「建設・不動産のデジタル化 〜FMBIMの活⽤〜」:その7 5. AI、IT を活⽤したスマートビル、スマートシティに必要なデジタルデータ
5. AI、IT を活⽤したスマートビル、スマートシティに必要なデジタルデータ
5.1 スマートビルディング
スマートビルディング(以下、「スマートビル」という。)とは、IT、AIを用いたビル管理により、施設の運用効率を高め、ワーカーの生産性を向上させ、環境にやさしいスマートな(賢い)ビルを言う。
一般的にはIoTの活用により、建物中に張り巡らされたセンサー等が、従業員一人一人の場所、室内の温度や湿度、照度等を計測し、そのデータをもとにオフィスの環境を自動制御することにより、ビルのワーカーに対して快適性を提供するとともに、ビル管理面で、エネルギーコストの削減を実現しているビルを⾔う。
参考︓
ビル管理システムにおいて、いくつか重要な単語があるので、ここで注記しておく。
・BEMS(ベムス︓Building Energy Management System)︓
建物に設置された設備や機器の運転データ/エネルギー使⽤量データを蓄積・解析し、効率よく制御することでエネルギー消費量の最適化/低減を図るシステムである。
・BAS(Building Automation System)︓
ビル内の設備や機器を遠隔制御するとともに、各種センサーからの情報を収集する。BAS とビル内の機器などとは、BAS機器メーカーの独⾃プロトコル、あるいは BACnet(バックネット)などの業界標準的プロトコルで接続される。
・EMS(Energy Management System)︓
BASを通して収集したデータなどを基に、当該ビルのエネルギー消費の最適化/低減を図る。
スマートビル市場は、Mordor Intelligence 社の調査によると、2019 年から2024 年までの 5 年間で13.6%以上の年平均成⻑率が予想されている。地域別にみると最⼤の市場はヨーロッパである。
また最もポテンシャルの⾼い市場は中国で、23.84%の割合で急成⻑しているとのことである。
スマートビル市場での競争は激化しており複数のプレイヤー企業がひしめき合っている。しかし市場のシェアでみると、わずかなメジャー・プレイヤー企業によって、市場が寡占状態にあるのが現状である。
スマートビル市場の代表的なメジャー・プレイヤー企業として、Johnson Controls、Cisco、United Technologies、Siemens、Schneider Electric等が挙げられる。(引⽤︓https://www.techfirm.co.jp/blog/smartest-offices)
マイクロソフトでは、図のような個⼈最適化からビル設備管理までの顧客ニーズにしたがって、スマートビルのグレードを定義している。ここから、スマートビルを利⽤することで、より顧客満⾜度が⾼いビルにしていこうという意図が感じられる。
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本書のタイトルを、あえて「建設・不動産のデジタル化〜FMBIMの活⽤〜」としたのは、建設・不動産の発注、所有、管理、経営の第⼀線にたつ多く…
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