送で使用したあざといテクニックでも、ドラマの中で使用することによって新鮮に見せることができる。

②話題性&参加性
そして2つ目の狙いは、連続ドラマ化することによって「次の展開はどうなるんだろう?」という視聴者の参加を促し、「登場人物AはきっとBを好きだ」とか「私はCよりD派!」と言った、個別の感想が生まれ、それをTwitterなどに投稿することで発生するSNSの盛り上がり=話題性の獲得に繋げることである。

例えば第1弾で言うと以下のようなネットニュースが物語の盛り上がりやスタジオのドラマ鑑賞中のゲストのリアクションを記事化して拡散してくれることによって、より多くの視聴者の目に届く。これは地道ではあるが大切な宣伝活動の一つだ。

③リアリティ
スタッフ一同徹底的にこだわっているのがリアリティだ。
「あざと連ドラ」に劇的な運命の出会いや、白馬の王子様的展開や、超絶キュンキュン的シチュエーションは必要ない。なぜならそんなこと現実に起きないからだ。我々のベースはあくまでも現実世界で巻き起こる出来事=視聴者投稿だ。このリアリティが特番時代の熱狂と話題化につながった。だから絶対に番組としてこの根幹を揺るがせてはいけない。どんなに視聴率が悪化しても、その軸で評価されて始まった番組は、その軸は変えるべきではないと私は思っている。その軸が通用しなくなった時が番組の終わりだと思う。

だからこそ、そういった軸の表現方法が再現ドラマからあざと連ドラに変わっても、その思想は絶対に揺らいではいけない。「うわ〜こういう男(女)いるわ〜」が連続する、そこに我々の真骨頂がある。

決してドラマを作るからといって物語性、物語の面白さを優先して劇的展開に囚われすぎてはいけない。
あくまでも我々の武器はリアリティ。それを突き詰めて
ドラマの脚本を練り、リアリティを失わない脚本=通常恋愛ドラマとの差別化につながると考えた訳だ。

さらにそもそも論でいうと、民放各局の恋愛ドラマと真っ向勝負したって敵いっこない。予算だってノウハウだって敵いっこない。だったら徹底したリアリズムで差別化=勝負だ!

④ドラマをトークテーマとして機能させる
③にも繋がるが、我々の大きな強みと個性の一つがMCとゲストのワイプリアクションだ。

「情報量が多すぎる」なんて指摘されたこともあったが、「これくらいの情報量は今の若者は処理できますよ」と確信していたので可憐にスルーした。

通常のドラマと最も異なるのがこのワイプリアクションを逆算して脚本を書くことである。つまり「ツッコミありき」の脚本だ。

「突っ込みたくなる=私見を言いたくなる仕掛け=台詞や言動」をいくつも仕込ませるわけだ。その仕掛けのクオリティはリアリティに比例する。
そしてドラマ鑑賞後に、それは「トークテーマ」に変わる。

例えばドラマ中に食事デートのシーンがあり、デートの最後に男性が付き合っていない女性に香水をプレゼントしたとする。しかもそれはただの香水ではなく、「俺、友達に調香師がいてさ…」と言う枕詞付き。
このVTRを見ている際のスタジオのリアクションを引き出すだけでなく、ドラマ鑑賞後、「あのシーン、どう思いました?●●さん、めっちゃBADボタン押してましたよね?」と言うように「ドラマのシーンがトークテーマとして機能する」わけだ。山里田中弘中という超一流トークプレイヤーたちの琴線に触れるリアクションを引き出し、価値観をあぶり出す仕掛けをドラマの中に何個盛り込めるか?脚本執筆中は、この逆算の連続なのだ。

⑤新星発掘
②の話題性獲得に繋がってくる重要な要素がドラマのキャストだ。
ありがたいことに「あざとくて」は現状、毎週の放送がTVerのバラエティランキング1位、総合ランキングでもBest3に安定してランクインする番組である。そんな番組の勢いや人気を使って「「こんな魅力的な子がいたんだ」と一人でも多くの人に知ってもらいたい。」そんな意識を持って「あざと連ドラ」のキャスティングを考えている。

第5弾の主演を務めた片山友希さんは、たまたま観た映画「茜色に焼かれる」でのインパクト抜群の圧倒的な演技に魅了され、第4弾の「あざと連ドラ」の超不思議系あざと女子役で速攻オファーした。
(下図の右から2番目)

ここでの演技がやっぱり凄くて撮影中に「次の連ドラはこの人に主演をやってもらいたい」と思い、「片山さんが主演するにふさわしい連ドラってどんな物語がいいだろう?」と考えいて思いついたのが「あざといに憧れる地方のウブな女性が大手企業への就職を機に上京して、あざとい東京人たちに揉まれまくって成長する物語」だった。この着想は我ながら大成功で、第4弾まで最長8話だった物語は何と大幅に記録更新で14話という超大作、文字数で言うと7万時超えの脚本が完成した。

片山さんに最初脚本を見せた時「芦田さん、筆走りすぎでしょ(笑)」と笑われてしまったが、その言葉通り、着想も執筆も全く苦労なく、終始楽しく書き上げたのを今でも覚えている。

そしてこの時、片山さん演じる主人公:戸渡花のクールな親友同期として物語の非常に重要なピースを担ったのが櫻坂46藤吉夏鈴さんだ。

片山さん藤吉さんの撮影時オフショット

彼女を初めて生で観たのが「あざと連ドラ第3弾」に出演してもらった同じ櫻坂46に所属する田村保乃さんがキッカケで足を運んだ2021年のさいたまスーパーアリーナでのライブだった。

「あざと連ドラ第3弾」は女性4人のシャアハウスが舞台。
左から櫻坂46田村保乃・アンジュルム佐々木莉佳子・紺野彩夏・鈴木ゆうか。
我ながらいい組み合わせのキャスティング!

その時に見た藤吉夏鈴さんのパフォーマンスがとにかく圧巻だった。
それまでも様々なアイドルのライブに足を運ばせて頂いていたが、今まで見たことがないタイプの「何にも似ていない(=唯一無二)」表情の機微、感情表現、エネルギーが彼女から迸っており、釘付けになってしまった。
すぐにマネージャーさんに聞くと「PVでの演技はあるが、本格的な演技経験は無い」と言う。

この宣材だけでも唯一無二感は伝わるのでは。

しかし、さいたまスーパーアリーナの帰り道に「絶対に藤吉夏鈴さんは演技に向いているはずだ」と、確信した自分がいた。
「あれだけ曲の解釈を表現に繋げられる人が、演技ができないはずがない。」と。それだけのインパクトがあった。

とはいえ、”ドラマ初挑戦”と言うのは、話題性以上にキャスティングする我々にも多少のリスクがある。重要な役であればあるほど当然セリフが多く、さらに第5弾は最長の14話である。本格演技初挑戦の20歳に背負わせるには重たすぎるカロリーとも言えるし、マネジメントも危惧する可能性がある。しかし自分には何か確信めいた「藤吉夏鈴を抜擢すべきだ」と言う思いがあった。「この才能を世間にアウトプットすべきである」と。
で、どうしたかというと、今井愛香と言う役を彼女用に”当て書き”したわけだ。

今井愛香は東京出身のクールな新卒シティーガール。

本格演技初挑戦の彼女が出来るだけ負担なくスムーズに役作りしやすい役。つまり「藤吉夏鈴本人に近いキャラクター」を主人公の親友役として配置して、彼女をイメージしながら脚本を書き進めていった。

そのためにYouTubeや櫻坂のレギュラー番組など、あらゆる動画をチェックして、彼女の喋り方やリアクションやらをインプットした。こうして作り上げたのがクールで感情をあまり表に出さない、だけど心根は優しい今井愛香と言う役だった。
藤吉さんが演じるにあたって「こんな自分にはない感情やキャラを持った人は不安で演じられない!」と思わせないような舞台を整える作業を徹底して行ってみた上でマネジメントに交渉してみようと言う作戦である。

そんな意図をマネージャーに説明し、「本当に不安だったり、本人が乗らなかったら断ってもらっても良いので…」と言うエクスキューズはつけつつ、「でも絶対にこの役は藤吉さんにしかできない、彼女にやってほしい。そして絶対に藤吉さんの魅力がこのドラマを通じてたくさんの人に伝わるはずだ」と言う情熱は全力で伝えて返事を待った。

すると数日後、マネージャーからオファーを受けたいと言う返事と共に「本人も「自信はないけどやってみたい」と言ってる」と、返事が来た。
心の中で大きなガッツポーズをした。

そして数日後、本人と脚本の読み合わせで初対面。

人見知りの彼女は不安そうな表情で俯き加減ではあったものの、ライブでモニター越しにみた強い眼差しが確かにそこにあった。
そして彼女は「愛香は結構私っぽいです」と言った。その言葉を聞いて「この人はやっぱり演技ができる人だ」と思った。すでに脚本を解釈していたからだ。
実際に彼女は自分の演じている映像を見て「ずっと私だった」と言うほど、今井愛香は藤吉夏鈴に近い存在だった。(以下、証拠映像)

彼女はストイックだった。
撮影前も、撮影中も、撮影後も「大丈夫でしたか?」「ちょっとでも変だったらすぐ言ってください」と常に最善を求めて演技に向き合っていた。
そして女優としては大先輩の片山友希さんに読み合わせをしてもらったり、演技のエッセンスを吸収し続けた。

片山さんと読み合わせる藤吉さん。
現場では姉妹のような関係性だった。

14話中の10話は、今井愛香の過去の恋愛が明らかになる藤吉夏鈴メイン回。総尺17分かつ、普段のアイドル活動では絶対に経験しない恋人との出会いから別れを1話で表現するという非常に難しいシーンの連続を見事にこなした。

そんな想像通り、いや想像以上の彼女の演技に対する向上心と吸収力を現場で目にしている中で「次のあざと連ドラの主演は藤吉さんに賭けてみよう」と思い出している自分がいた。

では、彼女に演じてもらうべき主役、舞台は何なんだろう?
そして今回は”彼女らしさ”から一歩二歩踏み出した、藤吉夏鈴にはない要素やキャラクターを盛り込んだ役柄にすることで、彼女の演技を次のステージに引き上げてあげる手助けになる役柄にするべきだ…

そんなことを考えながら辿り着いたのが”「あざとくて何が悪いの?」の女性ディレクター”という設定だった。

番組のリサーチで日々あざとい女性にヒアリングして再現ドラマに使えそうな”あざといテクニック”を収集する主人公は、あらゆる男女のやり取りを冷静かつ客観的に分析する癖がついてしまい自分の恋愛は他人事…

そんな主人公の片寄葵は藤吉夏鈴らしくもありながら、前回の愛香役とはまた違った演技の幅への挑戦になるのではないか?そんなことを考えながら脚本の執筆を始めた。そして脚本家の皆さんの力も借りながら、最終的に約76000字にも及ぶ全13話の物語が完成した。

左から花山瑞貴・藤吉夏鈴・新田桃子
花山さんと新田さんはオーディションを勝ち抜いた

藤吉さんは主演という肩書きに甘んじることなく、それを責任感に変えて日々脚本と演技に向き合っている。(10月9日現在まだ撮影中です)

自身が演じる葵という役になりきって、「葵ならこの状況でこんな言い方をするんじゃないか?」「あの時の葵はこんな感情だったから、このシーンでは…」と、台詞の一言一句、一挙手一投足にこだわって、時には修正して、「あざと連ドラ」をスタッフと共に作り上げている。

このインタビューにもあるように、彼女自身、毎日の撮影がとても楽しそうだ。グループ活動だけでは得られない経験や能力や体験を吸収し続けているのが目に見えてわかる。少しでも彼女の更なる飛躍の手助けになればとスタッフ一同願っているのだが、日々充実感を得ているのは彼女だけではない。

この楽しさは、我々制作スタッフも共通して体感している気がする。
それは、普段バラエティ番組の制作過程では味わうことのできない種類のやりがいであり、カタルシスであると第1弾の頃から痛烈に感じる。
何か文化祭を一緒に作っているような、心地よいエモさと青春を兼ね備えた共同作業とでも言うべきか。それがきっと、ドラマが持つ「ゴール(最終話)がある」と言う特性からきているものだと思う。

先述した通り、我々が日々制作しているバラエティ番組には、”終わり”が無い。正確に言うと「終わらないために続ける」のがバラエティ番組だ。
それがやりがいでもありながら大きな苦しみでもあるわけだが…

だからこそ、そんな半永久的なバラエティの世界の中で、明確な終わりが存在するドラマを制作するという稀有な体験を我々「あざとくて」スタッフは日々しているのだ。再現ドラマを毎週放送する番組は数多あるが、本格的な恋愛ドラマを毎週放送している番組は、私が知る限りこの日本国内に存在していないはずだ。だからこそそれは番組の個性にも繋がる。
だからこそ、その個性は視聴者の皆さんを惹きつけ、配信で好結果を残すことができている。そう信じて明日もまたドラマを撮る。

そんな藤吉夏鈴さんをはじめとした素晴らしい出演者と作り上げた第1話が今日10月9日23時55分〜テレビ朝日系列で放送されます。(放送がない地域の方は大変申し訳ありませんが、TVerなど見逃し配信でご覧ください)

見て損はさせません。我々の全力を投じた30分、是非ご覧ください。

新田桃子さん演じるエリカと藤吉さん演じる葵は大学時代からの親友役。
女優として先輩の新田さんに非常に可愛がられていて、撮影合間も楽しそうに話しています。

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